公開日
くらしと経済編集部

くらしと経済編集部

実用化が始まった、自動運転バス

小林
こんにちは。小林美沙希です。
今年の夏に東京で行われた、世界的なスポーツイベントで、アスリートや大会関係者の移動手段として使われた自動運転バス。その最新事情を、野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。宜しくお願いします。

宮里 
よろしくおねがいします。

実用化が始まった、自動運転バス

小林 
スポーツイベントでの導入以外にも、コマーシャルなどでもよく目にすることが増えた自動運転技術。今どのくらいの段階に来ているのでしょうか。

宮里
自動運転には、自動運転する技術が何もない「レベル0」から、条件なく全ての運転操作を自動化する「レベル5」まで6段階の区分があります。現在は「レベル3」までが実用化されており、高速道路など限られた領域において、決められた条件のもとで自動運転が認められています。システムが自動運転を継続できなくなった場合は、ドライバーはいつでも運転に戻らなければなりません。今年行われた国際的なスポーツイベントでは1段階レベルをあげた「レベル4」相当の取り組みが行われていました。

実用化が始まった、自動運転バス

小林
なるほど。今回のような取り組みが、将来自動運転バスが普通に道路を走る社会を作る一歩になっていくんですね。

宮里
そうですね。実は、もう自動運転バスが路線バスとして運行されている地域もあるんです。茨城県の境町では、昨年11月から自動運転バスが町民の足として運行されています。境町には鉄道路線がないため、住民の交通手段は主に自動車で、人口の3割を占める高齢者も運転免許を返上できない状況でした。こうした状況を打開するため、自動運転バスの運行が開始され、町民の要望に応える形で便数やルートが拡大し、今年9月までの利用者数は延べ3950人に達しました。
当初は高齢者の足としての役割が期待されていましたが、小さな子供づれの母親の利用も目立つということです。街の中心部に行き来する人が増えれば、街の経済の活性化にもつながると考えられます。また、町の外から見物客が訪れるなど人流の活性化にも貢献しています。

実用化が始まった、自動運転バス

小林
今後、境町のような事例が増えていきそうですね。

宮里
はい。境町以外にも、群馬県前橋市や福岡県北九州市などでも自動運転バスの実証実験が行われています。北九州市で行われた実証実験では、ユニークな取り組みとして、長年路線バスを運転しているベテランドライバーの走行データを自動運転システムのAIに学習させ、再現しています。ベテランドライバーのちょっとした工夫を反映させることで、滑らかな走行に繋げているそうです。

実用化が始まった、自動運転バス

小林
各地で自動運転バスの導入が計画されている背景には何があるのでしょうか。

宮里
背景には地方の路線バス事業が抱える問題があります。国内の路線バスの乗車数は減少傾向にあり、地方圏ではピークだった1965年度のおよそ4分の1まで減少しています。また、運転手のなり手も減少していることも深刻な問題です。運転手が確保できないために、廃線を余儀なくされる路線も出てきています。このような、様々な背景から自動運転バスの走行実現については、地方自治体も交通事業者も大きな期待をかけています。

実用化が始まった、自動運転バス

小林
自動運転バスは、公共交通機関の乏しい地方自治体の新たな移動手段としてだけでなく、持続可能な地域づくりなどにも役立つ存在になりそうですね。
宮里さんありがとうございました。

あわせて読みたい記事

HY 366日が月9ドラマに…

あなたへおすすめ!