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長濱 良起

長濱 良起

台湾少数民族の伝統文化保護に学べ!~長濱良起の台湾自転車無限ループの旅~Vol.06

長濱良起の台湾自転車無限ループの旅

大家好(ダージャーハオ)。フリーランスでライターやディレクターをしています長濱良起と申します。

強制的にダイエットをしようと、台湾自転車旅で10kg痩せるまで沖縄に帰らないという挑戦中です。1周目の完遂まではもう少し。8月4日(35日目)現在、台湾島の東部、花蓮県にいます。今のところ最大で8kg痩せたので、あと2kgです。旅も佳境に入ってきました。

東西横断、山越えへ

旅を続けて25日目のことでした。25日目と言っても途中でワーケーション状態を挟んだりしているので、純粋に自転車を漕いだ日数だけで言えば2週間ぐらいでしょうか。西海岸を南下し続けてついに台湾島の南まで到達し、今度は東海岸を北上する番です。

しかしみなさん。実は台湾島の地形は、東西を分断するかのように中央を山々が連なっているため、サイドチェンジをするには山越えをしなければなりません。山を横断するにはいくつかのルートがありますが、今回は敢えて「牡丹(ぼたん、ムーダン)」という土地を通ることにしました。これには理由があります。

宮古島島民遭難事件を知っていますか?

名前でピンとくる方もいるかもしれませんが、ここは「牡丹社事件」が起きた場所です。日本の台湾出兵のことで、この事件の発端は「宮古島島民遭難事件」にありました。

1871年、今から150年以上も前の話ですが、宮古島の船が遭難し、台湾に漂着した69人のうち、3人が溺死、54人が地元の人によって殺害されたという事件です。お互いの意思疎通が図れずスパイとみなされてしまった結果、このような惨事に至ってしまいました。

それから3年後の日本政府の台湾出兵を清国が承認したために、琉球が日本に帰属することが国際的にも認められていったという契機になりました。沖縄の歴史を語る上でも非常に大きな意味のある場所として、この牡丹があります。

だから、そこに行きたい!

少し遠回りしてでも行きたかったのでした。

「琉球藩民墓」 歴史に学ぶ友好平和

と、山を越えようとふもとの町を出発してすぐでした。牡丹はまだまだ先の段階です。偶然にも「琉球藩民墓」という標識を発見しました。

長濱良起の台湾自転車無限ループの旅
長濱良起の台湾自転車無限ループの旅

この事件の経緯の他、沖縄と台湾、双方からの弔いの気持ちや、両国の末永い友好を願う文章で案内と説明がされていました。

長濱良起の台湾自転車無限ループの旅
長濱良起の台湾自転車無限ループの旅

お墓には泡盛や日本酒も。新しいものもあったので、定期的に手を合わせに来ている人がいることがうかがい知れます。

2005年には、加害者となった人々の子孫が、沖縄県に遺族の子孫を訪れ、友好の握手を交わしたとのこと。長い年月が過ぎようとも、この事件を教訓として双方の関係構築をしている姿勢こそに価値がありますよね。

長濱良起の台湾自転車無限ループの旅
長濱良起の台湾自転車無限ループの旅

そして牡丹へ

牡丹に入りました。山あいの村といった感じです。

長濱良起の台湾自転車無限ループの旅

台湾には、多数派の民族集団である漢民族の他、正式に“原住民”と言われる人々も多く住んでいます。16の民族があるとされており、人口の2.5%に当たります。約60万人いるので、那覇市と沖縄市とうるま市の人口を足したぐらいでしょうか。

牡丹には主にパイワン族という人々が住んでいます。とはいえ世の中もう21世紀に突入して23年経っているので、伝統の中で暮らしているというよりは、現代社会の中で暮らしながら、行事ごとを大切にしたり、伝統文化の継承を意識したりして、アイデンティティを育てたりつなげたりしているように思えます。

沖縄だってそうですよね。地域ごとで豊年祭をしたり、旧盆にエイサーを踊ったり、琉装で結婚式をしたり。

長濱良起の台湾自転車無限ループの旅
長濱良起の台湾自転車無限ループの旅
長濱良起の台湾自転車無限ループの旅

集落の入り口には民族文化の彫刻で飾られたゲートもあります。表記にはパイワン族の言葉も。

長濱良起の台湾自転車無限ループの旅

これは役場の建物です。壁画が、いわゆる中華文化圏のそれとは違うことが分かりますよね。原住民の多い東海岸の町や村では、学校の建物もこのような感じで、伝統的なデザインが施されています。

花蓮市役所「原住民族行政課」

また、次の写真は牡丹ではありませんが、台湾東部・花蓮市の役所内部の写真です。「原住民族行政課」という課があります。各地のイベントや活動を支援しているようで、職員の方は民族衣装に身を包んで市民対応をしていました。

原住民の文化に関心のある外国人が訪れるのは珍しいようで、歓迎してくれました。

長濱良起の台湾自転車無限ループの旅
長濱良起の台湾自転車無限ループの旅

意味合いは変わってきますが、沖縄の役所職員がかりゆしウエアを着ているのとなんだか状況が似ています。

文化って、残そうとしなければあっという間に消えていくじゃないですか。ウチナーグチだってたった3世代4世代でなくなりそうなぐらいピンチなんですから。だから、やりすぎかなって思うぐらい、残す努力って大事なんだなと思います。

外から沖縄を眺めて、外の状況を重ねるからこそ、余計に自分たちの文化は大切にしようと思います。そうだなぁ、旅を終えたら紅型作り体験でもしたいと思います。

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