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OTV報道部

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「争うよりも愛しなさい」35歳シングルマザーが平和運動に吹き込んだ新たな風

南西諸島の軍備を強化する動きが進められるなか、沖縄から平和を発信しようという集会が2023年5月21日に開かれた。

掲げたスローガンは「争うよりも愛しなさい」。
普遍的なテーマで幅広い世代に訴える取り組みと司会を務めた女性の想いを取材した。

若者たちも一緒に参加できるような集会にしたい

2023年5月21日、北谷町で開かれた平和集会。

台湾有事などを念頭に国が南西諸島の防衛力強化を進めるなか、対話や外交による解決が重要だと訴えるものだ。

この日、司会進行を務めたのは平良友里奈さん、35歳だ。

平良友里奈さん
「子や孫たちを思い、そして沖縄の平和を思い、ずっと活動してくださったシニア世代の先輩方の想いもしっかり受け継ぎ、若者たちも一緒に参加できるような集会にしたいと試行錯誤しながら、きょうの平和集会に至りました。私たちは、一人でも多くの人にこの危機的状況をどうしたら伝えられるのか、真剣に考えております」

看護師として働きながら小学生の息子・友謙君を女手一つで育てている平良さん。

一日一日を懸命に過ごすなか、平和や安全保障について深く考えたことはなかったが、知人に誘われて2022年にうるま市で開かれた写真展に足を運んだことで関心が高まった。

平良友里奈さん
「2022年4月にミサイル配備の写真展ですね。ミサイル配備っていうものに関しては、その時点であまりニュースで流れていなかったので、これは本当にまずいぞと思った時がありました」

沖縄で進められようとしているミサイル配備の実態に衝撃を受ける一方、会場に若者の姿がないことに危機感を覚えたという。

平良友里奈さん
「その時の写真展に来ていた方たちはシニア世代しかいませんでした。私が30代で一人でした。この光景を見た時に、この間(あいだ)役・パイプ役になる人がいないと本当に危機だと感じたので、それが大きなきっかけでした」

沖縄の現状は78年前の出来事と似ている所がある

南城市糸数にあるアブチラガマ。

およそ300メートルにも及ぶ巨大な自然洞穴で、沖縄戦のさなか負傷した日本兵や住民合わせて一時1000人近くが避難していた。

平良友里奈さん
「600名・多い時は1000名、次から次へとどんどん負傷兵がこの中に運ばれていきます。看護師は3名、衛生兵7・8名、そしてひめゆり学徒も16名この中に配備されて懸命な救護活動が始まりました」

平良さんは沖縄戦の実相を学ぶことで、戦後の苦難の歴史や平和の尊さに思いを致すことができないかと考え、ガイドの仕事を始めた。

平良友里奈さん
「いまの沖縄の状況や日本の状況を調べたりしていくと、本当に78年前に沖縄で起きたような出来事、日本で起きたような出来事ととても似ている箇所が何点かあったりします」

幅広い世代が共感できる「愛」という普遍的なテーマを据えたい

2023年5月21日に開かれた平和集会で掲げられたスローガンは「争うよりも愛しなさい」

戦後、アメリカ統治の時代に沸き起こった大衆運動や闘いの歴史がいまの沖縄の礎となったことを踏まえつつ、幅広い世代が共感できる「愛」という普遍的なテーマを据えたいと平良さんが提案した。

平良友里奈さん
「いまの世界情勢や軍事拡大の流れ、これを止めるためにはどうしたらいいのかと考えました。大きな大きなエネルギーを沖縄で作り出さなきゃいけないと思い、シニアと若者の思いを一つにして大きな愛のエネルギーを作り出して、相手よりも大きなパワーにしてこの問題に立ち向かいたいです」

会場に気軽に入れる雰囲気をつくりたいと、キッチンカーに出店を呼びかけた。

キッチンカーの出店者
「平和集会のスローガンになっている「争うよりも愛しなさい」。うむいという曲の歌詞の一部でそれに共感して出店を決めました。いろんな意見、いろんな見方があるのでそこは結構難しいですが、戦争を望んでいる人は誰一人いないと思います」

若い人が先頭に立つこのエネルギーを大きくしていきたい

子どもたちが生きる時代に戦争が起きてほしくない。

平良さんの思いが同じ世代の若者にも届いた。

子育て世代の女性①
「こういう集会が開かれることはとっても素晴らしいことだなと思いますし、争うことよりも愛しなさいと書かれていたので、その気持ちをちゃんと思い出して、常に心に秘めてほしいなと思います」

子育て世代の女性②
「平和って暮らしに直接繋がることで、暮らしってやっぱり戦争とか政治的なことに直接自分が子育てする上でとても関わってくることなので、自分も循環させていきたい。平和を持続させたいです」

集会の最後には参加者全員で行進した。

平良友里奈さん
「若い人たちが先頭に立って、こうやって歩けることが本当にうれしいです。ただただうれしいです。きょうのこのエネルギーをまたどんどん大きくしていきたいなと思っています」

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