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OTV報道部

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多くの称賛の一方で誹謗中傷も。「平和の詩」の朗読者が紡ぎ続ける平和への想い

慰霊の日(6月23日)に行われる沖縄全戦没者追悼式では毎年、小中高生が自身の言葉でつづった「平和の詩」を朗読し、多くの人の心を打っている。
2021年に詩を朗読したのが当時、中学2年生だった上原美春さんだ。

美春さんは多くの称賛を得た一方で、誹謗中傷も受けた。それでもなお、美春さんは揺らぐことのない「平和への想い」を言葉にして、新たな詩を紡いでいる。

2021年、平和の詩「みるく世の謳(うた)」

2021年、西辺(にしべ)中学2年(当時)の上原美春さん。

上原美春さん
「6月を彩る月桃がたゆたう。忘れないで。犠牲になっていい命など、あって良かったはずがないことを」

上原美春さん
「私は知っている。礎(いしじ)をなでるしわの手が、何度も拭ってきた涙」

上原美春さん
「凛と立つガジュマルが言う。忘れるな、本当にあったのだ」

上原美春さん
「暗くしめった壕の中が、憎しみで満たされた日が、本当にあったのだ」

上原美春さん
「あの過ちに、再び身を投じることなく、繋ぎ続けたい。みるく世(ゆ)を創るのは、ここにいるわたし達だ」

2022年に紡がれた詩「unarmed(非武装)」

上原美春さん
「偽善者だ、おまえが戦争に行けばいい。おまえが死んでしまえばいい」

上原美春さん
「2021年に摩文仁で平和を訴えた。賞賛があり拍手もあったけれど、私の心を刺したのは、ナイフのような言葉の数々。悔しくて、悲しくて、痛くて痛くて」

上原美春さん
「本土復帰50年。インタビューのおばあが言った、どちらも武器を置きなさい」

上原美春さん
「あの絶望を見てきたおばあ。殺戮(さつりく)の歴史を知っているおばあ」

上原美春さん
「それでも、どちらも武器を置きなさい。憎しみが何を産んできたのか。命こそが大切なものじゃないか」

美春さんは小学生の時、いじめを受けた。

上原美春さん
「小学校1年生のころから、私は明らかないじめにあっていた。『死ね』『おまえなんか居ない方がいい』。そんな言葉を聞くのは日常茶飯事だったし、ケガを負わされることも当たり前にあった」

傷ついたからこそ思うこと

上原美春さん
「私は弱い。たくさん傷ついて、傷つけようと思った」

上原美春さん
「傷ついたから、人の痛みがわかるから、何リットルも涙を流したから」

上原美春さん
「武器を置くことを、私の強さと呼びたい。私たちは弱いから、先に武器を置こう」

「武器を置こう」とウクライナの人に言えるのかと批判もあった。

上原美春さん
「家族を守るために武器を持つんだよっていう人もいて、みんな家族を守りたくて。だから武器を持つって言われました。石垣島にミサイルが配備されたりとか、平和の準備をしなきゃいけない時に、争いの準備を始めるから…」

上原美春さん
「まだ子どもだから、まだ知らないことがたくさんあります。まだ知らないから、思うように強くは言えません。もっと早く大人になって、戦争はやっちゃだめなんだと大きな声で言いたいです」

2023年春、美春さんは笑顔で中学校を卒業した。

上原美春さん
「いじめがなかったら、今の大好きなみんなと出会えなかったから、かたちはどうであれ、会えたことに感謝しています」

高校生になった美春さんが紡いだ詩「うむい」

上原美春さん
「おもう。いま私にできること。15歳のいま、私に何ができるだろうか」

上原美春さん
「絵を描くのが好きだ。私は描くことでこのおもいを伝えたい。描きたい。おじいのこと、おばあのこと。過去として忘れられゆく時間、あの日の空や海、緑、歴史を」

美春さんは平和を願い、絵本を創作している。

上原美春さん
「どんな時でも助け合って、いろんなカラフルな絵をつくれる世界になったらいいなっていう想いを込めて、三原色を使って描きました」

上原美春さん
「おもう。今日、いまこの瞬間に。あなたと創る、平和のこと」

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