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普久原 朝弥

普久原 朝弥

平良竜哉 白球を全力で迎え撃つフルスイングが魅力の“沖縄のアルトゥーベ”【羽ばたけ!琉☆球児】(沖縄発 野球応援企画)

NTT西日本硬式野球部の主砲・平良竜哉(たいら・りゅうや)

野球王国沖縄の新たなスターの原石に迫る!シリーズ企画!【羽ばたけ!琉☆球児】

甲子園に出場する学校は母校でなくてもテレビを囲んで応援。
球春到来を告げるプロ野球春季キャンプも毎年県内各地で大盛況。
そんな野球愛溢れるウチナーンチュの皆さん必見!
OKITIVEでは、沖縄県出身のアマチュア野球界の有望選手を紹介する【羽ばたけ!琉☆球児】をシリーズでお届けします。

平良竜哉(NTT西日本・大阪府)
1998年7月9日生/沖縄県うるま市出身
前原ルーキーズ-伊波中学校-前原高校-九州共立大-NTT西日本
内野手/170㎝・78㎏/右投右打

相手ピッチャーのどんな球にも力負けしないフルスイングから一発で仕留めるバッティングが持ち味の右の強打者。出塁したら果敢に次の塁を狙う積極的な走塁も魅力。

大リーグ、ヒューストン・アストロズに所属する内野手 “ホセ・アルトゥーベ”。
身長167cmながら強打や俊足で世界の野球ファンを魅了し、最高峰のメジャーリーグの舞台で、首位打者や盗塁王、最多安打など輝かしいタイトルを数々獲得しているベネズエラのスタープレイヤーだ。

そんな偉大なワールドクラスの選手を彷彿とさせ、“沖縄のアルトゥーベ”の異名を持つ、ユニークな選手が故郷を離れ、社会人野球の道で躍動している。

強豪・NTT西日本硬式野球部の背番号1、平良竜哉。

スイングを始動し大きく弧を描く豪快なバットの軌道は、まさに空振りでもお金が取れるほどの思い切りの良さ。芯で捉えた強烈な打球はあっという間に外野フェンスを越える。こうした長打の魅力に加え、九州共立大学時代は、4年間の通算でリーグ100安打を達成するなど高いレベルでバッティング技術も見せている。

2022年9月16日、社会人野球の全国舞台・日本選手権への出場が懸かった近畿地区最終予選。
最終日のニチダイ戦で、平良の真骨頂・フルスイングから繰り出す打棒が火を噴いた。

両チーム無得点の3回2アウトランナーなし。相手のチェンジアップを完璧に仕留め、試合の均衡を破るソロ本塁打を放つと、5回にはノーアウト一塁の場面でインコースの直球をフルスイング!この日のチーム全得点をたたき出す2打席連続のアーチで、全国への切符を手繰り寄せる圧巻のバッティングを見せつけたのだ。

ここ一番で試合を決める一発を放つ、この選手が打席に立つと何かが起こるのではないか…、そんな高揚感を抱かせてくれる魅力が平良竜哉にはあるのだ。

プロ野球ドラフト会議での指名対象となる社会人二年目を迎えた
うるま市が生んだ24歳の若きスラッガーのフルスイングの原点に迫った―――。

平良竜哉選手リモート取材時の様子

――まずは日本選手権出場おめでとうございます!ご自身の2本のホームランで全国の切符を掴みましたが手ごたえはいかがでしたか?

平良
「予選中、それまでの試合は思うように結果を残せなくて、でも落ち込んでいても仕方がないと切り替えて、何が駄目なのか?なんで打てないのか?ということを試合と試合の間の練習で自分の中で見つけて克服できたことが結果として出たのかなと。何も不安なく、この感じがあればいけるという確信が自分の中で掴めたので、自分の悪い部分を修正できたっていう部分が今大会は一番最後の試合で打てた要因だったので手ごたえを掴めたことが嬉しかったですね。最後に2本出て良かったと思っています。」

――平良選手と言えば、やっぱり豪快な“フルスイング”が持ち味ですが、そのルーツはどこにあるのでしょうか?

平良
「僕的にはシンプルなんです。野球を始めた時にルールも何も分からなかったので、とにかくピッチャーが全力でこっちに投げてくるのを僕は全力で打とう!っていうシンプルな考えから始まったところです。思いっきり振るっていう意識が小学生の頃から現在まで共通していることです。なにか特別感があるでもなく、超シンプルなんですけど。(笑)」

――徐々にピッチャーもタイミングをずらしてきたり対策を練ってきたりがあると思いますが、それでもフルスイングを貫けたのはなぜでしょう?

平良
「もちろん(相手の)レベルが上がって、どうしても打てないときに自分の打撃を見直してしまうと、(ボールに)合わせて打ちにいってしまったりすることも多かったんですけど、そういうときこそ本当にシンプルに自分の打てるコースのボールだけ打とうっていう考えが僕の中で一番大事だったので、野球する上で一番欠かせないポイントです。

――平良選手自身、三振は怖くないんですか?

平良
「逆に当てにいくバッティングをしてしまう方が僕としてはあまり良い結果に繋がらないので、思いっきり振って三振するぐらいに当てに行ってアウトになるならしっかりスイングしようと心掛けています。三振が多く出る部分は現時点での技術不足なので、そこはしっかりコンタクト率も振る中で上げていけたら結果は出ると思うのでそこは一つの課題として、もっと自分の長所を伸ばせるようにやっていきたいと思います。」

――地元沖縄を離れ、社会人野球の道に進みトレーニングに励む平良選手、普段はどんな一日を過ごしているのでしょうか?

平良
「大体、朝9時ごろから練習が始まって、全体練習が昼前ぐらいまで。昼~夕方の時間は個人の技術力アップの時間が設けられていて、個人的にノックを受けたり室内で打撃練習をしたり夕方頃にウエイトをして18時半ごろから夕食食べてっていう流れになります。僕たちは野球の練習がお仕事となっているので会社にはあまり行きません(笑)」

――これまで経験してきた学生野球と社会人野球、どういう部分で違いを感じますか?

平良
「一番は、大学生と同じ球速でも『球の速さの感じ方』だったり『キレ』っていうのはチームに入った頃は全然対応できなくてかなり苦しみました…。その中でじゃあどうやったら打てるんだろうって考えて大きく変われたのは今年入ってから(社会人2年目)だったので、少しずつ自分の中の対応力、技術力というのは確かに上がってきた。ピッチャーのキレ、球質は学生の頃とはまったく違う部分でした。」

――そこについての対応は具体的にどういうふうに意識して取り組んだのでしょうか?

平良
「『一球で仕留める意識』を大切にしました。社会人の投手はコントロールも良く、甘いボールを仕留められなかったら相手ピッチャーも色々修正してきてストライクゾーンの四角に色んなボールを投げてくるので、自分の中では一球で仕留めるっていうのは練習の中でも試合の中でも特に意識してやっています。」

――平良選手は、タイシンガーブランドン大河選手(現:埼玉西武ライオンズ)と幼馴染、NTT西日本 出身では、野村勇選手(現:福岡ソフトバンクホークス)がプロ1年目から活躍していて、身近な同世代のプロでの活躍はどう映っていますか?

平良
「小学校から一緒にやってきたブランドンがプロで頑張っているのを見るとなおさら同じ舞台にっていう思いが沸いてきます。(野村勇選手は)去年、同じ二遊間を組んでいて、一番間近でプレーを見て衝撃を受けたのは身体能力の高さ。投げる、打つ、走るにしてもチーム内でもズバ抜けていてこれぐらいのプレイヤーにならないとプロになれないと感じられたのは一番の収穫でしたし本当に勉強になりました。」

――プロへの思いも強い?

平良
「小学生の頃からプロ野球選手になるのが夢で、大学の時に(ドラフト会議での指名に)かからず悔しい思いをしたんですけど、社会人に入って2年間しっかり練習して、プロに入って活躍できるような選手に、という思いで2年間過ごしてきたので、今年のドラフトでプロに挑戦できる機会があれば、彼らと切磋琢磨しながら一緒に頑張りたいです。」

⚾平良竜哉の俺を育てた “地元メシ”

県内各地に店舗がある『キングタコス』(通称:キンタコ)のタコライス

平良
「高校の時は親の弁当でしたけど、そんな中でも休日みんなで食べに行ってたのは、うるま市あげなにある「キンタコ」! 沖縄に帰ったら絶対食べます。僕の中でタコライスは帰省したら絶対食べないといけないので(笑)王道の野菜、チーズ大盛りのタコライス。県外にはない沖縄にしかない独特なお店なので。沖縄の中でもキンタコのタコライスはナンバーワンだと思っているんで!(笑)」

⚾野球で夢を叶えて“恩返し”

平良
「身近である家族ですかね。親もそうなんですけど兄弟も全員が毎日連絡とりあうくらい。大学の時から大会があるたびに県外に応援に来てくれたりするので、毎日忙しい中で僕に関する(野球の)情報を気にしてくれたり。一番はプロに入って結果を残して家族に恩返しをしていきたいです。」

――最後に今後の意気込みを聞かせて下さい!

平良
「今回(2022年10月20日)のドラフト会議に向けて最後の大会も終わったので、プロに入ることができるのであれば一番の目標は沖縄県民に応援してもらえる、愛してもらえるような選手になるのが理想です。そしてもしプロに行けるとしたら社会人で今のチームメイトと一緒にやれる最後の大会が日本選手権なので、会社に恩返しができるプレーを僕はやらないといけないと思うので、プレッシャーもありますけど2年間育ててもらった部分もありますしチームに貢献できるようにやっていきたいと思います!」

*取材後記*
沖縄愛溢れる平良竜哉選手!近年のプロ野球のトレンドでもある“強打の二塁手”といえる彼のような存在はどのプロ球団も欲しがること間違いなし。大学時代の指名漏れという苦汁を味わい社会人でハイレベルな技術や経験を培った今をプロはどう評価するのか。きっと良い結果が生まれるはず。ドラフト会議の日を心待ちにしましょう!

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