暮らし,沖縄経済
“沖縄食材×チョコレート”の可能性
──今回は経済のスペシャリストであるブルームーンパートナーズの伊波貢さんとお伝えします。
伊波さん
「よろしくお願いします。今回のテーマは『“沖縄食材×チョコレート”の可能性』です」

バレンタインデーには本命チョコや義理チョコよりも自分用のご褒美チョコを購入する…という方もいるなどチョコレートの楽しみかたが多様化し、さまざまな商品が売り出されるなか、いま沖縄の食材の特色を活かしたチョコレートが注目されています。取材してきました。
沖縄食材×イタリア老舗チョコレート
伊波さん
「イーアス沖縄豊崎にやってきました。こちらに沖縄素材のチョコレートがあるということです。さっそく見ていきましょう。」

沖縄の“いいもの”を集めた『THE OKINAWA SHOP』。こちらで扱う、沖縄の食材を使ったチョコレートが…

アイラーティ 細田和良代表
「これが私たちが作っているマーリオ沖縄チョコレートです。」
マーリオ沖縄チョコレートは南イタリアの老舗チョコレート工房・マーリオで作られていて、最高級の「ホワイトカカオ」と黒糖や紅芋、シークヮーサーなど、沖縄の食材を組み合わせています。

伊波さん
「どうして沖縄とイタリアのコラボができているんですか?」

アイラーティ 細田和良代表
「私、前職でイタリアのトマトとか野菜を作る仕事をしていましてこの会社のことは知っていました。コラボ商品を作ってくれないかということで最初に黒糖を持っていきました。彼らも黒糖を使ったことはあるんだけれども、これはおいしいねと、沖縄の黒糖をすごく認めていただいて。」

沖縄の魅力を世界へ
細田さんは、沖縄の食材は世界に通用する魅力があると話します。
アイラーティ 細田和良代表
「自然のなかで、太陽ですとか水ですとか、いろんな要素のなかではぐくまれて育ってきたものはすごく力強さというか、味もすごく深いです。」

さらにパッケージには黒糖の原料であるサトウキビをモチーフにした紅型をあしらい、沖縄の魅力をアピールする商品に仕上げました。

アイラーティ 細田和良代表
「当たりまえにある食材を、違う角度で付加価値をつけてそれを売ってみたい。その沖縄の魅力をもっともっと、ある形にしてですね。発信していきたいと思っています。」

“地域が主役”のチョコレート
続いてやってきたのは、大宜味村の『OKINAWA CACAO Factory & Cafe』。

チョコレートと合わせる食材は沖縄県産のものを使っていて、かならず生産者から直接仕入れているそうです。

オキナワカカオ 川合径代表
「チョコレートを作っているんですけども、主役は“地域だな”と思っていまして。なので地域の味というのをしっかりと表現できるように作っていますね。」

屋我地島のパイナップルや今帰仁スイカなどはドライフルーツにすることで甘みを凝縮。素材の甘みを引き立たせるためビターなチョコレートを合わせています。

また、カラキと呼ばれる沖縄シナモンを使った板チョコは、風味を楽しめるように薄く作られているんだそうです。

伊波さん
「後から風味が出てきます。カラキって沖縄のシナモンなんですよね。すごい、どんどん(香りが)出てきますね。」

続いては、季節限定の完熟シークヮ―サーピールのチョコレート。

伊波さん
「これはシークヮ―サーの香りが、食べた瞬間からすごいします。どんどん口のなかでチョコレートと混ざって、甘みとシークヮ―サーの風味と一体となる感じです。」

オキナワカカオ 川合径代表
「沖縄の素材のおいししさを、ダイレクトに伝えたいと思いまして。『やんばる、沖縄に行ったことないけど、チョコがあるなら行こうよ』という、そういう何か、地域との接点になるんじゃないかと思いました。」

カカオの栽培まで!100%沖縄県産チョコレート製造へ
さらに驚きの取り組みも!

伊波さん
「このビニールハウスのなかで何を育てているんでしょうか?」
オキナワカカオ 川合径代表
「カカオです。」

川合さんは「100%沖縄県産のチョコレートを作りたい」と、2016年から自社の畑でカカオ栽培を開始。

2023年1月、ついに沖縄県産のカカオを使ったチョコレートを作ることに成功しました!

オキナワカカオ 川合径代表
「自分たちがゼロから始めたものがこうやってひとつ形になったんだとすごく思いましたし、またここから新しいスタートなんだなというのは感じました。」

伊波さん
「今後、川合さんはどういう未来を描いているんでしょうか?」

オキナワカカオ 川合径代表
「沖縄のチョコレートを日本中、世界中に広めていくというのが一つです。もう一つはやはりこのカカオ栽培。これを少量でもいいので沖縄をひとつのカカオの産地にしていく。そういう沖縄の魅力づくりに少しでも貢献出来たらなと思っています。」

伊波さん
「カカオの栽培には暑い気候が必要なので国内ではほとんど栽培できるところがなく、川合さんは“やるなら沖縄しかない!”とカカオ栽培に乗り出したそうです。まだ100%沖縄県産のチョコレートの商品化には時間がかかるということですが、今後が楽しみです。」
今日の一言
──さて伊波さん、今回のテーマから見えてきたことはなんでしょうか。
伊波さん
『結束で新産業化』です。

個々にユニークな事業者がそろってきています。
今後は、それぞれの事業者が力を合わせることで、“沖縄といえばチョコレート”というブランドを構築できる可能性があります。新しい産業がいま、生まれつつあるわけです。
チョコレートだけでなく、コロナ禍でさまざまな産業が力を蓄え、花咲こうとしている気がします。
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