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OTV報道部

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「素晴らしさに心うたれて」宮平貴子監督が“組踊”の魅力を伝える「シネマ組踊 孝行の巻」が上映

沖縄が世界に誇る伝統芸能「組踊」の面白さ、奥深さを知ってほしいと、このほど映画「シネマ組踊 孝行の巻」が製作された。

「組踊を知らない人が居るのがもどかしい」

メガホンをとったのは県出身の宮平貴子監督。そして、映画のPRにひと肌脱いだのはユーチューバーの「リュウカツチュウ」の皆さん。映画、そしてPRの方法ともにこれまでにない新たなカタチだ。

映画予告
「沖縄が誇る出演陣とスタッフで大胆かつ繊細な映像が誕生!全てを理解する必要はありません。約300年前、組踊を初めて見た冊封使の気持ちになって想像を巡らせてください。シネマ組踊孝行の巻」

メガホンをとったのは宮平貴子監督。これまで「アンを探して」など現代を舞台にした作品を撮ってきた宮平監督は、「組踊」や伝統芸能については全くの初心者だったが映画のプロデューサーの情熱に心を動かされたと振り返る。

宮平貴子監督
「(プロデューサーが)組踊というものを歌舞伎とか、能とかと同じ重要無形文化財として認められているのに、誰も知らないっていう事がすごくもどかしいんですっていう想いがある方で。こんなにも人を夢中にさせる組踊って何だろうという素朴な疑問があって。私自身は一直線に逃げたいぐらいのことだったんですけど」

“組踊”を初めて触れる人でもわかりやすい工夫

宮平さんは、自身が初めて触れるからこそ必要と感じた組踊の歴史や特徴についての解説を映画の冒頭に入れ、組踊初心者でもわかりやすく見られるよう工夫した。

映画より
「立方の動きは最小限に抑えられ、映画のスローモーションにすることで人物の感情に浸っているような効果を生み出しています。地謡は登場人物の喜怒哀楽を音楽で表現します」

組踊の立方・地方として活躍「リュウカツチュウ」が映画PR

奥が深い組踊の世界。宮平監督は映画の製作過程でその世界に夢中になる若者たちに出会った。

ユーチューバーとして数々の動画を配信する「リュウカツチュウ」。3人とも20代組踊の立方・地方として活躍している。2022年8月31日。その「リュウカツチュウ」のメンバーが映画のPRにひと肌脱ぎ、製作を応援してくれた人たちだけが見られる限定のライブを配信。

組踊のセリフが「琉歌」という独特の歌の形式をとることから3人は即興での琉歌づくりに挑んだ。

組踊地方・三線 棚原健太さん(29)
「(琉歌は)八八八六の計30音で出来ています。パッと言われてもあまりイメージが出来ないかと思うんですけど、例えば『てぃんさぐぬ花』とか組踊のセリフ(人々は心情を)即興的に歌っていったんですね。現代でいうストリートラップみたいな」

持ち時間は15分。参加者から寄せられる言葉に着想を得て新たな琉歌が生み出された

【琉歌】
行逢たるや御縁
さだりうみはまて 寄らて物語
花よ咲かさ

Q.その心は

「行き逢った御縁は何よりも大切に。それぞれの物語で、皆さんの花を咲かせましょう」

組踊立方・琉球舞踊 高井賢太郎さん(27)
「この琉歌を見て聞いて、どう感じるかっていうのはそれぞれの解釈。正解がないっていうのも琉歌のいいとろこなんですよね」

宮平貴子監督
「300年前にタイムスリップしたのかなっていうぐらい。昔の琉球古語を使いこなして15分で歌をつくるっていうことを今の20代の若者がやっているということに私、驚愕をして感動しました。ありがとうございます」

喜怒哀楽を楽器で表現「現代でも共感できる事が沢山ある」

配信終了後に改めて映画の見所をうかがった。

映画に立方として出演する高井賢太郎さんは、ひとりの少女が家族を救う300年前の物語の面白さにも注目していほしいと話す。

組踊立方・琉球舞踊 高井賢太郎さん(27)
「涙しそうになったりとか、そういう体験があるので。すごい昔の作品ですけど、現代の私たちが共感できることが沢山ある」

組踊地方・琉球箏 町田倫士さん(25)
「喜怒哀楽ってところで、楽器がうまく、その嬉しさだったりとか悲しさっていうのを表現していくんですよね。場面場面の楽器の音色だったりとか、地謡(じうてー)の歌、音楽の表現とかにも注目していただけたらなと思います」

宮平貴子監督
「やっぱりすばらしさに心を打たれて、映像にしていますので、願わくば私のように食わず嫌いで伝統芸能に向き合ってこなかった皆さんに一度でもいいから騙されたと思って足を運んでいただきたいなと思います」

飽きさせないカメラワークで組踊の真髄を伝える「シネマ組踊 孝行の巻」は2022年11月4日まで桜坂劇場で公開されている。

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