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キャン ヒロユキ

キャン ヒロユキ

突然ですが、「ワタクシが放送作家以外にしているお仕事のひとつ」と言えば?その①【キャンヒロユキの「とー、笑っとーけ。」】

キャンヒロユキのとー、笑っとーけ。

突然ですが、「ワタクシが放送作家以外にしているお仕事のひとつ」と言えば? 

そう、「学校の先生」なんです!

なんとワタクシ、琉球大学数学科卒業ということもあり、中学・高校の数学の教員免許を持っているんです。

「放送作家って台本や脚本を書く仕事だから文系かと思ったら、キャンさんめちゃくちゃ理系なんですね!」
とよく言われるんですが、実は台本や脚本書きの「視聴者や観客にその面白さやストーリーを説明して笑わせる」というところが、数学の証明問題や論理学にとてもよく似ているんです。

そんなワタクシ、星槎国際高校という通信・通学制高校で、数学と表現の授業を担当しています。

星槎国際高校で授業中のワタクシ

こんな放送作家なんて仕事をしているワタクシに授業を受け持たせてくれるくらいの学校ですから、生徒もホントに自由で特徴的。自ら進んでラジオ番組を立ち上げてFM那覇で毎週放送したり、自分の好きなことを卒業ゼミで自由に発表したり。

この前などは、「ラジオ版しくじり先生を企画しているので、それを収録して全国の星槎高校で流すので、先生のしくじりを今度ラジオで話してください」とお願いされて、これまでの人生でものすごい恥ずかしかったしくじりを披露してきました。
あー今思い出しても、はずかしい!

星槎国際高校での収録の様子 あー恥ずかしい!

そのつながりもあり、星槎大学では「表現パフォーマンス講義」の講師を現在も務め、また教員免許更新講習の講師もしておりました。
現在、教員免許更新制は解消されましたけど、以前は10年に一度、小中高の教員は免許更新のためにさまざまな講義を選択して受講しなければいけなかったんです。ワタクシその選択講義のひとつとして「放送作家から学ぶ授業構成法」という講義を受け持つ、わかりやすく言えば「先生のセンセイ」だったんですねー。

内容としてはやはりお笑いのネタや番組、CMに関するもので、後半は受講生の先生らにコンビを組んでもらい、ボケやツッコミが空欄になっている台本を配ってネタを作ってもらい、披露をしてもらうということをやっていました。

教員免許更新講習の講義 コロナ前はサテライトで全国をつなぎ、いろんな会場を周りました

後半にやっているこの「ネタを作って披露する」という授業、実は別で行なった小学生対象のお笑いの授業でもまったく同じ台本で、小学生にやってもらったものです。

面白いことに、小学生はコンビ組んでもらうと、どんどんボケを思いついて書き込んで、練習して披露していくんですが、更新講習を受講している現役の先生らは、まったく筆が進まず、ウンウンうなっているんですね。

なぜなんだろう、といつも疑問に思っていたんですが、ある瞬間気づきました。

ボケって基本「普通と違う、間違えることを言う、行動をする」ことなんです。山にハイキングに向かって「ヤッホー!」と言ったら、違った言葉でやまびこが返ってくるとか、鬼ごっこをしてたら、鬼が変な動きで追いかけてくる、とか。

でも先生らは、ボケを作るのが苦手な人が多かった。
なぜなら「先生は授業で、正しいことを教えるのが仕事だから」なんです。正解は導き出せるんですが、間違うことに慣れていないんです。
ある先生などはネタ作りに悩んでワタクシに「あの、このボケって、正しいですか?」と聞いてきたくらい。
間違えることがボケなので、そのボケが正しい正しくないという質問自体オカシナコトだということに気づかないくらい、真摯にネタ作りにはげんでくれました。

このお笑い講義、大学でも毎年行なっていて、コロナ禍には全国の生徒がオンライン受講したのですが、北海道の受講生と熊本の受講生でコンビを組ませてネタを披露してもらうなど、オンライン講義ならではの仕掛けもやってみました。各地域の言葉や風習などがネタに出てきて、リアルな漫才とはまた違った面白さがありました。

そんなワタクシのお笑い講義、企業や団体、学校などでも行いますので、ぜひご依頼くださいませ。

そうそう、「夢と学校」というイベントで、壺屋小学校の教室で幼稚園生・小学生を集めてこの授業をやったとき。

子どもたちに、これまでにないいろんな仕事を体験してもらおうと企画した「夢と学校」

コンビでネタ作りをする時間に、ずっともじもじして紙にお絵かきをしている女の子がいました。絵が好きなのか、ずっといろんな絵を書いています。
「発表するのは難しいかな…」と思って、「無理して発表しないで、みんなのを見るだけでもいいからね」と話しかけても、ずっともじもじしていました。

そしていざ発表の時間。小学生のお笑いコンビが、やりたい順に挙手、自作のネタを次々に披露して大盛り上がり。ひととおり発表が終わり「じゃあ次やりたい子はいますか〜?」と声をかけると、その落書きばかりしてもじもじしていた女の子が、手を挙げました。
驚きながらも「じゃあ次は君たち2人のコンビね、それではどうぞー!」と呼び込むと、なんとその女の子がボケ役。
ネタは事前に配った、「おにごっこ」「やまびこ」「うたがうたいたい」のネタから「やまびこ」のネタを披露。

女の子の相方が「やまびこってあるよねー。山に向かってヤッホーって言ったら、ヤッホーって返ってくるやつ」に、女の子はただうなずくのみ。

「じゃあ私がヤッホーっていうから、あなたやまびこやってね」
「(やっぱりうなづくのみ)」
「ヤッホーーーー!」

と相方の子が言った後、その女の子は、どうボケたと思います?

ゆっくりとポケットから、一枚の紙を取り出し、みんなに広げて見せました。
そこには大きく

「ヤッホーーー!」

と書いていました。
教室は大爆笑。
こんなボケ、その時は作家のワタクシでも思いつきません。心が震えて、ちょっと嬉し泣きしました。

いやー、子どもって、そして子どもの可能性を引き出すお笑いって、すんごいなぁ!と改めて思いましたとさ。

あの女の子、元気かなー。ヤッホーーーー!

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