コラム
幸せの黄色い花、命の輝き【金城わか菜のカフを下げて】
目次
カンヒザクラが葉桜になると…
3月―。
このコラムを執筆している8日は国際女性デーで、黄色いミモザを贈る風習があるそうです。
沖縄のこの季節を彩る「幸せの黄色い花」と言えば…
キバナイペー
和名はコガネノウゼン。
原産地は南米ですが、沖縄でもあちこちの通り沿いや、個人宅の庭に植えられていて親しみのある木です。
街や山をビビットなピンクに染めたカンヒザクラは、あっという間に葉桜となり、今は黄色いイペーの花が満開。
私はこの花が大好き。
ささやかですが、特別な思い出があるのです。
6年前、第一子の出産を控え、初めての産休に入ったときのこと。
大学を卒業してすぐに社会人になり、絶えず疾走してきたので、いきなり長い休みに入ると、心も頭もぽっかりと穴が開いたようになりました。
出産の怖さや、親になることへのとまどいもあったと思います。
そんな時、大きなお腹を抱えながら近所を散歩すると春本番の陽光の中で輝くイペーの花。
季節の花に関するニューストピックを、これまでいくつも書いたり読んだりしてきましてきたが、初めてのんびりした気持ちで木を眺めることができた瞬間でした。
「もうすぐ赤ちゃんに会える―」
ぽっかりと空いた心に光が注ぎ、晴れ晴れとした気持ちになりました。
今でもこの季節が来るたびに、あの時の思いがよみがえります。
黄色い花、もう一つの思いで
そしてもう一つ。
街を彩る黄色い花と言えば、夏に咲くゴールデンシャワー
灼熱の太陽の下で咲くゴールデンシャワー。
焦げ付くような暑さの中でも、垂れ下がるレモン色の花は清涼感を運んできます。
この美しい花が咲くと、私はとてつもない寂しさに襲われるのです。
夏は父がこの世を去った季節だから。
ガンと闘っていた父。
在宅看護の中で家族全員「いよいよ…」と覚悟を決めていた頃。
出勤途中、満開のゴールデンシャワーに出会いました。
「父にこの花を見せたい」とスマホのカメラに収めたのです。
でもそれは叶いませんでした。
あの夏から5年。
我が家には第二子の次男が誕生し、「祖父」が生きた時間とまったく重ならない子はヨチヨチと元気に歩いています。
世の中も様変わりし、あの夏に比べ私はたくましくなったのか脆くなったのか・・・。
もう声を聞いたり、映画や音楽や落語を楽しんだり、お酒を酌み交わすことはできませんが、私の意識の中に、そして息子たちの細胞の中にも確かに存在している父。
強く厳しい日差しと、降り注ぐ愛。
私にとってゴールデンシャワーは、父を感じられる花です。
黄色い花が語りかけること
生まれ来る命と、去っていく命。
毎年咲く黄色の花たちは、季節の訪れを告げるとともに根、幹、枝や葉―、樹木全体のエネルギーを使って限りある命の輝きを、私に語りかけているような気がしています。
スタジオにも黄色い花みぃつけた!
それではまた、カフを下げてお会いしましょう!
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