公開日
OTV報道部

OTV報道部

「これはあなたの隣の家の話かもしれない」貧困や若年出産など沖縄の社会問題を描いた映画「遠いところ」

沖縄市のコザを舞台に、17歳の少女が過酷な現実に直面しながら懸命に生きる姿を描く映画「遠いところ」
貧困や若年出産といった沖縄の問題を映し出している。

主人公の少女・アオイを演じた花瀬琴音(はなせ ことね)さんに、映画の見どころや役を通して感じたことを伺った。

生きている色味はこの街から吸収させていただいた

花瀬琴音さん
「めっちゃ懐かしいです。こんな感じだったなと思って…」

主人公・アオイを演じた花瀬琴音さん。
今回、総勢600人を超えるオーディションのなかから、主演の座を勝ち取った。

花瀬琴音さん
「1カ月半ぐらい役づくりをしてきて、(その間)コザに住まわせていただいていたので、お店のおじい、おばあと話していました。本当に毎日、ここを歩いていました」

花瀬さんは役作りのため、1カ月以上コザの街で実際に過ごした。

花瀬琴音さん
「独特な雰囲気がありますよね、コザは。生きている色みっていうのは、この町からすごく吸収させていただいていたので」

沖縄の問題として描かれているけど全世界で起こっていること

17歳のアオイは、夫のマサヤと幼い息子の健吾と三人暮らし。

生活のため朝までキャバクラで働くが、夫のマサヤは勝手に仕事を辞め、生活は苦しくなるばかり。
いつしかマサヤからの暴力も受けるようになる。

そんな中、キャバクラが摘発されたことでアオイは店で働けなくなり、マサヤはアオイのわずかな貯金を持ち出し失踪。

アオイは新しい仕事を探すもうまくいかず、「お金が必要」と切羽詰まったアオイは、キャバクラの店長からある仕事の誘いを受けることに。

貧困・若年出産・家庭内暴力…
沖縄に横たわる問題を、一人の少女を通して映し出している。

花瀬琴音さん
「映画で表現しているのは、沖縄の問題として描かれていますけど、やっぱり全世界で起こっていることなので、自分がどうにかできることがあるんじゃないかなっていう考え方の意識は、すごく変わりましたね」

悲しいと思っても、つらいと思っても正解 近くにいる人が苦境に直面しているかもしれない

花瀬さんはこの問題に向き合うため、アオイと同じような境遇の人から実際に話を聞きいた。

花瀬琴音さん
「おばあを頼りたい場面で頼らずに後を去っていくシーンがあるんですけど、何かそういったところが一番なんかアオイらしいというか。頼ることがわからないんですよね。どういうふうに頼っていたらいいかとか、どういうふうに助けてもらったらいいかっていうのがやっぱりわからない」

周りを頼るすべを知らないアオイは悩みを一人で抱え込み、孤立を深めていく。

花瀬琴音さん
「自分がどういうふうに感じて、アオイの様子を見てどう思ったかっていうのをすごく、一番大事にしていただきたいです。悲しいと思ってもそれが正解だし、つらいって思ってもそれが正解」

花瀬琴音さん
「もしかしたら何も思わない方もいらっしゃるかもしれないんですけど、そのとき感じたことを大切にして、自分がどう生きていくんだろうなっていうふうに思うので」

どこかの誰かではなく、あなたの近くにいる人がアオイのような苦境に直面しているかもしれない。映画では身近な問題として、いま一度目を向けてほしいと訴えている。

あわせて読みたい記事

HY 366日が月9ドラマに…

あなたへおすすめ!