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くらしと経済編集部

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全国で進む「団地再生」事業

後間
こんにちは。後間秋穂です。今回は全国で進む「団地再生」事業について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。
よろしくお願いします。

宮里
よろしくお願いします。

全国で進む「団地再生」事業

後間
団地と言えば、郊外の広大な土地に何棟もの集合住宅が建っているというイメージがありますが、具体的にはどのような建物を団地と呼ぶのでしょうか。

宮里
はい。団地というのは集合住宅だけでなく、戸建て住宅で構成される住宅地も含みます。
割合としてはこうした戸建て住宅の団地の方が多くなっています。
現在、日本では築50年を越える住宅団地も多くなっており、急激な人口の減少や、住民の高齢化の進行、住宅や施設の老朽化など、多くの課題が浮き彫りになっています。

こちらは、団地全体の高齢化率と、入居開始から40年以上経過した団地の高齢化率を示すグラフです。
高齢化率というのは、人口に占める65歳以上の割合を指します。
ご覧の通り、団地全体の高齢化率は約3割となっていますが、入居から40年以上経過した団地に限ると、6割近くになります。
高齢化が進むと、買い物や通院が困難になったりと、さまざまな問題が発生します。

住宅団地の高齢化率

後間
なるほど。高齢化以外にも地域によって様々な課題がありそうですね。

宮里
はい。今日の住宅団地が抱える課題は大きく分けるとご覧の4つに整理することができます。
今回はその中から「居住者の変化に伴う課題」と「地域持続性の課題」に対する取り組みをご紹介します。

住宅団地が抱える四つの課題

宮里
ひとつ目の「居住者の変化に伴う課題」とは、人口の減少や高齢化の進行などによって、住民が買い物や移動に不便を感じるようになった等の事象です。
兵庫県川西市の大規模団地では、2014年からバスの便が不便なエリアと団地内のスーパーを結ぶ輸送サービスを実施しています。
車両は自治体がリースし、運転手や運営スタッフは地域のボランティアが担当しています。

「居住者の変化に伴う課題」に向けた取り組み

宮里
ふたつ目の「地域持続性の課題」とは、高齢化や若い世代の流出にともなって地域の自治がまわらなくなってしまうことを指します。
神奈川県横浜市にある団地では、2010年からショッピングセンターの空き店舗を活用したコミュニティカフェが運営されています。

「地域持続性に課題」に向けた取り組み

後間
自治体だけでなく、企業の取り組みもあるのでしょうか?

宮里
国内最大級の住宅メーカーでは、郊外住宅団地の再生を行う専門部署を立ち上げました。
このメーカーでは、全国61か所にのぼる戸建て住宅団地を開発してきましたが、そのうちの8つの団地の再生に取り組み、その後全国展開を目指しています。
同社が初めて単独で開発した兵庫県三木市にある大規模団地では、「隠れ空き家」の解消に乗り出しています。
この団地では、高齢化が約42%にのぼり、介護施設に入居する住民も増えてきていましたが、住んでいた家が売りに出されずに10年以上空き家状態の「隠れ空き家」が増えていました。
この状態を解消すべく、団地の空き家に高齢者施設を建設し、そちらへの住み替えを促しました。
一方、空いた住宅に関しては、改修したり、賃貸住宅やコミュニティスペースに転用し、若い世代の流入を目指しています。

団地再生に向けた大手企業の取り組み

後間
団地再生の今後に期待したいですね。宮里さんありがとうございました。

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