公開日
OTV報道部

OTV報道部

慰霊の日に平和を願うキッズファッションショー。かわいい、かっこいいから入り口があってもいい

戦争の記憶と平和の尊さを子どもたちに繋いでいくことをテーマにしたキッズファッションショーが慰霊の日に県内で初めて開催された。

ショーを企画したデザイナーの思いと3カ月にわたるプロジェクトを追った。

社会的なメッセージもファッションで届けられる

慰霊の日に平和を願うファッションショーを企画したのは、デザイナーの鶴田能史(つるた たかふみ)さん。
2023年4月、ショーにかける思いを熱く語っていた。

tenbo代表デザイナー 鶴田能史さん
「二度と争いを起こしたらいけない。その先に平和を願わずにはいられない。平和の大切さを、いかに今の若い世代を通して発信していくかが大切だと思っています」

鶴田さんは、戦後70年の節目の2015年に初めて平和のメッセージを取り入れたファッションショーを開催した。

tenbo代表デザイナー 鶴田能史さん
「社会的なメッセージと言われているもの、人がなかなか踏み込むことができないことですらも、ファッションで届けることができるのではないかと思っています」

日本のみならず、海外でも反響は大きく、その後も広島と長崎に原爆が投下された日に平和を願うショーを開催している。

tenbo代表デザイナー 鶴田能史さん
「私はファッションで平和の尊さを伝えるだけではなくて、沖縄戦のこともファッションショーを通して知るきっかけになってもらいたいというのがあります」

出演するモデルは障がいのあるなしにかかわらず、多様性を重視していて、4月のオーディションでは、子どもたちが考える平和への思いなどを審査し、応募のあった145人の中から26人をモデルやMCとして選出した。

2023年5月15日、51年目を迎えた本土復帰の日に鶴田さんはインスタグラムでドレスの原画を公開した。

モデル一人ひとりのプロフィールを見ながら、その子どもの個性に合わせたドレスをデザインした。

平和を願う千羽鶴ドレス

2023年6月23日の慰霊の日、那覇市ぶんかテンブス館では、鶴田さんの思いに共感する大勢のメイクスタッフが子どもたちに魔法をかけていた。

(Q.メイクされてますが、どんな気持ちですか?)

モデルを務めた子
「ドキドキする」

モデルを務めた子のお母さん
「ドレスの雰囲気に合わせてこんなに素敵にしてくださって、大変身してとてもうれしいです。子どもが嫌がるかなと思っていましたが、かわいくなるのがうれしいみたいです。すーちゃん良かったね」

会場に装飾されたのは、全国の子どもたちが描いた平和をテーマにした900枚の絵画。

午後1時、開場を待つ300人の観客。

黙とうの後、ショーの幕が開けた。

衣装に取り入れられている千羽鶴は、沖縄や広島、長崎の平和祈念資料館に寄せられ展示を終えたものを譲り受けて活用した。

多様性を重視するステージでは、みんなが協力して光り輝くランウェイを歩いた。

次の世代に素敵な世の中というバトンを渡してあげたい

ショーの後には、出演した子どもたちや開催に尽力したアーティストとのトークセッションも行われた。

モデルを務めた 功刀心海さん
「性的マイノリティの排除とか、肌の色の違いとか、民族の違いとかで争いや戦争が起きていると思うので、それを人それぞれが受け入れることができたら、優しい心を持てますし、思いやりの心を持つと思うので、平和になると思います」

アーティスト SUGIZOさん
「大人が次の世代に対して、素敵な世の中というバトンを渡してあげたいです。そのためには戦争は絶対にやるべきではないです」

ファッションという切り口から、平和について考えてほしいという鶴田さんの思いは多くの人の心に届いたようだ。

モデルのひ孫を見に来た女性
「最高です。世界はみんなきょうだいと一緒なので、みんなが平和になってほしいです」

娘が出演したお父さん
「長崎とか広島とかでイベントをされていたみたいなので、それを今回は沖縄でということで、また来年とか再来年とか慰霊の日にはこの子も含めて、家族でいろいろと考えるきっかけになったんじゃないかなと思います」

かわいい、かっこいいから平和に向き合う入り口があってもいい

およそ3カ月にわたり全身全霊で準備をしてきたと語る鶴田さんは、デザイナーとしての矜持(きょうじ)を交えて1日を振り返った。

tenbo代表デザイナー 鶴田能史さん
「第一声で出た『かわいい』『かっこいい』から平和というものに向き合う、このような入り口があってもいいんじゃないかと思います。その先には子どもたちが思う、平和のあり方が実は身近に存在している。家族と一緒にいる、大好きなパパ、ママといる。これこそが平和の真骨頂であって縮図であるんじゃないかなというのをわかりやすく表現したかったのです。それがファッションかなと思います」

あわせて読みたい記事

HY 366日が月9ドラマに…

あなたへおすすめ!