コラム
2度目の沖縄暮らしで知った、那覇の住みやすさとアーケード街の魅力
目次
大都会東京での暮らしに疲れ、逃げるように沖縄移住を決めた2016年夏。
希望と期待に胸をふくらませながら那覇空港に降り立ち、バスに乗り、久茂地交差点近くで下車し、周りを見渡し、思った。
「あれ、ここTOKYO…??」
大都会・那覇にひよった沖縄暮らし1回目
久茂地で目にしたのは、渋谷で見たような気がするスクランブル交差点、そこを行き交う大勢の人々、そして立ち並ぶでかいビル、でかいビル、でかいビル&でかいビル。まごうことなき大都会の光景だった。
沖縄のことをロクに知らず「のんびりした南国のリゾート地☆」というテンプレイメージを引っさげてきたわたしは、那覇の都会ぶりにいきなり面食らった。
「都会から逃げた先で都会に住む」なんてちょっとした一人コントである。
よって居住地候補から早々に那覇を外し、その後いろいろ縁あって宜野湾市民となった。
適度に発展しつつ、海にもほど近く、北谷やコザ、そして那覇などにも遊びに行きやすく、それでいて人混みもでかいビルもスクランブルな交差点もない宜野湾市は暮らしやすさ抜群。
1度沖縄を離れることになった際も、「今後もし沖縄に戻ることがあったら、また宜野湾の民になるのもいいな」と思える程には愛着をもった。
沖縄暮らし2回目、わたしがいま住む場所は
そして現在、わたしは大都会・那覇の民だ。
しかも住居は観光スポットの王道「国際通り」のほど近く、都会オブ都会のような場所にある。「渋谷のど真ん中に住むようなもんじゃん!!!」と叫んだのは那覇市首里に住む知人だった。
一時は都会に疲れビビっていたわたしが、このたび那覇、そして今の家を選んだ理由は「車がなくても暮らせる、便利で住みやすそうな場所だから」の一点に尽きる。
近い将来パートナーができて一緒に暮らす(確定事項)ことになったら、その時に車やその他生活グッズを揃えればいい。
それまでの一人暮らし期間はできるだけ身軽でいよう、そして同棲相手ができたらすぐにでも那覇市外、できれば宜野湾市の2LDK築浅マンションに住もう!!なんて夢見ながら、あくまで”仮住まい”の感覚で那覇にきた。
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「そこまで好きじゃないけど、まぁ試しに付き合ってみるか。本命ができたらそっち行けばいいし!」
そんなズルい打算で付き合った相手に、いつの間にか本気でベタ惚れしてしまった………なんて経験はないだろうか。
わたしには一切ないが、今その疑似体験をしていると思う。何が言いたいかというと、那覇暮らしにドはまりした。
車がなくても住みやすい、散歩のはかどる都会・那覇
「車がないと、沖縄で暮らすの不便じゃない??」
そうたびたび聞かれるが、そこは県外の地方都市と同じく”都会”のメリット。スーパー、コンビニ、薬局、あとはショッピングモールなども徒歩圏内にあるため、生活に必要な買い物で困ることはない。
また、必然的に徒歩移動が増えたおかげで気付けたことがある。沖縄の街には面白いものがたくさん転がっているし、散歩こそ沖縄暮らしにおける最強エンタメだ。
ゆっくりと歩きながら周りの風景を見渡すと、ツッコミどころ満載の手書き看板や張り紙、顔面が多種多様にユニークなシーサー、「こんなところに!!?」という場所にある穴場of穴場なお店、手相占い、タロット占い、ガチめな魔女の館など、目に入ると二度見必須なスポットが至るところに出現。
散歩のたびにスマホのシャッターを切る手が止まらず、わたしのアルバムには1日50~100枚ペースで那覇の街写真が増えていった。
中でも、わたしが平日休日問わず入り浸っている場所がある。国際通りから1本入った場所に現れる、広大なアーケード街だ。
平和通りや市場本通りなど、10ほどの商店街が連なった昔ながらのアーケード街。
1回目の沖縄暮らしで訪問する機会はあまりなく、国際通りの入口あたりにはお土産ショップが多いことから「いろんなお土産が買える観光スポット」というイメージしかなかった。
しかし、いざふらりと散歩してみるとそのイメージは一転。
観光地として開かれてる一方、国際通りから一歩入れば奥に進むほどラビリンス。その魅力に取り憑かれ、今では土日や平日の会社帰りなど、ヒマがあればついついここに足を運んでしまう。
そんな魅惑のアーケード街。今回はその中でもわたしのお気に入りスポットをいくつか紹介させてほしい。
アーケード街の魅力①せんべろ街
まずは、公設市場跡地の裏にひろがる「せんべろ街」だ。
大阪に住んでいた頃も安くてウマい居酒屋はたくさんあったが、安ウマせんべろ酒場がここまでゴロゴロ集まった場所をわたしは他に知らない。
薄暗くて狭い路地に、赤々と輝く提灯たち。少し古びたレトロな飲み屋街の空気にあてられ、いつも一足踏み入れた途端にビールの口になってしまう。前コラムで紹介した友人Kさんと飲むのも大体ここだ。
せんべろのシステムは、「ドリンク3杯+つまみ1品で1,000円」が一番多い。
一方で、もし酒よりつまみをたくさん食べたい方がいたら「ドリンク・つまみ問わず計4品で1,200円」となる『那覇ゴールデン』と『那覇哀歌(ナハエレジー)』をおすすめしたい。特にナハエレジーはエスニック好きなわたしまっしぐら。
ちなみに、県内の友人が「はまぐり食べたい!沖縄ってどこ行けばはまぐり食べられるの!!」と発狂していた際、せんべろ街にある激安の殿堂『足立屋』に行けば「はまぐりの酒蒸し」が1個50円で食べられる旨を伝えたら重ねて発狂した。
アーケード街の魅力② 手作りスイーツのお店「日々草」
せんべろ街のほど近くにある『日々草』は、濃厚チーズケーキや濃厚プリンなどの手作り濃厚スイーツが美味しいスイーツ店だ。
店前のショーケースを見ていたら、オーナーの男性がおもむろに出てきて「一番人気はコレで、珈琲好きな人にはコレもいいよ!!」と軽快に説明しながらその場で全種類試食させてくれる脅威のサービス精神を拝めた。
このお店の名物はスイーツだけではない。地元の常連さん、ふらりと立ち寄った観光客、そしてフレンドリーなオーナーご夫妻を交えた、ゆる~い”ゆんたく”を楽しめる。
わたしが初来店したときには、隣に座っていた初対面の常連さん(79歳女性)が「たくさんあるから一緒に食べようね~」と、大盛りの沖縄ぜんざいを半分こしてくれた。舌と心に沁みた。
”近所の家に遊びに行く”ような感覚でふらふら足を運んでしまう、脅威のアットホーム空間が日々草の魅力である。
ちなみに、店の看板と同じくオレンジ色のシャツを身にまとい、黒のハットを被っているオーナー。見た目は全身巨人カラーだが、熱心な阪神ファンらしい。
アーケード街の魅力③ 派手ワイルドな婦人服
国際通りからアーケード街に入って奥に進んでいくと、地元の小さな婦人服屋さんがたくさん並んでいる。
これは沖縄、もしくはアーケード街の特徴なのか分からないが、変わったデザインというかわたし好みの派手でワイルドな柄の衣服が多くて大変眼福なのである。しかも値段が手頃なので完全にトラップ。
以前とある婦人服屋さんで気になる服を見ていたら、店主の女性に「あなたはコレとコレがピッタリだと思うよ!着てみていいよ!」とグイグイ試着に誘われた。
(強引……!)と軽くビビりながら流れで試着してみると、本当にピッタリで驚いた。我ながらよく似合っていて即お気に入り。
購入したい旨を告げると「3,000円だけど1,500円でいいよ!!」と、まさかのその場で半額出血大サービス。ワイルドなのは服だけじゃなかった。
アーケード街の魅力④ 嘉数商会のネコ店長みーちゃん
アーケード街には、ペット・野良問わずネコが多い。
仕事帰りにアーケード街を通り、出会い頭のネコをモフモフに撫でるのが欠かせない日課だ。奴らも人慣れが過ぎる。
どのネコも可愛くて毎度悶絶してしまうが、その中でも最たる推しが『嘉数商会』のネコ店長・みーちゃんである。推しの理由は上の写真から悟ってほしい。
この寝顔とムチムチのセルフ肉布団だけでも尊すぎて視力が上がるが、極めつけに、みーちゃんはこの状態で「お手」ができる。
「みーちゃんね、お手できるんですよ!手出してみてください!ほらみーちゃん!お手!お客さんにお手して!」
そう店主さんが促すと、寝ぼけ顔のみーちゃんが面倒くさそうにヒョイっと手をのせてくれる。
全人類が鼻血する。”カワイイ”の過剰摂取で卒倒するので気を付けてほしい。
アーケード街の魅力⑤ いつかは受けたい〇〇判断
アーケード街には数々の占いや魔女の館なんかもあるが、今いちばん気になっているのがこの「金玉判断」である。
なんだ金玉判断って。
なにを判断するんだろう。形?
初見で気になりすぎて予約しようか迷ったけど、ひとり映画やひとり焼肉は平気なわたしでも「ひとり金玉判断」の勇気は出てこなかった。
それ以降、県外から友人がくるたびに、アーケード街の観光案内と称してさりげなく金玉判断に誘導している。しかし毎度「ハハッ金玉」と一笑されて終了するので悲しい。
ネットで少し調べてみると、金玉判断の口コミや体験レポートがいくつも出てくる。どうやらものすごく真っ当な占いのようだ。
まともな説得材料を得たので、次に来沖する友人がいたら自信をもって連行しようと思う。
まとめ:”自由気ままな独身ひとり暮らし”は那覇がいい
こんな調子で、アーケード街に入り浸る日々を送っている。
何度ぶらついても一向に飽きず、見慣れた景色には愛着が湧き、新たな発見があれば歓喜してカメラを激写する。そして何はなくともネコはいる。
アーケード街には「地元っぽいディープさ」と「”ヨソ者”でも気にならない観光地っぷり」が混在されているので、ひとりでプラプラするのは楽しいうえに気がラクだ。これは地方都市、ひいては”都会”のメリットでもある。
もちろん、いつかは宜野湾市やその他ベッドタウンの2LDKに住む理想も捨ててはいない。
しかし、幸か不幸か「那覇市外でいっしょに暮らすパートナー」はまだ脳内にしかない。
自由気ままな独身ひとり暮らし中の自分にとっては、那覇は居心地がよく大変住みやすい街だ。
引き続きこのエンタメに満ちた都会の地、そしてアーケード街で沖縄暮らしを楽しみ尽くそうと思う。
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