公開日
普久原 朝弥

普久原 朝弥

宮城誇南 見た目は“高校生” 投球術は“大人” 名左腕コナン 南の誇りを抱きマウンドを支配する頭脳派エース【羽ばたけ!琉☆球児】(沖縄発 野球応援企画)

埼玉県浦和学院高校のエース・宮城誇南(みやぎ・こなん)

野球王国沖縄の新たなスターの原石に迫る!シリーズ企画!【羽ばたけ!琉☆球児】

甲子園に出場する学校は母校でなくてもテレビを囲んで応援。
球春到来を告げるプロ野球春季キャンプも毎年県内各地で大盛況。
そんな野球愛溢れるウチナーンチュの皆さん必見!
OKITIVEでは、沖縄県出身のアマチュア野球界の有望選手を紹介する【羽ばたけ!琉☆球児】をシリーズでお届けします。

宮城誇南(浦和学院高校・埼玉県)
2004年9月5日生/沖縄県読谷村出身
喜名キング-読谷ボーイズ-浦和学院高校
投手/174㎝・75㎏/左投左打

最速144km/hのストレートとスライダー、チェンジアップ、カーブなどの変化球を交ぜ、低めに集める投球のうまさと与四球の少ない精密機械のようなコントロールが持ち味。

2022年3月、選抜高校野球大会。
心地よい春風がアルプススタンドを吹き抜ける中、南国・沖縄で生まれ育った好左腕が聖地のマウンドで躍動した。
埼玉県の強豪・浦和学院の絶対的エースで読谷村出身の“宮城誇南”。

下級生の頃から頭角を現した宮城投手。
最終学年を迎え、主戦投手として臨んだ春の選抜はまさに本格ブレイクの瞬間となった。

初戦の大分舞鶴戦では、9回を一人で投げ切り、完封勝利。
続く2回戦でも7回10奪三振無失点の快投を演じる。
準々決勝でも7回を投げ切りエースの矜持を見せつけた。

ベスト4に進んだ準決勝ではそれまでの連投が考慮され、登板機会無くチームは破れてしまったが、宮城はこれまで甲子園で“負けなし”。

打者のひざ元からアウトローギリギリいっぱいまで、ストライクゾーンの幅を上手く利用し、打者に的を絞らせないクレバーなピッチングはまさに見ていて痛快である。

ブレイクを果たした春から更なるレベルアップを図り、挑んだ高校生活最後の夏。

埼玉県大会2回戦での今季初登板では、
5回コールド記録ながらノーヒットピッチングを披露した。
埼玉県内の他校から追われるプレッシャーもものともしない姿が印象的だった。

県大会制覇、甲子園への切符を手にするのは盤石かと思われた矢先、思わぬ展開が・・・

埼玉県大会決勝。聖望学園戦。
降りしきる雨に自分のリズムを狂わされたのか、宮城投手は序盤から制球に苦しんでいた。
しかし持ち前のゲームメイク力で8安打を許しながらの粘投で1失点に凌いでいた。
だが、この1点が勝敗を分ける失点になってしまった。味方打線も封じ込まれ、0-1の完封負けを喫し、最後の夏の甲子園にはあと一歩届かなかった。

彼の夢はまだ終わっていない。さらなる飛躍を実現するべく、次なる道へ進む誓いを立てた左腕の姿に迫った―――。

――本日は宜しくお願いします。生まれ育った沖縄の地を離れ、県外の高校に進学したきっかけは?

宮城
「元々、沖縄の高校に行くんだろうと自分自身も思っていたんですけど、中学3年生のときに県外の高校さんから声かけてもらえるようになって、埼玉の浦和学院だったり、神奈川の東海大相模さんだったり、関東の高校からも声をかけてもらえるようになり、自分の中で関東ってとてもレベルの高いイメージがあったので、もしチャンスがあるなら自分の力がどこまで通用するのかチャレンジしてみたいと思ったのが一番最初のきっかけです。」

――名立たる強豪校からの誘いもある中で、浦和学院高校を選んだ決め手は何だったんでしょう?

宮城
「もともと浦和学院は投手育成が良いと評判で2013年(選抜優勝時)の小島和哉さん(現:千葉ロッテマリーンズ)だったりOBで印象に残っている左ピッチャーがいたので、自分もそういう風になりたいって思って最終的に決めたっていうのはあります。」

――聖地・甲子園球場のマウンドで投げてみての実感はいかがでした?

宮城
「どこのマウンドよりも景色が鮮明というか、鮮やかな印象があります。とても投げやすかったです。3年生になった時に全国レベルでどれだけ通用するかっていう事が自分の中でもテーマとしてあったので、全国大会っていう大きな舞台で抑えることができたのは一つ自分としても手ごたえは少なからずあったと思います。」

――現在特に意識して取り組んでいる課題や、ピッチャーとしての将来を見すえる上で強化していきたい部分はどういうところですか?

宮城
「まっすぐの力強さっていうのはずっと自分の中で課題に挙げてやっています。ただ取り組んでいる中で少し制球を乱してしまったりしていた。今はとにかく勝つためのピッチングっていうところでコントロールっていうところをもう一度原点に立ち返っています。とにかく体重アップだったり下半身周りの強化だったり、上半身の胸郭回りの柔軟性だったり、体づくりの部分を少し見直して取り組んでいました。」

――いったん野球とは離れた話題になります。宮城投手は学業も優秀だと伺いました

宮城
「野球との両立の中でなかなか難しいところもあるんですけど。やっぱりそこは一つメリハリをつけてじゃないですけど、自分の中で分けて考えているところはあります。」

――聞くところによると、学業の成績も「オール5」だとか…

宮城
「一応オール5いただいたことはあります(笑)1年生と2年生の平均の評定で5.0だった感じです。5と4.9で平均5でした。」

――ハードな野球の練習と学校のテスト勉強はどう両立しているんですか?

宮城
「やっぱり限られた勉強時間になるんですけど、テスト前の期間は毎日一日3~4時間以上まとめて勉強しています。昔から公文や塾には行っていて勉強自体はそこまで嫌いではなかったので。好きではないんですけどやろうと思えば苦じゃないというか…。テスト勉強の期間はどうしても野球のことを考えるより勉強になってしまうので、逆に野球と離れられるっていうか、それはちょっと良いのかなって感じています。逆に勉強に専念している分、テスト期間が明けたときにまた少しフレッシュな気持ちで野球に向き合えるんです。」

(※宮城投手はクラスでも1、2番になるほど勉学も優秀だそうです。)

森大監督の指導の下、投球練習に励む宮城投手

――宮城投手が憧れている選手はいますか?

宮城
「プロの舞台で活躍されている宮城大弥投手(現:オリックスバファローズ)ですね。同じ沖縄県出身で、かつプロの舞台で活躍されていて凄いなって思います。身体が小さいながらも、果敢に攻めて緩急を使ったりだとか投球術を駆使して攻めているところが凄いなと思います。」

――宮城投手、高校卒業後の進路は大学に進学される?

宮城
「監督さんと話し合ってそうすることに決めました。やっぱり高卒でプロに挑戦するっていう選択肢もあったんですけど、このままプロに行ってもまだまだ通用しないと感じたのと、もう少し勉強っていうところも必要なのかなと感じたので進学することに決めました。
野球の道が駄目だった場合を考えると大学に行っていた方が良いなと思っていたところもありました。でも一番は将来を見据えて、大学四年間でもう一回りピッチャーとして成長してプロという舞台で勝負したいなって思ったからですね。」

⚾宮城誇南の『俺を育てた “地元メシ”』

読谷村喜名に店を構える地元で有名な『番所亭』の紅ざるセット

宮城
「沖縄そばは埼玉ではなかなか食べられないので、沖縄ならではの味でよく思い出します。外食でも家でもよく食べていました。沖縄そばも好きなんですけど、地元のお店のざるそばが好きでした。一番近所の喜名の「番所亭」っていうところはよく行っていました。
紅ざるセットっていうのを食べていました。紅芋が原料の紫色の麺が特徴的で、好きなざるそばでした。とにかく美味しいんです!」

⚾野球で夢を叶えて“恩返し”

宮城
「一番は親ですかね。自分が県外の高校に進学して野球をするっていったときもやっぱり何も言わずに「お前が決めたことなんだから」って送り出してくれたので。“誇南”という名前も「沖縄に生まれたことを誇りに思って欲しい」という親の思いが込められています。あと母の好きな漫画で「名探偵コナン」も少しかかっているのかな(笑)あまりいない珍しい名前なので気に入っています(笑)一番の恩返しは野球で活躍している姿を見せる事だと思って頑張っていきたいです。」

――最後に今後の意気込みを聞かせて下さい!

宮城
「将来的には大学でさらにレベルアップして、4年後のドラフト会議で上位指名されるような選手になってプロの世界で活躍できる選手になりたいと思います!」

*取材後記*
高校球界No.1左腕の呼び声高い宮城投手。注目される強豪校のエースにふさわしいマインドを持ち、他チームに追われる立場でもそのプレッシャーに負けない気持ちの強さがありました。自律心、自己管理能力が高く、そうしたメンタリティが彼のピッチングの魅力でもある修正能力の高さ、クレバーな投球術に通じているのだと感じました。高校最後の夏の悔しさをバネに4年後、大学球界を賑わす存在に成長しているはずと期待します!

あわせて読みたい記事

HY 366日が月9ドラマに…

あなたへおすすめ!