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真栄城 潤一

真栄城 潤一

アルベルト城間さんにインタビュー『未来に残したい沖縄』とは?

遠く離れた地から沖縄を思い続ける世界各地のウチナーンチュ(=沖縄県系人)たちに「未来に残したい沖縄」をリサーチして、深堀りする番組『presented by NTT西日本 残したい沖縄を世界の人に聞いてみた』(2022年12月13日沖縄テレビにて放送)。沖縄の自然や文化、沖縄そばやパイナップルなどの食べ物、そしておじいやおばあたちの心…現地レポートや県内ロケも含めて、さまざまな角度から沖縄について考えた番組の収録後、ゲストのアルベルト城間さんがインタビューに応じてくれました。
「世界のウチナーンチュ大会」では、ラテンロックバンド「ディアマンテス」としてステージでパフォーマンスをして客席を湧き上がらせたアルベルトさんの、沖縄への思いを聞きました。好きな沖縄料理については、お馴染みのあの料理を子どもの頃に“初体験”した時のパンチある感想が飛び出しました。

アルベルト城間

「未来に残したい沖縄」についてお聞きしたいです。アルベルトさんと(一緒に番組出演した)仲間さんの「未来に残したい沖縄」の予想ランキングは、お2人とも1位が「おじい、おばあ」でまさかの“カブる”という展開がありましたね。

あれは嬉しかったね。同じことを感じてる人もいるんだね。過去も未来も全て沖縄の『おじい、おばあ』で説明できちゃうのかなっていう。自分たちもそうなっていくから、努力しなきゃあんな風にになれないな、とかさ。そんなことを含めての言葉としてランキングで選びました。

その話の流れで「平和の心」ということもおっしゃってましたけど、やはりそれも引き継いでいきたいということですよね。

そうですね。今最もみんなが望んでいることですし、そのヒントになるのは沖縄そのものなんだよね。沖縄の、それこそおじいおばあの残す言葉であったり、歌にもあるじゃないですか。『てぃんさぐの花』でも『親の言うことは、いつも心に染めなさい』とある。そういうところがすべて沖縄の平和に対する心に繋がってると思いますね。今日の取材VTRの中にも『たくさん混ぜていく、チャンプルーしていく』という話もあったけど、そのことは僕らの先輩たちが何度も何度も伝えようとしていることだし、文化そのものにも平和のヒントをたくさん与えてくれる機能があるので、それは『残す』というよりも『前進させて伝えていく』っていうことで、沖縄の誇れることなんじゃないかとも思いますね。

アルベルト城間

世界のウチナーンチュ大会でもステージに立っているアルベルトさんですが、海外に沖縄を発信してくことについてはどのように考えていますか?

僕が思うには、世界のウチナーンチュっていうのは外にいるウチナーンチュだけじゃないから。やっぱりここ(=沖縄)にいるウチナーンチュも含めての『世界のウチナーンチュ大会』だと思っているので。沖縄の本土復帰50年にあたって、沖縄の外に出た人たちの『沖縄ってこうだったね、こうであって欲しいな』という故郷のイメージとして懐かしく見ている部分とはまた別に、沖縄も進化してきたよっていうことを伝えるのも沖縄の責任というか、使命でもある。ペルーとかハワイにいる世界の外にいるウチナーンチュに対して『沖縄は決して止まってはいないよ』というか、私たちも沖縄も進化しましたよ、私たちも“チャンプルー”しましたよ、とかそういうことを伝えていく。

世界のウチナーンチュ大会で、例えばボリビアとかハワイから来た人たちに『沖縄の人もウチナーグチ(=琉球語)喋れないじゃないの』って言われることもあるけれど、喋れなくなったということにもいろいろな理由があるわけで。決してすべてがマイナスっていうことではなくて、伝えたい心は今でも歌でみんな歌ってるじゃないですか。もしかしたら沖縄の日本語が一番優しいかもしれない。それはやっぱり、沖縄のおじいおばあが残してるレガシーだと思います。

アルベルト城間

それを示し続けていくことが発信になっていくということですね。そんな中で、ご自身のルーツに沖縄を感じたりすることってありますか?

感覚的には『自分はペルー人だ』って自覚したのが、36年前。でももう日本に30年以上も住んでいて、その中の20年をほとんど沖縄でディアマンテスとしても活動していて。
なんだろう…今でもそうですけど、やっぱり“近づきたい”ね。『もっとウチナーンチュに近づきたい』という気持ち。だから今一生懸命三線を練習してる。番組のVTRにも琉舞や空手の部分があったけど、昔からいろんなことをやりたかったね。琉舞もやりたいと思ったし、(昔やっていた)空手を途中で辞めてしまったのも、何で辞めたんだろうな、とか思ってますね。続ければよかったと思うことはたくさんあります。
だから三線にしても、琉球古典音楽、空手、エイサー、もっと触れたいと思いますね。多分僕だけじゃなくて、やっぱり沖縄の人でももっともっと触れたいと思う人もいるでしょうね。『余裕ができたら三線習いたい』っていうおじさんたちたくさんいるよ。きっと(笑)。だから感覚的にはもっと近づきたいし、それができたら僕が外に出た時、またさらに『沖縄はこうだよ』ってちゃんと自信を持って言えるかなって思います。

アルベルト城間

さっきの「発信すること」にも繋がりますね。次の質問ですが、番組でもパイナップルが話題になってましたが、好きな沖縄料理や食べ物を教えてもらえますか?

ゴーヤチャンプルー、ジーマーミ豆腐、チキアギ、ドゥルワカシー…好きなものがいっぱいありますね。あと、グルクン唐揚げとか、いくらでもあるよね。

どんな時に食べてたとか、何か思い出があったりしますか。

チャンプルーはペルーにいた時から食べてました。ただゴーヤーはなかなか手に入らなかったんで、こっち(沖縄)に来た時に驚きでしたね。こういう食べ物があるっていうのは。たぶん子どもの頃にペルーでおばあちゃんが僕にゴーヤーを食べさせたことがあって、僕は『おばあちゃんこれ何!?』って言ったんです。
その時おばあちゃんが吸ってたタバコの灰が間違って入ってるのかなって思うくらいとっても苦かった(笑)。それは子どもの時だけど、でも沖縄に来たら、やっぱりハマりましたね。すごい食べ物と思います。夏野菜と言ったら、ゴーヤーとナーベーラーですよ。ナーベーラーはやっぱりンブシーだなあ。

アルベルト城間

アルベルトさんは収録でもインタビューでもずっと元気いっぱいで、エネルギーが溢れていました。「もっともっとウチナーンチュに近づきたい」という強い思いが、情熱的な歌声とパフォーマンスとして表現されて、それが観客にも伝わっているのだなとお話を聞きながらしみじみ感じて、ライブに行きたくなっちゃいました。スィ!!

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