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普久原 朝弥

普久原 朝弥

マーガード真偉輝キアン “お前の野球人生はこれから”恩師の言葉を胸に苦杯を喫した聖地に再び舞い戻れるか【羽ばたけ!琉☆球児】(沖縄発 野球応援企画)

石川県星稜高校のエース・マーガード真偉輝(まいき)キアン

野球王国沖縄の新たなスターの原石に迫る!シリーズ企画!【羽ばたけ!琉☆球児】

甲子園に出場する学校は母校でなくてもテレビを囲んで応援。
球春到来を告げるプロ野球春季キャンプも毎年県内各地で大盛況。
そんな野球愛溢れるウチナーンチュの皆さん必見!
OKITIVEでは、沖縄県出身のアマチュア野球界の有望選手を紹介する【羽ばたけ!琉☆球児】をシリーズでお届けします。

マーガード真偉輝キアン(星稜高校・石川県)
2004年9月14日生/沖縄県沖縄市出身
比屋根タイガース-宜野湾ポニーズ-星稜高校
投手/187㎝・91㎏/右投右打

最速142km/hのストレートとスライダー、ツーシーム、フォーク、カットボールなど多彩な変化球を駆使し打者を翻弄する投球が持ち味の技巧派ピッチャー。

大粒の涙が聖地甲子園の土を濡らした。沖縄市出身の剛腕“ マーガード真偉輝キアン ”
退任が決まった恩師に目標だった“選抜ベスト4”を届けられなかった悔しさに涙を流した。

2022年3月、春の選抜高校野球大会。
温暖な沖縄生まれの大柄な体つきの青年は、石川県の名門・星稜高校のエースとして初めて甲子園のマウンドに立ち、躍動した。
初戦の天理(奈良)戦、2回戦の大垣日大(岐阜)戦に先発すると、持ち味であるゲームメイク力が光り、それぞれ7イニング自責点1、6イニング自責点1とチームの甲子園勝利に大きく貢献した。

そして迎えた準々決勝 国学院久我山(東京)戦。ここで甲子園の魔物が牙をむいた。
2点リードの五回、連投を考慮しこの日は慣れないリリーフ登板だった。
登板してまもなく前の投手から引き継いだランナーを返されるタイムリーヒットを浴び、さらに自身の悪送球がきっかけで同点に追いつかれた。
その直後、相手主砲に試合を決定づける痛恨の2ランホームランを浴び4失点で逆転を許し敗北を喫した。涙が止まらなかった。

マーガードの震える大きな肩を抱きかかえながら、恩師・林和成 前監督は言葉を掛けた…。

「お前の野球人生はこれからだぞ。」

野球人生最大の悔しさを味わった今春を振り返り、
マーガード真偉輝キアンは力強い言葉で高校生活最後の夏への決意と覚悟を語ってくれた。

野球選手としてのレベルアップを図るため幼少期から慣れ親しんだ沖縄を離れ、
北陸の地に単身野球留学し、奮闘する右腕の姿に迫った――――

――春のセンバツ大会に出場されて、初めての甲子園を振り返っていかがですか?

マーガード
「特別な場所でいつもとは違う雰囲気だったかなと思います。試合直前はあまり緊張してなくて、試合に入る3日前から前日にかけて物凄く緊張していたんですけど、試合に入ると意外にいつも通りできました。」

――初戦の天理高校戦から延長11回にもつれる白熱した試合が続きました。甲子園のマウンドで投げている時の気持ちはどうでしたか?

マーガード
「やっぱりいつもとは違う景色でしたし、ものすごく投げやすかったです。自分の最高のパフォーマンスを出せる場所だったので物凄く投げていて楽しかったですし時間が早く感じました。」

――星稜高校は2019年夏の甲子園準優勝が記憶に新しいですが、春のセンバツ大会は“ベスト8”が最高成績。“ベスト8の壁”という意識はあったんでしょうか?

マーガード
「ベスト8になったときに、林先生(前任の林和成監督)が最後ということもあって『何とか壁超えるぞ』っていう話をしていました。チームのみんなも思いは強かったんですけど負けてしまって。みんなでまとまっていましたし、団結力はあったと思います。ただそこ(ベスト8突破)にかける思いは強かったです。」

遠征先の宿舎で林和成 前監督を囲む星稜高校ナイン。今春(2022年)の選抜大会限りで退任した。

――惜しくも準々決勝で敗れてしまい苦杯を喫した。マーガード選手自身その時はどのような心境でしたか?

マーガード
「自分のミスで負けてしまったので、林先生やチームのみんなに申し訳ないなって気持ちでいっぱいでした。ですが試合後、落ち込んでいるところに林先生から『お前の野球人生はこれからだぞ』と言っていただいたのが自分の中では一番心に残っていますね。」

――悔しさをバネに夏の甲子園に向けてといった所だと思いますが、春のセンバツ大会を踏まえて収穫や気づきはご自身の中でありましたか?

マーガード
「全国区のチームと対戦して、やっぱり甘いところに投げてしまうと見逃してはくれないなというふうに感じました。少しでも甘いところにいくとヒットにされて連打されるっていうのが実際あったので、コントロールに気を付けていかないといけないなと選抜では感じました。」


――いま、練習で最も重視して取り組んでいることはなんでしょう?

マーガード
「一番は体力づくりというか『連投に負けない体づくり』と『ストレートの強化』っていうのを同時に取り組んでいるところです。主に走り込みなんですけど、そのなかでもロング(長距離)の走りと短い瞬発力系のダッシュを分けてやって、瞬発力系はまっすぐを強くしますし、ロングは夏場の連投に対策してそういう体力づくりは走る距離を分けて取り組んでいました。」

―マーガード投手のこの先の目標は何でしょうか?

マーガード
「まずは夏の県大会に勝って、甲子園出場っていうことがまず一番先の目標です。その先は選抜で超えられなかったベスト8の壁っていうのを超えてベスト4に行きたいなと思っています。その先には、自分将来的にはプロに行きたいっていう思いがあるので、そこを目指してやっていきたいです。」

――将来的にはどういう選手になっていきたいですか?

マーガード
「(メジャーリーグ)ニューヨーク・メッツのデグローム投手には憧れます。大好きな選手なので。パワーがあって球が速くて、速いだけじゃなくて、コントロールも良いので完成度が高いピッチャーというか、負けない投手だなと思って憧れています。自分自身の一番のアピールポイントはゲームを作るっていうところなので、どういう状況の中でもしっかりゲームを作ってチームを勝たせられるピッチャーになっていきたいと思っています。」

⚾マーガード真偉輝キアンの『俺を育てた “地元メシ”』

マーガード
「中学校の頃に行っていたんですけど、パーラーみたいなところなんですけど、名前をちょっと忘れてしまって(笑)あの、宜野湾の市役所近くのなんでも売っているところがあるんですけど。そこにパーラーがあって、たこ焼きだったりとかかき氷っていうのを食べていました。たこ焼きで『卵タコ』っていうのが一番好きでした。タコ焼きの上に卵がのっていてめちゃくちゃ美味しかったです。あとかき氷とかも食べていました。練習終わりなので疲れたときに沖縄の夏は特に暑いので、そのときに食べるかき氷は特別な感じがしました。お店の名前…、ちょっと思い出してみます(笑)」

※インタビュー後に取材班が調べると、宜野湾市野嵩にあるホームセンター「サンシー」の駐車場にあるたこ焼きパーラー『たこ正』ということが判明

⚾野球で夢を叶えて“恩返し”

マーガード
「一番は両親なんで。高校に自分の好きなところに行かせてもらっているので両親には一番感謝したいですし、恩返しはやっぱり勝つってことでしか、甲子園に連れていくって形でしか返せないのでそういう意味では夏にまた勝って両親を甲子園に連れていきたいなって思っています。両親には好きな事させてもらいましたし色々なサポートをしてくれたのでそれで今に繋がっているかなっていう部分もあり感謝しています。今でも数カ月に一度は沖縄から石川県に来てくれて様子を見に来てくれています。ありがたいです。」

――最後に今後の意気込みを聞かせて下さい!

マーガード
「高校3年間やってきて最後の夏なので、個人的にも自分のできるピッチングをしてチームを勝利に導きたいと思います。チームとしても春にベスト8で敗れてしまって悔しい思いをしているので甲子園の借りは甲子園でしか返せないと思うので、また甲子園に戻ってベスト8の壁を越えて勝っていきたいなって思います!」

*取材後記*
こちらの問いに対して明確な解を持ち、自身の言葉で理路整然と受け答えができる芯の強いプレーヤーだと感じました。甲子園のマウンドで最高のパフォーマンスが出来たと言えるほど大舞台に負けない心を持った投手でした。沖縄が生んだ北陸の剛腕、高校生活最後の夏の集大成に期待です!

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