文化,歴史
10月25日「空手の日」に振り返る「~沖縄の精神文化を探る~」
60年以上の歴史を誇る沖縄テレビのライブラリーより、過去に放送したリポートや、貴重な映像をご紹介します。
沖縄県内だけでなく、県外や海外からも愛される「沖縄空手」
2012年10月に放送した金城わか菜アナウンサーのリポートでは、沖縄空手を愛し、継承する人達を紹介しました。
空手の日~沖縄の精神文化を探る~
沖縄を発祥の地とする、空手。
先人たちが生み出した鍛錬の方法や型の稽古は、それぞれの流派・道場で継承されてきました。
「10月25日」は県が定めた空手の日。
1936年の10月25日、達人たちによる座談会で「空手(からのて)」と正式に表記することが決まったことから、この日を空手の日としました。
西原町に空手の歴史を研究する男性がいます。
外間哲弘さん。道場で指導しながら、25年前に「空手博物館」を開きました。
幼い頃から空手を学ぶ外間さん。大学で空手をテーマに論文を書こうとしたところ、その歴史が体系的にわかる資料がないことに気づき、博物館を開くことを決心しました。
外間哲弘さん
「これはタイから来たもんなんですけどね」
金城わか菜アナウンサー
「トゥンファーとそっくり…」
外間哲弘さん
「トゥンファーとそっくり、トゥンファーの親ですよ。源流は二つでハンドルを捕まえて、体に巻き付けてやる。沖縄の場合はそれを取って1本にした。中にわらを入れて、竹をこうやって(加工して)すごい。昔の人は偉いと思いますね。」
これは石器時代の石臼。空手には関係のないように思われますが…。
外間哲弘さん
「空手だけの歴史を語るんじゃなくて、やはり沖縄の文化がどういう位置にあって、どの時代にどういう栄養を食べていて、どういう交流があって沖縄空手が成り立ったかということを私達は知らなきゃいけない。そして、沖縄の場合は『即殺す』ということは無いんですね。愛の文化があるわけですよ。」
空手の歴史から見える、琉球の心。
外間さんは沖縄の文化を探りながら、強さと優しさを子供たちに教えています。
県は空手を沖縄独自の文化として継承し、さらに発展させるための拠点、空手道会館の建設を予定しています。
沖縄県文化観光スポーツ部長 平田大一さん
「世界に対して、沖縄空手の発祥の地であるってことがまだまだ知られていない状況がありますので『空手の聖地沖縄』っていうのを世界の空手の人たちに伝える。それから、空手を知らない人たちにも来てもらえるような、そういうような拠点作りっていうのを今目指してます」
発祥の地をアピールする空手道会館の建設地を巡っては、五つの自治体が名乗りを上げています。
那覇市に世界の空手家が集うバーがあります。その名も「DOJO」
店主のジェームスさんはイギリス人。
日本の文化と空手に興味を持ち、北海道や大阪で学んだ後、3年前、発祥の地沖縄へ移住しました。昼は稽古に励み、夜は店に立ちます。
ジェームス・パンキュビッチさん
「目的は二つありましてね。沖縄空手の窓口として、世界に空手を紹介したいと思っています。そしてもう一つは、ここであの空手家が集まって交流ができる場所を作りたいと思っていました。」
メニューに並ぶカクテルも空手にまつわる名が付けられています。
金城わか菜アナウンサー
「チントーって少林流の型ですよね。私少林流だったのでチントーにします。お願いします。」
ジェームスさん
「よく知ってますね、はいどうぞ。」
金城わか菜アナウンサー
「さっぱりしてますね、とても美味しいです。」
DOJOには沖縄を訪ねた世界の空手家が、毎晩のようにやってきます。
海外から来た空手家
「インドネシアのバリから来ました。素敵ですね、僕のような海外からの空手家が集まっています。ジェームスはとても親切で先生探しなどを助けてくれます。すごく良いです」
ジェームス・パンキュビッチさん
「僕が一番広く広げたいことは、沖縄伝統空手の考え方。みんなお互いに尊敬したり、お互いにサポートしたり。世界にピース、平和のメッセージを広げたいと思います」
平田大一さん
「復帰40周年を迎えて、もう戦後67年経った中ですね。改めて沖縄の人にとって空手って何だろうかっていうことも考える大きなきっかけになったらいいというふうに思ってます」
外間哲弘さん
「沖縄の文化としての捉え方。綱引きのガーエーの時も、エイサーでも、振付で必ず空手が入っている。その辺の根拠を理解したら、もっと若者がね、空手っていうのはすごいなと感じてくれると思います」
*当時のリポート制作者・金城わか菜アナウンサーのコメント*
この特集から10年の時を経て、空手をめぐる環境は大きく変化しました。
まず、2017年に豊見城市に「沖縄空手会館」が開業し、先人が築いた平和と礼節の武道を世界に発信する拠点となっています。
また、東京オリンピックで県勢の喜友名諒選手が金メダルに輝いたことは記憶に新しいですよね。発祥の地で生まれ育ち、修練を重ねてきた王者の風格たるや!皆さんのまぶたに今も焼き付いていることでしょう。
そして、これは残念なことですが、世界中の空手愛好家が集うDOJO Barは、コロナ禍でやむなく閉店しました。(でも!ジェームスさんは近くに道場を構え、沖縄キッズと汗を流しているようです。)
私自身も空手をたしなんでいたこともあり、折に触れて「空手の魅力」を紹介してきました。この特集以外にも、読谷の座喜味城跡で世界の空手家たちと型を100回繰り返し稽古する「百型チャレンジ」に参加したり、人気小説家・今野敏さんに「伝統空手の真髄」を伺ったり・・・。仕事で何度も道着を着たなぁ(笑)
そして、この10年の間で、私のプライベートも様変わりし、今や2男児の母に。
ぜひ息子たちにも空手を学ばせたいと、最近では長男と道場見学をしています!
ママもまた道着に着替えるかな~!
【OTVライブラリーより/2012年10月24日放送】
※ご紹介している内容は2012年の放送当時の情報です。
※内容の一部を修正して掲載しています。
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