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金城 わか菜

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ワーキングマザーのピンチ!子どもが入院【金城わか菜の カフを下げて】

金城わか菜アナウンサー(OTV 沖縄テレビ)のカフを下げて―

こんにちは、沖縄テレビアナウンサーの金城わか菜です。
アナウンサーのマイクのON/OFFを切り替えるスイッチ=カフ。
このコラムでは、カフを下げて、放送には乗らない声をお届けしていきます。

次男が入院、いちでーじ!

前回のコラムで「保育園の洗礼」について書いた。
保育園の洗礼とは、保育園に通い始めた子どもはいろんな病気をもらってきて、それを繰り返して抵抗力を身に着けていくというものだが、我が家の場合、今回は一大事だった。
1歳次男の風邪が悪化し、入院したのだ。

夜明けの病室で

深夜に救急病院にかけこみ、そのまま入院と診断された。
同時に私も息子の病室で寝泊りする、いわゆる「付き添い入院」することになった。
その場でPCR検査を受けコロナ陰性を確認し、小児病棟についた頃には空が明るくなり始めていた。
病児用の柵付きの小さなベッドに、ぐったりしている息子と横になり、小さな手に繋がれた点滴を見て胸がつぶれる思いだった。
そして「すみません、しばらく休ませてください」と、ほの暗い病室で先輩にラインを送った。

小児病棟のベッドには落下防止の柵が施されている。
小児病棟のベッドには落下防止の柵が施されている。

付き添い入院は母子分離不安を避けるもの

入院時、様々な書類にサインをしたのだが、正直、気も動転していたし疲労もたまっていたのであまり記憶がない。
ただ「付き添い入院」に関する同意書に「母子分離不安」という言葉が記されていたことは覚えていたので、あとから検索してみた。

母子分離不安とは・・・
発育段階における親子、特に母子の関係性は、発達心理学においても重要な要素であり、乳幼児期における母子分離は人格形成に影響を与える。病児は慣れない入院生活の中で、食事が摂れなくなったり、不眠に陥ったりする恐れがあり、もともとの疾患とは別の問題を引き起こし、治療や手術ができなくなるそうだ。

なるほど、子どもがスムースに入院生活を送るために保護者がそばに付くことは不可欠なのだ。
親としても苦しそうなわが子が心配で離れてなんかいられない。
そんなこんなで初めての付き添い入院が始まった。

小さい体でがんばった! お医者さん看護師さんありがとう

主治医が何度も回診してくれたり看護師の皆さんの適切な処置のおかげで、息子はみるみる回復。駆け込んだ時は水さえも飲めなかったのに、退院間際には病院食をおいしそうに食べていた。

クッションを踏み台にして、どうにか抜け出そうとする1歳
クッションを踏み台にして、どうにか抜け出そうとする1歳

知らなかった、付き添い入院の実情

入院中、患者の子どもには栄養バランスのとれた食事が出る。息子の体調や発達に合わせて、お粥ときざみ食にしてくれたのもありがたかった。

しかし付き添い人には食事はない。1階にコンビニがあるが、コロナ感染防止のために気軽に出ることもできない上、子どもから一瞬も目を離すことができない。
ベッド柵をどうにか越えて抜け出そうとするし、点滴も引きはがそうとする。ゴロゴロ寝転がって点滴のチューブが首に巻き付いた時は、肝を冷やした。体力を取り戻したことはうれしいが、それはそれでハラハラさせる1歳児。

24時間看護、寝食もままならない保護者

こうした中、保護者は自分の食事を自ら調達したり、シャワーを浴びたりしなくてはならない。
コロナ禍では、付き添い人の交代も簡単にはできない。ありがたいことに病院から少しの間なら他の家族が看てもいいと許可を得たので、わずかな時間にコンビニで何食分も買いだめて、シャワーを済ませた。
さらには昼夜問わず吸引吸入の処置があるので、ほぼ寝られない。(もちろん看護師のみなさんの力があってのことです。感謝!)
子どもが寝ている時に、小児ベッドに身体を縮めて束の間の休息をとる。わずか4日間であったが、疲れがたまったのか栄養が偏ったためか、私はものもらいと口角炎ができた。

そう、付き添い入院はすごく過酷なのだ。

病児の回復を何よりも願う親心、その親のサポートも必要

深夜に着の身着のまま救急に駆け込んだ私たちだが、幸い病院が自宅から近かったため、必要なもの(おむつ、ミルク、おもちゃ、私の着替え、タオルなど)はあとから夫が持ってきた。しかし住まいが病院から遠い親子は、他の家族の負担もさらに大きいだろう。

頼れる人が少ないひとり親家庭はどうしているのだろうか。
そして何よりも私が気がかりだったのは上の子のことだ。

万が一長期入院になった場合、コロナ禍では面会も難しく、きょうだいとも長く離れることなる。
食事調達も困難、睡眠時間も少ない上に、様々な心労が重なる。保護者自身の健康を保つことが厳しくなりそうだ。

もし保護者が健康を害した時、わが子に付き添うことができなくなったとしたら、母子分離不安の懸念がさらに強まるのではないか。

入院中は息子の回復をただただ祈っていたので、あまり考え込むこともなかったのだが、きっともっと大変な苦労している親子がいるはずで、この状況を支援するサービスはあるのか、必要としている方々にサポートは届いているのか、いま思いを巡らせている。

1週間ぶりに出勤して・・・

突然仕事を休むことになり、キャスター業務も特集の放送もすべて放り出した1週間。
肩身を狭くして久々に出社すると「息子さん、無事でよかった!」「あなたも疲れたでしょう」「いつでも頼って」と声をかけてくれる上司や先輩、後輩の優しさが沁みた。

これまで子どもに関わる活動をされている人々の取材を続けてきた中で、「子どもは地域みんなで育てるもの」という言葉を多くの人から伺ってきた。
私の職場には、我が事のように心配して手を差し伸べてくれる人たちがいる。
看病疲れも残ったまま日常に戻ったが、私は恵まれた環境の中で働き、子育てをしていることに心から感謝したい。

毎朝、大荷物で登園&出勤!(背中にリュックも背負ってます)
毎朝、大荷物で登園&出勤!(背中にリュックも背負ってます)

おまけ

弟の入院中、ずっと我慢していたお兄ちゃん。
一緒に虫捕りに行きました~。
「ママ、セミとって!」とせがまれ、ハイ!捕まえましたよ!
しかも網を忘れたので素手で見事ゲット!どんどんたくましくなる母ちゃんです!

虫捕りのシーズン到来!
虫捕りのシーズン到来!

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