沖縄経済
「林業×テクノロジー」で国産木材活用推進
後間
こんにちは。後間秋穂です。
今回はテクノロジーで国産木材の活用を推進する動きについて、野村證券那覇支店の石山昇平さんに詳しく伺います。よろしくお願いします。
石山
よろしくお願いします。
後間
林業といえばこのところ「ウッドショック」などの言葉を耳にしますが、木材が不足しているということですか?
石山
はい。2021年から住宅などの建設に必要な木材が世界的に不足していて、木材価格の高騰が続いています。
日本では国内で使用する木材の約6割を輸入に頼っているため、木材関連製品が不足しその価格もかなり高水準で推移しています。
後間
日本には山林がたくさんありますが、輸入木材に変わって国産木材をどんどん使えばよいというわけにはいかないのでしょうか。
石山
おっしゃる通りです。ただそう簡単にはいかない事情があるんです。
日本の林業従事者は2015年の時点で60年前の10分の1以下、4万5千人にまで減少する一方、65歳以上の高齢者比率は20%を超える高水準となっています。
こうした課題を抱える中、日本の林業は豊かな森林資源を活かせる産業となることが求められています。
そしてその有効な手段として期待されているのがテクノロジーの活用です。
後間
テクノロジーによってできるだけ省力化する必要があるというわけですね。
石山
そのとおりです。しかし現況の林業では、各過程において多くの課題があります。
まず森林情報を把握する上では、人手と時間を要する調査作業の効率化が求められています。
木材の生産段階では、危険で過酷な人力での作業を機械化し遠隔操作や自動化を進めデータを駆使した伐採計画の策定や進捗管理が必要です。
ほかにも木材の流通段階や森林の造成段階でもご覧のような効率化が求められています。
後間
林業の発展にテクノロジーを活用できる余地はかなりありそうですね。
石山
そうですね。こうした林業におけるテクノロジーの活用事例をご紹介します。
1つ目は、東京の企業の事例です。この会社では、ドローンで森林を撮影してAIで樹木の本数や生育状況を解析するシステムを開発しました。
2つ目は、兵庫県の企業の事例です。これはスマートフォンで写真を撮るのと同じ要領で、樹木や作業対象物を撮影すれば、樹木の直径や高さ、作業道や地形などの画像を3次元データにしてくれるというものです。
3つ目は、和歌山県の企業の取り組みです。この会社ではドローンのメーカーと共同して運搬専用ドローンを開発しました。
これによって人力で1時間かかる距離であれば所要時間を20分に短縮することができ、大幅な作業負担の軽減が図れます。
このように、テクノロジーの力で林業の振興を後押しして、労働力不足を補い国産木材の活用拡大につなげられる可能性は大いにありそうです。
後間
豊富な森林資源が有効活用されることに期待したいですね。
今回は「『林業×テクノロジー』で国産木材活用推進」についてありがとうございました。
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