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くらしと経済編集部

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住宅ローンに縛られない暮らしの提案 3Dプリンター住宅のいま

後間
こんにちは。後間秋穂です。今回は「最新技術で安く住宅を建てられる『3Dプリンター住宅』のいま」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。

後間アナと宮里支店長の2ショット

後間
3Dプリンター住宅とはどのようなものでしょうか?

宮里
はい。建築業界では、3Dプリンターは主に建築模型をつくるために使用されていましたが、近年では建物そのものを作れるまでに技術が発展しています。
3Dプリンターによる建築は、曲線が描けるため自由度の高い住宅が建築できるほか、従来の建築工事のように廃材が出ないといったメリットも注目されており、いまや世界中で導入されています。

後間
なるほど。では日本でも3Dプリンターで様々な住宅が造られているのでしょうか。

宮里
実は、国内で3Dプリンター住宅を普及させるためには世界的に最も厳しいといわれる日本の建築基準法に準拠しなければなりません。日本は地震が多いため、特に耐震基準について厳格なのです。

後間
簡単にはいかないということですが、現状はいかがですか?

宮里
2022年3月に、国内の事業者が建築基準法の対象外となる広さ10平米の住宅を完成させ、2022年の夏以降に販売予定となっています。
2023年の春には建築基準法に準拠した、鉄筋構造の広さ49平米の住宅を500万円以下で販売する予定です。
この事業者は、最終的には100平米で300万円の住宅建築を目指しています。

一般向け住宅のイメージ

後間
数百万円で住宅が購入できるというのは驚きですが、一般的な住宅の建築費用はどの程度なのでしょうか。

宮里
住宅金融支援機構が2020年度に行った調査によれば、土地を含まない注文住宅の建築費用は全国平均が3534万円で、土地を含めた場合は4397万円でした。
ちなみに沖縄県の場合、土地を含まない注文住宅の建築費用の平均は全国平均よりおよそ50万円高く、土地を含めると250万円も高いのが現状です。

建築費・ローン利用年齢の比較

後間
ではなぜ3Dプリンターを活用することで、費用を低く抑えることができるのでしょうか。

宮里
まず、住宅建築費用の内訳は、一般的にはおよそ6割が資材や人件費等の工事原価です。
住宅の建築期間は木造では4~6カ月、県内で主流の鉄筋コンクリートだとさらに数ヶ月長くなるため、建築期間を短縮することができれば人件費を抑えることができ、住宅価格の低下につながります。
3Dプリンターは図面と素材があれば、人の手を介さずに家を建てることができます。そのため資材の輸送コストや加工コスト、廃棄物の処理コスト、建築時の人件費などを大幅に削減することができるため建築費用を低く抑えることができるのです。

住宅建設費の削減

宮里
またコスト以外のメリットとしては、大工の高齢化や後継者不足問題、環境問題なども同時に解決できる可能性があります。
また近年は、コロナ禍で住宅ローン破綻、返済困窮者が増加しています。
3Dプリンター住宅は、長期にわたる住宅ローンからの解放による社会問題を解決できる可能性を秘めています。

大工の人口減少

後間
3Dプリンター住宅が普及されることを期待したいですね。宮里さんありがとうございました。

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