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OTV報道部

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集客の起爆剤となるか 進化する『クチコミマーケティング』

――今回は経済のスペシャリストであるブルームーンパートナーズの伊波貢さんと共にお伝えしていきます。

伊波さん
「よろしくお願いします。さて今回のテーマは『集客の起爆剤となるか、進化するクチコミマーケティング』についてです」

長引くコロナ禍の影響で客足が遠のき、飲食店にとって「集客に繋がる口コミ」が価値を増しています。

そんな中、県内のインフルエンサーを活用し低コストで質の高いクチコミを獲得できる新たなサービスがスタートしたので、取材しました。

利用客と飲食店どちらにもメリットが生まれるサービス 「PkoL」

那覇市久米にある和食店「和晩酌 嶺」。この日、あるサービスを利用して店を訪れた吉田珠里さんです。

インフルエンサー 吉田珠里さん
「今日はせっかくなので7品(盛り)でお願いします」

インフルエンサー 吉田珠里さん
「めちゃくちゃ楽しみにしていました。美味しい料理をたくさん頂いて、それが実質無料というメリットがあって来させて頂いています」

美味しい料理が「実質無料」?一体どういうことでしょうか。

彼女が利用しているのは、県内で2022年6月にスタートしたばかりのPkoL(ピーコル)と呼ばれるサービスです。PkoLとは言わば「街の身近なインフルエンサー」のこと。

SNSのフォロワーが1000人から2万人前後までの人を「PkoLさん」と呼び、PkoLさんが加盟店を利用してSNSやネットで口コミを投稿すれば、後日飲食代金が返ってくるだけでなくフォロワー数のランクに応じたボーナスを受け取ることが出来ます。

吉田さんは元々、県内の企業で広報を務めていましたが、その発信力を活かしたSNSでのグルメ投稿が人気を博し現在はインフルエンサーとして活動しています。

インフルエンサー 吉田珠里さん
「食べるために生きています、食べるのが大好きです。それで飲食店のPRに貢献できているのであればすごく嬉しいことだなって思います」

PkoLでは、フォロワー数など一定の条件を満たせば誰でもサービスに参加し、飲食店を盛り上げるインフルエンサーになることができます。

和晩酌 嶺 稲嶺盛伍 代表
「ここ最近増えているのが、インスタ見たよとかそうやって来てくれる方がいるので、PkoLの投稿で認知度がすごく上がったんじゃないかなと思います。ありがたく思っていますね」

「柔軟にサービスを活用出来ることが強み」

利用客と飲食店双方にとってメリットが大きいPkoLのサービスは一体どのようにして成り立っているのでしょうか。

サービスを考案した、マーケティングソムリエ沖縄の代表、宮里拓樹さんです。

伊波さん
「どういう収益モデルになっている?」

マーケティングソムリエ沖縄代表 宮里拓樹さん
「収益モデルとしては、飲食店からはインフルエンサーを手配、キャスティングするための広告費として料金を頂戴しています。グルメメディアのような月額の固定費が無いですし、リスクが少ない形で(利用できる)」

依頼は最低1万円から。その都度料金を支払えば良いので経営状況に応じて柔軟にサービスを活用できます。また来店するインフルエンサーの飲食代金はそのまま店の売り上げになる点が飲食店にとって大きなメリットです。

そしてこのサービスの肝は、PkoLさんのフォロワー数が「多すぎないこと」だと宮里さんは話します。

マーケティングソムリエ沖縄代表 宮里拓樹さん
「3000人のフォロワー数のPkoLさん・インフルエンサーがいた場合に、兄弟、友達、友達の友達というふうにフォロワーが地域に住んでいる確率が高い方々というところで、何十万人、何百万人フォロワーがいる(全国区の)インフルエンサーの方とフォロワーの性質自体が異なるというところが一番ポイントかなと思っています」

フォロワー数がそれほど多くなくても投稿を見てすぐ店を訪れることが出来る県民にアプローチ出来る可能性が高いのが最大の強みです。

和晩酌 嶺 稲嶺盛伍 代表
「大体で200人ぐらい(店のSNSの)フォロワーが増えました。皆さんコロナの影響で自粛している方がいると思うので、(新型コロナが)落ち着いた頃に今まで(クチコミを)見ていただいた方たちが来てくれるんじゃないかなと思います」

伊波さん
「コロナ禍で経営が厳しい中、1万円からサービスを利用できる手軽さは重要です。その他にもネット上のクチコミが増えていけば検索ランクの上位で表示される可能性も高まり、そこからの集客にも期待できます」

今後の飲食業界に活気を取り戻すには口コミが大切

今後が楽しみなPkoLですが、サービスの考案に至った背景にはあるストーリーがありました。

国際通りに店を構える民謡ステージ「歌姫」。この店を長年にわたり切り盛りしてきたのは、宮里さんの母であり民謡歌手の我如古より子さんです。

本格的なライブと軽快なトークが人気の店ですが、新型コロナの影響で経営は依然として厳しい状況です。

民謡歌手 我如古より子さん
「開き直るしかないな、考え過ぎるとおかしくなりそうなので。お客様との会話、それが救いだったかな」

苦しい状況にありながらも、なんとか店を続けられているのはクチコミによって店を訪れてくれる客の存在が大きいと話します。

民謡歌手 我如古より子さん
「横の繋がり、クチコミで皆さんお客さんとしていらしてくださるので、大げさですけどその人の人生の中で一生の思い出に残るようなステージ、そして対応とおもてなしを心がけています」

宮里さんも経営に携わる中でクチコミの重要性を実感するとともに、母のステージにかける情熱に応えたいという想いがサービス考案のきっかけとなっています。

マーケティングソムリエ沖縄代表 宮里拓樹さん
「お店の経営のことって結構感情がマイナスになってしまうこともあるので、そういったものを気にせず唄を歌うことだけを楽しんでもらえるような環境を作るのが僕の仕事だと思っている」

長引くコロナ禍の中で魅力があるにもかかわらず日の目を見ない店が多くある中、飲食業界が活気を取り戻すためには「価値あるクチコミ」がカギを握っています。

マーケティングソムリエ沖縄代表 宮里拓樹さん
「本当にこだわって夢を持ってキラキラした目でお店を育てていこうと思っているオーナーさんとか、そういった方々の力になれるというのはすごく良いなと思っているので、このサービスに今後一番力を入れていきたい」

今日の一言

――さて伊波さん、今回のテーマから見えてきたことはなんでしょうか。

伊波さん
“新しい助け合いの形 ゆいまーるDX!”

本当に良質な料理やサービスを提供する飲食店を、SNSを活用して地元の人が本気の評価で支援。飲食店も低コストで広報ができ、皆にメリットがあるサービス。他の業種でも知恵を絞れば参考になりそうです。

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