沖縄経済
離島✖トライアスロン大会 地域に波及するプライスレスな価値
後間
今回は、「離島で開かれるトライアスロン大会のプライスレスな価値」について、野村證券那覇支店長の宮里洋介さんにうかがいます。
宮里
よろしくお願いします。
後間
トライアスロンと言えば、精神力も体力も必要なスポーツですよね。
宮里
はい。トライアスロンは、スイム・ロードバイク・ランニングを順番に行うスポーツです。
2000年からオリンピック競技にもなり、テレビなどで目にする機会も増えてきていると思います。
宮里
トライアスロンの競技人口は約37万人で、全国で290もの大会が開催されています。
スイムを海で泳ぐ大会が多いことから、日本全国の離島で開催されるトライアスロンがあります。
有名なところでは、新潟県の佐渡島や長崎県の五島列島、東京都の新島などが挙げられます。
離島は、トライアスロンの大会開催において諸条件が整う格好の環境となり、競技人口を増やしたい競技団体と来島者を増やし、地域を活性化させたいという離島の思いが重なるところでもあります。
後間
沖縄県内でもトライアスロンの大会が開催されていますよね?
宮里
本島で行われている「あやはしトライアスロン大会」以外にも、伊是名、宮古島、石垣島などの島で行われています。
後間
宮里さんはトライアスロン大会に参加されたことはありますか?
宮里
私はフルマラソンは参加したことがありますが、トライアスロンはまだ経験がないです。
後間
挑戦してみたいと思いますか?
宮里
いまのままでは完走できないので、練習しないといけませんね。
ちなみに、トライアスロンの参加者は平均年齢が50歳前後で、平均所得は約1000万円と高めです。
経営者やマネジメント層のビジネスパーソンなど、比較的自分でお金や時間・仕事のコントロールがしやすい人がトライアスロンに取り組みやすく、かつ、時間や体力の配分をうまく調整するノウハウを身につけたり、挑戦への意志を養ったりできる点などがビジネスに役立つ面も多いようです。
後間
なるほど。トライアスロン大会は地元経済にも大きな影響を及ぼしそうですね。
宮里
先ほど話したように、トライアスロン大会の参加者には40代以上が多く、家族を伴って参加する選手も多いことや、沖縄県内の参加者よりも県外の首都圏を含む大都市圏からの参加者が多く、観光・宿泊・飲食などを伴うので地元経済への波及効果も期待されています。
後間
経済面以外の影響もあるのでしょうか?
宮里
トライアスロンの大会では長時間にわたり地元の交通規制が行われたり、ボランティアが動員されるなど、地元の住民への負担も少なからずあります。
実際、2023年4月に行われた宮古島トライアスロン大会では自転車に乗った選手と地元の一般車両が接触するという事故も発生しています。
一方、こうした負担もあるなかで、宮古島トライアスロンの大会では、地元の小学生から大会参加の選手あてに手書きの手紙が送られています。
出場選手のなかには、大会終了後にお礼の手紙の返事を書いて、地元住民と選手との間に交流が生まれるなど、観光の経済効果だけでは測れないプライスレスな価値もあると思われます。
後間
今回は離島で開かれるトライアスロン大会のプライスレスな価値について宮里さんにうかがいいました。
ありがとうございました。
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