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くらしと経済編集部

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超高速通信時代の陰で大活躍。「“0G”低速通信」

小林
こんにちは。小林美沙希です。
デジタル機器の普及が進み、通信が高速化する現代社会で、その逆をいく「低速通信」が注目されています。
野村証券那覇支店支店長の北田敦司さんに伺います。宜しくお願いします。

北田
宜しくお願いします。

小林
スマートフォンやパソコンを持つのが当たり前となった時代、通信速度も大幅に向上していますよね。

北田
そうですね。
移動通信システムは、世代を表す英語、「ジェネレーション」の頭文字をつかって「4G」や「5G」と表現されます。
現在主流となっている第4世代「4G」から、今年ついに次の世代「5G」の商用サービスが国内でもスタートする予定です。
この5Gは、2時間の映画を3秒でダウンロードできるほどの速さを誇っています。

小林
それは便利ですね。
そうした中で、なぜ今、低速通信が注目されているのでしょうか。

超高速通信時代の陰で大活躍。「“0G”低速通信」

北田
低速通信が注目される背景には、「LPWA」という考え方があります。
今日、4Gや5G、Wi-FiやBluetoothなど様々な通信システムがありますが、通信速度が速い反面、消費電力や通信費用が高いといったデメリットもあります。
一方でLPWAは、通信速度は遅いですが、電力があまりかからず、広い範囲で通信できるという特徴をもっています。

小林
5Gとは、正反対といえる特徴ですね。

北田
その通りで、業界関係者の間では5Gと比較して「0G」ともいわれています。
様々なモノがインターネットにつながる現代社会では、通信速度の速さより、経済性が求められる用途も増えていて、0Gのニーズが高まっているんです。

小林
具体的にどのような活用法がありますか?

超高速通信時代の陰で大活躍。「“0G”低速通信」

北田
あるガス会社では、ガスの検針システムに0Gを導入していて、毎日正確なガスの使用量を把握することにつなげています。
また、ある空調機器メーカーでは、1日1回店舗や工場のエアコン室外機の点検をサポートするサービスに導入しています。
さらに、宮崎県高鍋町では自治体と企業が「町まるごとIOT化」に取り組んでいて、観光スポットの来場者の計測、ビニールハウスの温度や湿度の測定、防災の為に川の水位を収集する、など様々な分野で0Gの技術を使った通信網が利用されています。

小林
インフラなど、継続的なデータ収集が必要で且つ、生活に直結する分野に、コスト面で導入しやすい0Gは活用されているんですね。

超高速通信時代の陰で大活躍。「“0G”低速通信」

北田
そうですね。
このところ、大規模な自然災害が増えていますので、インフラの観測はますます重要さを増しています。また、あらゆる業種で人手不足が深刻化する中、手間のかかる点検や管理業務に、通信システムを導入するニーズも高まっています。
こうした背景をふまえて、2017年にはほぼゼロに近かった0Gの国内市場規模は、昨年は40億円となり、2021年には140億円規模まで急成長すると見込まれています。

小林
これからの通信の主役は、速さの5Gだけではないということですね。
0Gの今後の活躍が楽しみです。
今日は、注目の低速通信技術「0G」がもつ可能性についてお話を伺いました。
北田さんありがとうございました。

本記事では、2020年3月に沖縄テレビ「くらしと経済」で放送された
生活に役立つ経済情報を分かりやすく紹介しています。(掲載内容は取材時点の情報です)

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