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くらしと経済編集部

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新たな観光資源の可能性を秘めたミソ

後間
今回は古くから日本人の健康を支えてきた味噌。その味噌が、新たな観光資源として注目されています。その最近の事情をについて野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。

新たな観光資源のミソ

宮里
人口減少や食生活の多様化の影響を受けて、国内の味噌消費量は縮小傾向にあります。2001年の一世帯当たりの年間購入量はおよそ8,000グラムであったのが、2020年には5,260グラムと3割以上減少しています。

1世帯当たりの味噌購入量と平均価格の推移

宮里
一方で、海外への輸出量は日本食や健康食品ブームを受けて、年々増加傾向にあり、2022年には2万トンを超えて、金額ベースでは50億円を超えています。

味噌の輸出実績の推移

後間
国内の消費量の落ち込みと海外への輸出の伸びには驚かされますね。しかし、一口に味噌といっても、味噌には様々な種類がありますよね。

宮里
宮里
味噌はその土地の気候風土や歴史背景と密接な関係を持つことから地方色が豊かで、「所変われば味噌変わる」と言えるほど、全国には様々な味噌が存在します。

大きく分けると3種類に分類することができます。原料の違いで見ると、米味噌、麦味噌、豆味噌ですね。味で分類すると、甘味噌、甘口味噌、辛口味噌に分けられます。同じ原料を使っていても、それぞれの味噌蔵の製法や気候、蔵に棲みつく微生物などが異なることにより、全く異なる味わいが生まれます。

日本の味噌の分布図

宮里
余談ですが、あの徳川家康も戦国時代の中では長寿で、特に健康に気を付けていて、出身地の岡崎の八丁味噌を好んで食べたといわれています。戦国時代を終わらせ、天下統一における原動力の一つになったのではないかとさえ思えますね。

後間
徳川家康と味噌にも意外なつながりがあったかもしれませんね。では県内の味噌はどのように作られているのでしょうか?

宮里
1年を通して温暖湿潤な沖縄の気候は発酵食品づくりには適していることから、昔ながらの天然醸造製法で作られています。仕込みから出荷までの醸造期間は夏場で3~4カ月前後、冬場でも6~7カ月前後で、年間平均気温23度、高温多湿な亜熱帯沖縄の地の利を活かした製法といえます。

一方、都道府県庁所在市別でみた一人当たりの味噌の支出金額・数量でみると、那覇市は46位で下から2番目で、1位の長野市と比べると金額でも量でも半分以下になっています。

都道府県庁所在市別のみその支出金額・数量

後間
これから沖縄での味噌の展開・将来はどうなっていくのでしょうか。

宮里
昔から「味噌の医者殺し」という言葉があるように、味噌は古くから日本人の健康を支えてきました。今後は時代のニーズをよく見極めた上での味噌の商品戦略や新たな価値提案、伸長著しい海外市場への参入など事業方針が必要であると思われます。

現在、世界中で味噌の健康効果が注目をされていることを踏まえると、日本文化を代表し健康志向にあう、外国人向けにニーズにマッチした味噌が沖縄の観光資源の新たなミソになるかもしれません。

後間
身近な味噌の新たな可能性を感じました!

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