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くらしと経済編集部

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高騰する市民マラソンの参加費と低下する出場ランナー数

後間
こんにちは。後間秋穂です。
今回は、「高騰する市民マラソンの参加費と低下する出場ランナー数」について、野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。

早速ですが、市民マラソンの参加費は高騰しているのでしょうか。

宮里
はい。コロナによる外出自粛の影響から、健康面の改善などを気にしてマラソン大会に出てみようという人には残念なお知らせかもしれませんが、市民マラソンの参加費が高騰しています。

いわゆる都市型マラソンといわれる東京マラソン、大阪マラソン、神戸マラソン、福岡マラソンなどで、コロナ以前と比べるとマラソンの参加費が3千円から7千円ほど値上がりしています。

例えば、東京マラソンは参加費が1万6500円から6800円値上がりして、2万3300円と2万円を超えています。
ほかの大阪マラソン・神戸マラソン・福岡マラソンでも参加費は1万5千円を超えています。

高騰する市民マラソンの参加費

後間
マラソン大会の参加費が値上がりしている理由はなぜなのでしょうか。

宮里
参加費の高騰の背景は、コロナ対策や「安全に走ってもらうため」の警備費の増大です。

後間
そうなのですね。参加費の値上がりで、参加するランナーに変化はありますか。

宮里
さきほどの神戸マラソンや福岡マラソン、そして熊本城マラソンでは定員数はほぼ変わっていないものの、申込の人数が低下して応募倍率が低下しています。
従来は約2倍から4倍であった応募倍率が、約1.3倍から2倍と下がっています。
例えば、神戸マラソンでは3.96倍の応募があった2019年大会に比べて、2022年大会では応募倍率は1.6倍と低下しています。

低下する市民マラソンの申込数

宮里
経済学の視点から見てみましょう。
需要側である市民ランナーの視点が、グラフの緑色の曲線です。値段が高いと走る人が少なく、値段が安いと走る人が増えるという左上がりの曲線です。
一方、供給側である大会運営側は反対に、値段が高くて参加者が多いほうが良いので、右肩上がりの青色の曲線になります。

そして、先ほど申し上げたコロナ対策などの原材料などの理由に、価格である参加費の上昇をせざるを得なくなり、青色の曲線が左側にシフトしています。
経済学的にみると、この二つの緑色と青色の曲線が交わるところで値段と量が決まります。

ですので、従来の曲線が交わっていた赤色R1から交差する点がR2に移動します。
つまり、価格が上昇したことによって、応募する参加ランナーが減ったということになります。

価格上昇の需要供給曲線の変化

後間
なるほど。では沖縄での市民マラソンはどうなのでしょうか。

宮里
はい、沖縄のNAHAマラソンでもコロナ以前の2019年大会と比較して、他の都市マラソンと同様の傾向にあります。
参加費が8千円から1万2千円と1.5倍に値上がりしました。
定員数も3万人から2万人へと1万人減少したのですが、申込のランナーの数も減少し、2019年の2万6千人から、2022年は1万3397名に約半減しました。
結果、2万人の定員に対しては0.67倍の申込でした。

NAHAマラソンの参加費・申込数の変化

後間
新型コロナウィルスや物価高の影響がこんなところにも及んでいるんですね。
宮里さんありがとうございました。

宮里
ありがとうございました。

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