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OTV報道部

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東村の唯一のガソリンスタンドが37年の歴史に幕。生活に欠かせないインフラの今後は

沖縄本島北部の東海岸に3カ所しかないガソリンスタンドの一つ、東村の有銘SS(あるめ サービスステーション)は1986年に開業し、地域住民はもちろん、やんばる(沖縄本島北部地域)を訪れる行楽客にも利用されてきたが、2023年6月に閉店した。

住民は地域を支えてきたスタッフを労いつつ、重要な拠点がなくなることへの不安も口にしている。

閉店の理由は老朽化や人口減少などが要因

東村唯一のガソリンスタンド、有銘SS。

広大なやんばるの土地で、移動に欠かせない車の給油はもちろん、農家が農機具の燃料を補給するなど地域住民の生活にとって大事な拠点となっていた。

しかし、施設の老朽化に加え、人口や利用客数の減少、さらにはエコカーの普及によりガソリン需要が低下したことで経営を続けることが厳しくなり、2023年6月をもって店を畳むこととなった。

本島北部のガソリンスタンド80キロの間にわずか3カ所

営業最終日となった2023年6月30日も、多くの人々が給油のためにやってきた。

東村学校給食センターの軽トラを運転する女性
「寂しいですね。遠くなりますね、高江から来ていますので」

農機具用に買い置きしに来た男性
「なくなるのは寂しいですね。あったほうがいいです」

利用客の女性
「もう大宜味(おおぎみ)に行くしかないです」

有銘SSが閉店となれば、東村から最も近いガソリンスタンドは山を越えた先の大宜味村津波(つは)になる。

有銘SSからはおよそ10キロ離れていて車で20分ほどかかる。

さらに、本島北部東海岸のガソリンスタンドは名護市二見(ふたみ)から最北端の辺戸(へど)岬にかけて名護市瀬嵩(せだけ)、有銘SS、国頭村安波(あは)、とおよそ80キロの間に3カ所のみ。

有銘SSは地域の住民だけでなく、やんばるを旅する人々も利用してきた。

ツーリング中に給油しに来た男性
「ほぼ、ここで給油しています。10年くらい利用していました。今後は、街のほうで満タンにして来るしかないですね」

有銘SSはツーリング客の集合場所でもあった。

37年の歴史を閉じる、最後の一日

有銘SS 比嘉章人 所長
「今年で37年目ですね。北は高江のほうから、南は名護の天仁屋(てにや)から通っていただきました。朝から、地域の方が最後だからということで、燃料を入れに来たり、感謝の言葉をかけに来てくれたりしました」

有銘SSの女性従業員
「レギュラー売り切れです。今日が営業日の最後になります。ありがとうございます」

最後の女性客
「唯一ここが、東村にとっての給油所でした。本当に助かりました」

有銘SSの女性従業員
「700円のお釣りです。ありがとうございました。大変お世話になりました」

有銘SS 比嘉章人 所長
「閉めましょうか」

有銘SS 比嘉章人 所長
「ホッとしたところもありますね。明日以降は営業はしないのですが、後片付けとかをやっていこうかなと思っています」

従業員の稲福清美さんは、30年あまり有銘SSで勤め、閉店とともに退職する。

有銘SSの従業員 稲福清美さん
「今日は長いような短いような一日でした。あっという間でした。とっても楽しい期間でした。楽しかったです」

東村のガソリンスタンドの今後は…

路線バスやタクシーなどといった公共交通機関が乏しいやんばる地域で、自家用車は必需品。

ガソリンスタンドは生活に欠かせない重要なインフラだ。

有銘SSが閉店することを受け、東村は役場に近い東村平良の村有地に、新たなガソリンスタンドを誘致することを決めた。

住民の足を支えてきた生活基盤を確保するため、東村はできるだけ早く新たなガソリンスタンドを設置したいとしている。

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