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大城 良太

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“唯一無二のピアニスト”の生き方と育て方【大城良太の良TIME】

大城良太アナウンサー(OTV 沖縄テレビ)の良TIME

目次

‘唯一無二のピアニスト’の生き方と育て方|大城良太の良TIME

底抜けに明るく、常にポジティブなピアニストに出会った。
イタリアを拠点に活動する沖縄県出身のピアニスト下里豪志さん。
今回のコラムでは、OTV Live news イット!の特集で盛り込めなかった下里さんの生きかたや、下里さんの個性を伸ばした母・倫子さんの子どもの育てかたなどを紹介する。

下里豪志さんの「唯一無二」とは

‘唯一無二のピアニスト’の生き方と育て方|大城良太の良TIME

優雅さとダイナミックさを併せ持つピアニスト・下里豪志さん。
その豊かな音楽性は下里さんの心と身体の「ギャップ」がもたらしている。

下里さんは、心は女性で体が男性というトランスジェンダー。
「身体が応えてくれる可能性と内側にあるものの少しのギャップが音楽を特別なものにしている」と話す下里さんは2022年、唯一無二の演奏で若手ピアニストの登竜門といわれる国際コンクールで2位に輝いた。

悩んでいる暇なんかない

幼少期、下里さんは違う学年の男の子からからかわれることもあったと言うが、ピアノのレッスンに打ち込んでいたため「深く悩む時間はなかった」と振り返る。

‘唯一無二のピアニスト’の生き方と育て方|大城良太の良TIME

下里さんがピアノを始めたのは、プロのピアニストとしては遅い小学4年生のころ。
1日5時間も練習するほど虜になり、小学6年生のころにはコンクールで金賞を受賞するほど才能が開花。
こうした努力が自信となり、何か嫌なことを言われても演奏で見返してやるという思いが力になっていたという。

「自分自身を喜ばせる力」

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幼少期にピアノという「生きがい」を見つけられた事で自分らしくいられたという下里さん。
学校での講演会などでは「自分で自分を喜ばせてあげられる力をつけて楽しく生きてほしい」と学生たちに話している。
「人から一人の人間として見てもらうためにも、自分自身を充実させ、自分らしくいられる何かを見つけてもらいたい」とエールを送る。

「強み」を見つけられたのは母のおかげ

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母の倫子さんは息子の心が女の子だということを豪志さんが2,3歳のころには気づいていた。
「何か特技となるようなものを身に着けさせないと社会に出たときに苦労するはず」という思いから、幼少期から豪志さんが「やりたい」という習い事はすべてさせてきた。
その1つがピアノだったのだ。

母と子の約束

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豪志さんは小学4年生の頃から髪の毛を伸ばし、スカートをはくようになった。
倫子さんは周囲の人から「男の子なのになんでスカートはかせているの」と言われることもあったというが、「本人が好きだから仕方ないさ」と受け流し、豪志さんの個性を尊重してきた。
一方で豪志さんには「周りから嫌なことを言われることもあるが、それを聞き流す自信があるんだったら好きなかっこうをしてもいい」と伝えていた。

豪志さんは「まだ多様性という言葉がない時代に、母のこうした教えや考えかたがすごくうれしかった」と振り返り、今は舞台でピアノを弾く姿を見せ続けることが一番の親孝行だと思うと笑顔を見せる。

努力が周囲の理解に

下里さんは県立高校で初めて女子の制服を着た男子生徒でもある。
高校入学前から下里さんのピアノの実績は他の生徒に知れ渡っていたそうで、スカートをはいて登校しても誰一人好奇な目で見てくる人はおらず、むしろ「会えるのを楽しみにしていた」や「ピアノを早く聞かせて」と言ってくれる生徒が多かったという。
下里さんがピアノに注いだ情熱が周囲の理解にもつながっていったのだ。

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道を切り拓く存在に

今回、下里さんを取材して、常に明るくポジティブな姿勢に刺激を受けた。
身体と心の性が一致せず、さまざまな葛藤があったとは思いますが、自らの努力と周囲のサポートで個性を魅力に変えている姿がとても素敵だなと感じた。
こうした下里さんの姿は多くの悩める人々の光となり、誰もが生きやすい社会の実現に向けて大きな存在だと感じた。世界に羽ばたく下里さんの今後の活躍が楽しみだ。

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