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OTV報道部

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命の水を汚されることは県民の人権が脅かされることに他ならない 市民団体が国連でスピーチ

アメリカ軍基地の周辺で検出されている有機フッ素化合物・PFASから子どもたちを守ろうと活動してきた市民団体は、2023年7月に国連の会議に出席して、汚染問題の解決を国際社会に訴えた。なぜ市民は国連に向かったのか、その思いを伝える。

「僕らは僕らの主張で訴えかけていくことが必要」

2023年7月15日に沖縄を出発し、スイス・ジュネーブで開かれた国連の会議に出席した宜野湾ちゅら水会のメンバーが、9日間の日程を終えて沖縄に戻った。

宜野湾ちゅら水会 照屋正史さん
「非常に充実した1週間でした。私たちが訴えたいことを十分伝えることができたと思います」

宜野湾ちゅら水会 宮城優さん
「僕らは僕らの主張で訴えかけていくということが必要ではないかと感じました」

子どもたちが飲んできた北谷浄水場から供給される水道水に、有害性が指摘される有機フッ素化合物・PFASが含まれていた問題が発覚して7年が経つ今なお、汚染源とみられるアメリカ軍嘉手納基地への立ち入り調査すら実現していない。

子どもたちを守りたい…。
宜野湾ちゅら水会のメンバーは、再三にわたり基地への立ち入り調査を求めてきたほか、独自の土壌調査なども実施してきた。

宜野湾ちゅら水会 町田直美さん(2023年2月8日)
「世界から、日本に対して改善に向けて努力するように勧告していただくと、日本政府も変わっていくのかと思います」

ちゅら水会のメンバーは国際社会に訴え、沖縄の現状を前進させようと準備を進め、国連へと向かった。

「子どもたちの未来のため、きれいな水のある沖縄で暮らしたい」

命の水を汚されることは県民の人権が脅かされることに他ならないと参加したのは、国連の先住民族の権利に関する会議だ。

撮影:宜野湾ちゅら水会

会議には世界の各地から多くの参加者が集結。エントリーしてもスピーチができるか確約はない中だったが、ちゅら水会の町田直美さんが指名された。

撮影:宜野湾ちゅら水会

宜野湾ちゅら水会 町田直美さん
「何度も何度も練習しました。本当に英語のスピーチは緊張しました」

スピーチでは、普天間基地に隣接する小学校で有機フッ素化合物・PFASによる土壌の汚染が確認されている中でも、日本政府とアメリカ政府は措置を講じていないことを指摘し、子どもたちの安全と権利を守るよう訴えた。

宜野湾ちゅら水会 町田直美さん
「やっぱり子どもたちがそのまま放置されています。自分たちで目の前の子どもたちを助けられないことがとても悔しいです。助けられる力のある人に、どうか力を貸してくださいという気持ちで国連に行きました」

宜野湾ちゅら水会 町田直美さん
「私たちは日本政府に対し、有機フッ素化合物・PFASによる汚染を調査し、子どもたちを守るよう強く求めます。子どもたちの未来のために、きれいな水を取り戻すために力を貸しくてください。きれいな水のある沖縄で暮らし続けたいのです」

撮影:宜野湾ちゅら水会

「沖縄に来て実態を調査してほしい」

町田さんのスピーチの翌日、会議に参加している日本政府の担当者は、アメリカの機関と協力するなど対応に取り組んでいると発言した。

宜野湾ちゅら水会 照屋正史さん
「その後、すぐ私が『いやいや、立ち入り調査もできていませんよ』と言ったのに対して、(日本政府は)何の反応もなかったです」

日本政府の発言の後、宜野湾ちゅら水会の照屋正史さんも直に声を届けた。

宜野湾ちゅら水会 照屋正史さん
「PFASに関して、沖縄県が普天間基地への立ち入り許可を申請した際に(米軍に)拒否されました。沖縄県と協力して、基地内のPFAS汚染源を特定するための調査を実施するよう要請します」

撮影:宜野湾ちゅら水会

宜野湾ちゅら水会 照屋正史さん
「PFOSの問題は、汚染源の特定が重要だと思っています。(現在)立ち入り調査ができない状態なので、立ち入り調査をさせてほしいということを主にまとめました」

撮影:宜野湾ちゅら水会

ちゅら水会のメンバーはスピーチ以外にも、国連の関係者と個別で面談したり、サイドイベントに参加したりして、沖縄で起きているPFAS汚染の現状を訴えた。

撮影:宜野湾ちゅら水会

宜野湾ちゅら水会 照屋正史さん
「いつ沖縄県が(米軍や日本政府に)要請したかなど聞かれたので、英文で用意した資料を提供したり、写真で状況を説明したりして、できるだけ視覚に訴えました」

撮影:宜野湾ちゅら水会

宜野湾ちゅら水会 照屋正史さん
「国連には調査権限を持つポジションの方々もいるので、そういった方々に、実際に沖縄、もしくは日本に来てPFAS問題の実態を調査してほしいというお願いをしてきました」

市民の代表として問題解決に向けて一歩でも進めていくために

今回の国連行動のため、ちゅら水会は寄付の協力を呼びかけてきた。

募金した人たち
「水はみんなの問題で、自分たちの問題です。怖いです。子も孫もお年寄りも、みなそれを飲んでいるわけですから。自分たちは(国連に)行けないです。(その代わりに)代表が声を届けてくれるので、寄付ぐらいはお安い御用です」

市民の代表として臨んだ国連行動。
国際社会に沖縄の現状を伝える、その目的は果たせたと、ちゅら水会のメンバーは安堵(あんど)するとともに、子どもたちに安全な島の環境を手渡すための努力を続ける決意を新たにしている。

宜野湾ちゅら水会 町田直美さん
「子どもたちが、豊かな環境の中で育っていくことができて、健康とかの不安が解消できたら一番いいです。大人として、とても責任を感じます。『皆さんが力を合わせればどうにか解決できます、力を合わせましょう』という気持ちで国連に行ったので、それが一歩でも進んでくれたらいいなと思っています」

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