不安の声を受け市民団体が実施　専門家が語るPFASの血中濃度調査の意義

沖縄県内の河川や水道水から有機フッ素化合物・PFASが検出されている問題で市民団体が血中濃度調査に乗り出した。専門家は今回の調査結果を踏まえて、行政にはさらなる問題への対応を進めてもらいたいと要望している。

アメリカ環境保護庁がPFASの毒性を重く評価、基準値はこれまでの3000倍に厳しく見直す

アメリカ軍が使用してきた泡消火剤に含まれる有機フッ素化合物その総称がPFAS。このうちPFOSやPFOAは国際条約で使用が禁止されている。

アメリカ環境保護庁・EPAはこのほど、その毒性をより重く評価。飲料水として健康に影響がないとする値をおよそ3000倍厳しくし、ほぼゼロに近い値にすると発表した。
この見直しの理由についてEPAはこれまでの研究で健康への悪影響がより明らかになってきたとした上で具体的に免疫システム・循環器への悪影響、そして低体重出生・発がん性を指摘。
さらに注目すべきは「新たな知見として子どものワクチンへの反応の低下が示された」と明記されたことだ。

健康への影響は…　市民団体が大規模な血中濃度調査に乗り出す

このPFASによる汚染が県内のアメリカ軍基地周辺で広がっている。
宜野湾市喜友名では集落の人々が利用してきた湧水・チュンナーガーから最大で国が安全とする値の40倍の高濃度で検出されている。
健康への影響はないのか…住民からの不安の声を受けて市民団体が血中濃度調査に乗り出した。
この日、希望する住民およそ50人が参加した。

住民
（喜友名は）土や水からも（PFASが）出てますでしょう。大変なことですよ、子どもたちにも何か影響あったら怖いですよね

住民
やっぱりこれは国がやってもらいたいとも思います

住民
水のことは直接命に関わることなので、もっと市民、県民を守るために県も国も動いてくれてもいいんじゃないかなって

今回の調査は、河川や水道水からPFASが検出されている宜野湾市や北谷町など5つの地域とPFASが検出されていない大宜味村の住民、あわせて350人から400人が参加して行われ地域ごとの血中濃度を比較するものだ。

専門家が語る意義　今回の調査結果が行政を動かす第一歩に

調査は京都大学の協力を得て実施されるもので、その意義について原田浩二准教授は…

京都大学環境衛生学原田浩二准教授
市民自身が科学的な調査を行うということの意義はすごく大きいんですけど、すでに問題が大きくわかっていることについて行政自体がこれを行わないというのは、これについては対応が十分ではないと考えております

汚染が判明している地域でこれだけ大規模に調査が行われるのは今回が初めてだが3年前に、原田准教授らは宜野湾市大山の住民44人を対象に同様の調査を実施していた。
その結果、住民の血液からはPFOSが全国平均のおよそ4倍の値（1ミリリットルあたり13.9ナノグラム）が検出された。
さらに、「PFHxS」という別の有機フッ素化合物も全国の53倍の値で検出された。この物質は肝機能への悪影響や、コレステロールの値を上昇させるなどの健康への悪影響が指摘されこのほど、国際条約での規制が各国で合意された。