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普久原 朝弥

普久原 朝弥

大城元 今夏の熱闘が記憶に新しい 沖縄が誇る二刀流プレイヤー【羽ばたけ!琉☆球児】(沖縄発 野球応援企画)

KBC未来沖縄高校の大城元(おおしろ・げん)

野球王国沖縄の新たなスターの原石に迫る!シリーズ企画!【羽ばたけ!琉☆球児】

甲子園に出場する学校は母校でなくてもテレビを囲んで応援。
球春到来を告げるプロ野球春季キャンプも毎年県内各地で大盛況。
そんな野球愛溢れるウチナーンチュの皆さん必見!
OKITIVEでは、沖縄県出身のアマチュア野球界の有望選手を紹介する【羽ばたけ!琉☆球児】をシリーズでお届けします。

大城元(KBC未来沖縄高校)
2004年7月12日生/沖縄県那覇市出身
オール上間-石田中学校-KBC未来沖縄高校
投手兼外野手/180㎝・79㎏/右投右打

高い出塁率とシャープな打撃が注目される「打者」としての魅力がある一方、上から叩きつけるような力強いストレートで押し変化球でタイミングをずらして打ち取る「投手」としての魅力も備え持つ二刀流プレイヤー。

2022年、熱戦を繰り広げた全国高等学校野球選手権沖縄大会。4回戦までは相手チームを平均1点以下の失点に抑えて順当に勝ち進み、決勝戦の沖縄尚学戦も7-1での完勝で県下を制した興南高校。

県代表として甲子園に出場し、球児たちが白球を追いかける姿も記憶に新しいが、その県内屈指の強豪・興南を県予選でこの夏、最も苦しめたと言われているのが、準決勝で激突したKBC未来沖縄高校である。

今大会は、同校初の選手権ベスト4入り。ベンチ・スタンド一体となって2回戦で第一シードの沖縄水産を破った勢いは、その後の快進撃を支えた。
迎えた準決勝ではこの大会初めて興南投手陣から4点を奪うなど白熱したシーソーゲームを展開。延長12回までもつれる熱戦の末、4-6で興南高校が接戦を制した。

激闘の立役者となったのはKBC未来沖縄高校・1番バッターで主力投手の大城元。

2-2の4回から2年生先発依田龍斗から2番手投手としてスイッチした大城は、延長12回までの9イニング137球を投じ、被安打8、失点4、二桁となる奪三振10を記録するロングリリーフを披露した。
さらに打っては、興南高校のエース生盛亜勇太から7回裏にレフトへの2点タイムリーヒット、9回裏にも右中間二塁打を放つなど勝負強いバッティングも光った。
高校生活最後の夏、目標としていた甲子園には届かなかったものの、彼の躍動は多くの県内野球ファンの心に強烈なインパクトを残した。

激闘から2カ月。さらなる上のステージへ挑戦すべく、大城元は県内の高校生で今季いの一番にプロ志望届を提出した。
大城のもとにはNPB球団からの調査書も届いているという、プロスカウトの注目も引く存在だ。

10月20日(木)運命のプロ野球ドラフト会議を2週間前に控え、新チームとなった後輩たちと共に汗を流しながら、プロ球団からの指名を待つ大城に高校野球を振り返ってもらった―――。

――今日は宜しくお願いします。高校三年間の野球生活を振り返っていかがですか?

大城
「コロナで練習が出来ない時期もあったんですけど、その中でもどれだけ努力できるかだと思って、また指導者のかたが集団感染にならないようにメニューも考えてくれて、それに自分自身もしっかり付いていくことができた。成長できた3年間だと思います。」

――KBC未来沖縄高校に進学して良かったところは?

大城
「投手陣がしっかり育成されるという評判もありました。また午前中は授業で、午後は野球に専念出来る環境も練習時間を確保できたのでよかったと思います。そのぶん周りの学校よりも成長できた3年間だったと思いますね。」

大城元選手 練習合間での取材時の様子

――熱戦を繰り広げた夏の高校野球選手権沖縄大会。第一シードの沖縄水産を破るなど快進撃が続きましたが、振り返っていかがですか?

大城
「秋季大会と春季大会が自分としては納得いかない負けかたをしていたので、そのぶん夏で悔しい気持ちを全部ぶつけようという思いで春が終わったあとは、自分以外の3年生のメンバーたちも全体練習が始まる前から集まったり。その辺はチームが一丸となって戦っていけた大会だったかと思います。今大会はピッチャーとしては全試合リリーフ登板(1番右翼スタメン)で調整は難しかったんですけど、自分の中の課題がピッチングの中で力みを無くすっていう部分だったのでそこだけしっかりしていけば大丈夫と思って投げました。」

――特に注目を集めた興南高校戦。手に汗握る試合展開でしたがマウンドではどんなお気持ちでしたか?

大城
「最初は緊張していたんですけど、最後の大会で負けられないので、投げていくうちにどんどん気持ちも上がっていって。最後は自分だけでなく周りも白熱していました。ベンチの中でもみんながいけるぞいけるぞっていう雰囲気になって投げやすくなっていきました。自分たちは負けたんですけど、興南高校をこの夏一番苦しめたっていう経験はこの先、将来子供とかできたときに自慢話にできるのはいいなって思います(笑)」

――県内屈指の好投手・生盛投手との投げ合い。そして打者としてはいかがでしたか?

大城
「相手チームのピッチャーもレベルが高かったので、自分の中では全部大きい当たりを狙うのではなく、先頭バッターとして出塁を意識しました。大会前から興南高校のいままでの試合を分析して、どう抑えたら苦戦させられるか、データを出してもらっていたのでそのデータに基づいて自分たちも練習していました。その成果が出たのかなと思います。」

――白熱した試合の中でも冷静でいられた要因は?

大城
「ずっと思っていたんですけど、これまでも冷静でいられなかった試合が悪い結果に繋がっていたので、その失敗をしてきたので夏の大会はそれを無くそうと思っていました。練習試合や紅白戦でも冷静に投げることを常に心掛けてこの夏を迎えました。打たれても感情を表に出さないことを練習で取り組んできた。そこが良かったのかなと思います。」

――大城選手の個性と言えば、いわゆる「二刀流」。そこへの自身の思いは?

大城
「今後はピッチングを優先して取り組みつつも、バッティングも練習しないと打てないものなのでしっかり練習は続けていって、調子が上がってきたらバッティングでもアピールしていけるようにやっていきたいと思っています。」

――今後さらなるレベルアップを図っていきたい部分はどんなところでしょうか?

大城
「打撃面では1番打者だけじゃなくて3番、4番の打順でも活躍できるようにレベルを上げたいと思っています。ピッチングにしても変化球も全部ストライクゾーンの中で勝負できるように。ボール球をつかって投球を組み立てるのではなくストライクゾーンからストライクゾーン内の変化で打ち取れる変化球の精度を磨いていきたいです。足腰の強さを鍛えたり、バットを多く振ってスイングスピードを上げる意識で練習しています。」

――憧れている野球選手、目標としている選手はいますか?

大城
「大学に行くにしてもプロに行くにしてもチームの中心になれるような選手になっていきたいです。目標にするのは、大谷翔平選手ですね。ピッチャーとしてもバッターとしてもどちらも活躍しているので、自分もそういう選手になりたいと思います。」

⚾大城元の俺を育てた “地元メシ”

那覇市久米にある「麺やKEIJIRO 那覇店」のまぜ麺

大城
「最近通っているのは、学校の近くにあるKEIJIROっていうまぜ麺屋さんです。 学割で食べられるまぜ麺が好きです。いつも大盛りにして食べています。量が多くて満腹感があるんですよ。家に帰って晩ごはんも食べるんですけど、野球から帰ってきてお腹すいてる状態で食べるのが好きです。野球の練習が無い時も朝9時から授業が始まって、現役の頃は3校時が12時半に終わるのでそれから食べに行ってました。」

⚾野球で夢を叶えて“恩返し”

大城
「おじいちゃんおばあちゃんです。コロナで一時期、自分の母が入院していたときに、おじいちゃんおばあちゃん家にお世話になった。そこは山の上の方にあって自分の中では周りに近所迷惑とか気にしないで野球の練習とかもできたし、いつも自分に優しいんです。道具も買ってもらったり常にお世話になっていたのでプロに入って恩返しができたらと思います。」

――最後に今後の意気込みを聞かせて下さい!

大城
「プロ野球は子どもたちに夢と希望を与えられる職業だと思っていますし、自分の好きなスポーツをやって生活していけるというところも魅力に感じています。幼稚園の頃から夢見てきた舞台なので、挑戦できる立場にあるいまを無駄にしないで、もし今回プロが駄目でも大学に入ってそこから4年間練習して入りたいと思っています。」

*取材後記*
時折見せる高校生らしい爽やかな笑顔とマウンド上で相手打者と真っ向勝負していくスタイルとのギャップが印象的な大城選手。2018年ドラフト5位でプロ入りした冝保翔(現オリックス・バファローズ)選手以来となるKBC未来沖縄からのドラフト指名となるか注目です!

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