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くらしと経済編集部

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防災・ビジネスに付加価値を生む『グリーンインフラ』

後間
こんにちは。後間秋穂です。今回は、防災・ビジネスに付加価値を生む『グリーンインフラ』について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。よろしくお願いします。

宮里
よろしくお願いします。

防災、ビジネスに付加価値を生むグリーンインフラ

後間
「インフラ」とは電気やガス、公共交通機関など社会や生活の基盤のことを指しますが、「グリーンインフラ」とはどういったものなのでしょうか。

宮里
はい。グリーンには「環境保全」や「自然保護」という意味が含まれ、「グリーンインフラ」とは自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めることを指します。
つまり、美しい景観をもたらしたり、生き物の住む場所を提供したり、気温上昇を抑えたりする自然の働きを取り入れながら、洪水などの防災や減災、それに地域活性化などの様々な社会課題に対応できるインフラをグリーンインフラといいます。

後間
自然を取り入れることで様々な効果に繋げる、ということなのですね。
ではそのグリーンインフラの推進に向けてどのような動きがありますか?

宮里
はい。日本では2015年に国土づくりの方向性を定める計画にグリーンインフラの考え方が盛り込まれました。また、地方自治体にも「環境基本計画」にグリーンインフラを盛り込んでいるところがあり、全国的に推進する機運は高まっているといえるでしょう。

後間
そうなんですね。具体的にはどのような取り組みがありますか。

宮里
東京都港区の竹芝地区に開業した地上40階建ての高層ビルには、地上だけでなく、2階から6階にかけて階段状になったテラスに多くの樹木が植えられています。
ビル全体の緑地面積はおよそ1700平方メートルに達し、ビルに隣接する庭園からは鳥やチョウが飛んできていることも確認されています。
さらに、テラスの土と植物の根によって雨水を貯えることができ、ビル全体でおよそ1400立方メートルの貯水ができます。
これにより下水道への雨水の流入を遅らせ、集中豪雨による洪水の発生を未然に防ぐことに繋がります。

後間
ビルの緑地が防災や減災の役割も果たしているんですね。都市部以外でも取り組みは進んでいますか?

宮里
はい。宮城県気仙沼市の大谷海岸は震災でほとんどの砂浜が消失し、当初この砂浜に代わって高さ9・8メートルの大きな防潮堤を建設する計画が立てられました。
しかし、地域の象徴であった砂浜を守ろうと若い世代を中心に住民案をまとめ、海岸沿いの国道をかさ上げすることで防潮堤の代わりとし、砂浜は震災前の広さに戻す計画に変更されました。
2021年、震災から11年ぶりにオープンした海水浴場には、多くの海水浴客が訪れたそうです。自然の機能を防災・減災に役立て、さらに観光資源を活かして地域を活性化する、まさに先進的なグリーンインフラの形といえます。

後間
SDGsへの関心も高まる中で、今後もグリーンインフラの取り組みが加速しそうですね。

今回は防災やビジネスに付加価値を生む「グリーンインフラ」について、宮里さんにうかがいました。ありがとうございました。

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