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くらしと経済編集部

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「脱炭素」に向けて 進化するコンクリート

後間
こんにちは。後間秋穂です。
今回は、「脱炭素」に向けて進化するコンクリート事情について、野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。

宮里
よろしくお願いします。

後間
早速ですが、コンクリートはどのような進化を遂げているのでしょうか?

宮里
はい。コンクリート関連の技術は、いま様々な面で進化しています。
コンクリートはセメントや砂、砂利などから作られますが、セメントを製造する際に高温で焼く必要があり、その過程で多くの二酸化炭素が排出されます。
地球温暖化の防止が国際問題となるなか、日本の建設業界でも二酸化炭素削減に向けた技術の開発が進められています。
その一つが、コンクリート製造にともなう二酸化炭素排出を抑える技術です。

後間
製造方法を工夫することで、二酸化炭素の排出を削減できるということですね。

二酸化炭素排出量が実質ゼロ以下のコンクリート

宮里
その通りです。2011年には大手建設会社A社など4社が、世界で初めて製造時の二酸化炭素排出量を実質ゼロ以下にしたコンクリートを共同開発しました。
この新たなコンクリートは、セメントの代わりに二酸化炭素と反応してコンクリートを固められる特殊な材料を使っているため、従来のコンクリートに比べて使用量が半分で済みます。
また、コンクリートを固める際にも二酸化炭素を吸収し固定するので、二酸化炭素の排出量を大幅に削減することができます。

後間
なるほど。このほかにも新たな技術はあるのでしょうか?

宮里
はい。コンクリートの新しい姿を目指す最近の動向をいくつか見ていきたいと思います。

新しいコンクリート技術①

宮里
一つ目は、東京の大学による研究です。
こちらではコンクリートを製造する際にセメントを一切使わずに製造する技術を研究しています。
この大学では2021年に大気中の二酸化炭素と、建築物などを壊した際に出る「廃コンクリート」を原料とした、リサイクル可能なコンクリートの開発に成功しました。

つづいて二つ目は、セメントメーカーB社の取り組みです。
こちらでは、自社のセメント工場からの排ガスに含まれる二酸化炭素を回収し再利用しています。
回収された二酸化炭素はコンクリート廃棄物に固定されて再資源化し、道路の基盤となる材料などに有効活用されます。

新しいコンクリート技術②

宮里
続いて大手建設会社C社の技術を紹介します。
この会社では北海道の大学とともに2022年、コンクリート建造物の表面に塗るだけで二酸化炭素の吸収を促進させる塗布剤を開発しました。
こちらを現在国内にあるすべてのコンクリート構造物の表面に塗った場合、最大約3億トンの二酸化炭素が吸収できるということで、2026年の実用化を目指しています。

次に北海道のコンクリートメーカーD社では、コンクリートのひび割れなどが自然に修復されるコンクリートを開発しました。
2020年から製造を開始していて、すでに札幌市水道局の構造物などへ導入されています。

後間
新たなコンクリートが身近になる日も近いかもしれませんね。
今回は「脱炭素」に向けて進化するコンクリート事情についてお話をうかがいました。
宮里さん、ありがとうございました。

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