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平良 いずみ

平良 いずみ

待ちに待った世界のウチナーンチュ大会迫る!まちかんてぃ~しています。【平良いずみのよんな~よんな~通信】

平良いずみアナウンサー(OTV 沖縄テレビ)よんな~よんな~通信

地球儀でみると点ほどの小さな小さな沖縄に、世界中から沖縄にルーツをもつ人々が集結する世界のウチナーンチュ大会が間近に迫ってきました!
10月31日から5日間開かれる大会を、まちかんてぃ~して(待ち望んで)います。

2016年 第6回世界のウチナーンチュ大会

「おかえりなさい」「ただいま」の言葉が飛び交い、人々の笑顔の花が咲くあの会場にいると、世界に雄飛した先人たち一人ひとりに、かけがえのない人生があって“今がある”ということを感じることができ、フワッと、ジワっとあったかい気持ちが湧いてくるのです。

地球の反対側にある“もうひとつのオキナワ”へ

少しここで戦後の沖縄の移民史を振り返ると…
1945年の米軍上陸以降、沖縄では広大な土地が米軍用地として接収され、人々は農地や宅地を失ったため、生活は困窮を極めました。そこで、琉球政府が推し進めたのが移民政策。
1954年から農業移住で約3300人あまりが南米・ボリビアへ渡ったのです。

1954年 移民船出港を見送る人々

8年前のこと、私は世界に羽ばたいたウチナーンチュの想いに触れたいと思い立ち、地球の反対側、南米ボリビアにある県人移住地・コロニアオキナワへの取材を企画。出発を前に過去の素材と向き合っていた時、あるインタビュー映像に大きく心を揺さぶられました。
それは1989年に撮影されたもの―。

1989年 南米ボリビアで撮影された映像

1954年に第一次移民としてボリビアに入植した長嶺成次さん(故人)は、原因不明の熱病で同胞を亡くし失意に打ちのめされながらも、移住地をボリビアでも有数の農業地帯にした篤農家でした。

長嶺さんの後ろで子弟が駆け回る中、インタビュアーは、こう尋ねます。
「現地で生まれ育った子や孫たちのことを亡くなった方々にどう報告したいですか」

すると、長嶺さんはぐっと涙を堪え、声を詰まらせながら
「子や孫たちが元気に三線を学んでいる姿を……見せたかった」と語ります。

わずか1分の映像ですが、そこには激動の時代を苦しみながら生き抜いた初期移民の方々の想いが刻まれていました。

時を超える映像の力

私は、この映像を携えコロニアオキナワへ飛びました。

異郷の地で支え合い生きるコロニアオキナワの人々
2014年 南米ボリビア コロニアオキナワにて

かつて原始林だった土地は、ウチナーンチュの手によって開墾され、ボリビア政府から「小麦の首都」と認定されるほどの希望の大地に生まれ変わっていました。

コロニアにある学校で子どもたちは懸命に日本語を学び、三線を奏でていました。

コロニアオキナワの中学生たち 2014年撮影

そんなウチナーンチュの子弟たちが学ぶコロニアオキナワの中学校での上映会で、長嶺成次さんのインタビューシーンをじっとみつめる少女を、カメラは捉えました。

上映会で出会った少女

次の瞬間、少女の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちました。
長嶺恵さん、当時14歳。
彼女は、映像に映った成次さんのお孫さんでした。

番組 『往復書簡 もうひとつのオキナワ』より(2014年放送)

時を越えて、孫娘が映像の中の祖父と出会い、想いが届いた瞬間でした。
これこそが映像の力!!!

上映会終了後、目をキラキラさせながら恵さんは「おじいちゃんに会えて、本当に嬉しい!」と駆け寄ってきてくれ、私たちはともにあったかい涙を流したのでした。
私はその光景を一生忘れないだろうと思います。

物語は続く・・・

物語はここで終わりませんでした。
それから2年が経った2016年、第6回世界のウチナーンチュ大会にあわせ、恵さんが初来沖。
私たちは“再会”を果たしました。

2016年 那覇空港にて

かつて日本語を学ぶことに消極的だったという恵さんは祖父の想いに触れ、その後、懸命に勉強されたとのこと。
祖父の故郷で親族や地域の人々から歓待された恵さんは、流暢な日本語で会話を交わし、心を通わせていました。
その光景を目にした時にも、フワッと、ジワっと熱いものがこみあげました。

歓迎会でカチャーシーを踊る恵さん

沖縄での恵さんの輝くような笑顔を見て、放送で私は、こうナレーションを添えましたー

「祖父の故郷・沖縄が少女のもうひとつの故郷になりました」と。

こうした映像を通しての出会いが私の大きな財産です。

あれから6年―、
22歳になる恵さんに今月末からの世界のウチナーンチュ大会に参加されるかメールで伺ったところ、「仕事の休みが調整できたら、行きたい」との返答。そっかぁ、もう社会人になられているのだと感慨に浸りつつ、あの澄み切った笑顔をひと目みたい!と、想いを募らせているのでした。

世界中のウチナーンチュの皆さんのお帰りを、まちかんてぃ~してますよー!

【追記】
このコラムに書いたことがきっかけで番組アンコールの声が寄せられ、8年前に制作した「往復書簡もうひとつのオキナワ」の再放送が決まりました!
10月31日(月)午後3時50分~放送
コラムに書いた現地取材から2年後のエピソードも新たに加え、再編集版でお送りします。
ご覧いただけたら嬉しいです。

~往復書簡~ もうひとつのオキナワ

世界に雄飛したウチナーンチュが沖縄に集う「第7回 世界のウチナーンチュ大会」の開催に合わせ、2014年に制作した番組を再編集してお届けします。
【放送日】10月31日(月)ごご3時50分

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