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沖縄泡盛「残波」の魅力を紐解く! あなたは「ザンクロ」?「ザンシロ」?それとも…?
地元沖縄を始め、日本全国そして世界でも多くの人に飲まれている比嘉酒造の泡盛「残波」シリーズ。その中でも「ザンシロ」として親しまれている「残波ホワイト25度」と、「ザンクロ」こと「残波ブラック30度」は泡盛の定番、もっと言えば“泡盛入門”の定番と言っても過言ではないだろう。
その美味しさと魅力を味わうために、沖縄LOVERで泡盛初心者「水中ゴミ拾い専門店 Dr.blue」のダイビングインストラクター・東真七水さんが泡盛バーでザンシロ・ザンクロのテイスティングリポートを決行。香りや味の違いから、泡盛の造り、飲み方による感じ方の差、そして残波シリーズの多彩さなどについて、泡盛知識豊富なバーのマスターの力をかりて、グラスを傾けながら対話を重ねた。
果たして、東さんは残波好きになるのか?泡盛好きになるのか?
芳醇な泡盛の香りに誘われる、体験型リポートの一部始終をお届けする。
比嘉酒造と泡盛残波
残波を製造している比嘉酒造は戦後間もない1948年、沖縄県中頭郡読谷村に民営移管の『南部酒造組合』として創業。アメリカ民政府から酒造免許を取得し、念願の第1号泡盛「マルタカ」(○の中に高=地元・高志保にちなんで命名)の販売を開始した。1953年『比嘉酒造』と改名し、比嘉寅吉が社長に就任。
その後1980年にメインとなる銘柄「残波」が誕生した。
今回テイスティングするザンクロは1985年、ザンシロは1988年にそれぞれ発売されており、現在まで県内外や海外でもたくさんの人に飲まれ、親しまれているロングセラーの泡盛となっている。
ザンシロはフルーティですっきり華やか
今回おジャマするのは那覇市泉崎にある『Bar Tasting Club(バー テイスティング・クラブ)』。店内には数えきれないほどたくさんの泡盛のボトルが並ぶ。オーナーの儀部頼人さんは新酒から古酒まで各酒造の銘柄の特徴や味わいに精通していて、泡盛をこれから知りたいという初心者から、酒好きの玄人まで幅広い層の人たちに泡盛の魅力を伝えている。そんな儀部さんを頼りに、早速ザンシロとザンクロの違いを確かめることに。
「あまりお酒には強くないんですが」と前置きしつつ、「普段泡盛を飲むことは時々あるのですが、ちゃんと違いを意識して飲んだことはないので楽しみです」と期待に目を輝かせる東さん。
心地よいジャズが流れる空間で、琉球ガラスに氷が触れるカラカラという涼しい音色が響く。先ず始めに出てきたのはザンシロの水割りだ。
東さん「こんなに飲みやすかったっけ?って思うくらい、めちゃくちゃ飲みやすいです!とってもフルーティな香りで、口あたりもまろやか」
儀部さん「そうなんですよ。ザンシロはとても飲みやすい泡盛なんです。減圧蒸留という方式で蒸留することで、クリアでクセが無く、とても華やかな香りに仕上がる。このフルーティな飲みやすさが功を奏して、全国でも爆発的にヒットしました」
少し捕捉しておくと、「減圧蒸留」は製造の工程で文字通り蒸留釜内部の気圧を下げて蒸留することを指す。気圧の低い高い山の上で水を沸騰させると、100℃よりも低い温度で沸く。その原理を利用して、沸点を下げて蒸留することでソフトで優しく、すっきりとした味わいになると同時にフルーティな香りも抽出され、若いバナナや青リンゴのようなニュアンスもまとう酒が出来上がるのだ。
ザンクロはしっかり、泡盛らしさも
ちなみに、ザンクロも同じく減圧蒸留で造られている…と説明したところで、1杯目からザンシロの飲みやすさ直面して目を見開いた東さんが、すかさず「並べて比べた方がもっと違いが分かりますかね?」と、ザンクロの水割りをオーダーした。
東さん「こちらはさっきのフルーティさとは違って、しっかりとした辛口な感じがします。飲んだ後の余韻も感じられますね。私は意外とザンクロの方が好きかも」
儀部さん「お。それはお酒好きの素質がありそうですね(笑)。ザンクロの方がアルコール度数が5度高いこともあって、ザンシロよりはしっかりとした厚みのある味わいになるんです。それでいて、ちゃんとまろやかな飲みやすさもあるのが特徴です」
ザンクロにはザンシロに比べてコクや旨味があり、いわゆる“泡盛らしさ”も感じられる味と香りになっている。フルーティで飲みやすいザンシロから始めて、飲み慣れてきたらザンクロ、さらに泡盛を知りたくなったら古酒にも手を伸ばしてみる…という順番を踏んで飲むともう既に「泡盛好き」と言っても過言ではないだろう。ザンシロとザンクロは、そんな泡盛好きの「入り口」としても最適だ。
「すっきりとした味に仕上げるために、熟成させるための成分は基本的にザンシロ、ザンクロにはあまり入っていないんです。その意味でも、この2つは“今すぐ飲んで美味しい”泡盛になっているんですよ」(儀部さん)
泡盛残波のオススメの飲み方は?
香りや味への理解が深まってくると、次は飲み方による感じ方の違いも気になるところだ。始めは水割りだったが、その他にもソーダ割り、お湯割り、オン・ザ・ロック、ストレートなど、楽しみ方はいくつもある。居酒屋などの飲食店では、よりカジュアルなアプローチとして、コーラやジンジャエールなどで割ったり、うっちん茶で割ることもある。
ザンシロ、ザンクロはどんな飲み方が良いのか?
水割りで味と香りを感じた後、ソーダ割りに挑戦する東さん。
東さん「全然違う…飲み方でこんなに変わってしまうんですね!炭酸だと、さっきとは別の味の感じ方になる。シロもクロも、水割りの方が味が分かりやすかったような気がします。私は水割りのザンクロ派です」
儀部さん「そうですね。ソーダ割りも美味しいんですが、基本的に泡盛の飲み方としては水割りが一般的だと思います。特に減圧蒸留のものは水割りが良い。ソーダ割りだと、たとえば食事のシーンで油ものがあると美味しく活躍したりもしますけどね」
東さん「これまで周りにはソーダで割ってる人が多い印象だったので、泡盛が基本的に水割りということも初めて知りました」
ザンシロ・ザンクロは居酒屋や飲食店で見かける機会がかなり多い。その飲みやすさゆえに、沖縄料理だけでなく様々な料理と合せて楽しむこともできる。儀部さんのおすすめは「ザンシロは水割りでお刺し身。ザンクロはロックにして魚の煮付けか、油っこいものに合せて飲んで、口の中をさっぱり流すのも良いですよ」とのこと。
酒そのものをゆっくりと味わうのも良いが、好きな料理に合せる好きな飲み方を探求するのもまた一興。楽しみ方の幅を広げていくことで、酒や食事への感性や意識も変化する。食文化にもより豊かさを見出だせるようになるはずだ。
残波はクロとシロだけじゃない!青と金も銀もあります
泡盛と残波の知識を吸収しつつ、良い感じでほろ酔いになってきた東さんの元に、クロでもシロでもない青いボトルが登場する。常圧蒸留の5年の甕熟成古酒と、減圧蒸留酒とを絶妙なバランスでブレンドした「残波PREMIUM」だ。「何度か飲んだことあるし、お土産に買ったこともあります」という東さん。儀部さんの勧めでまずはストレートで味わってみます。
東さん「さっきまでと香りが全然別物…。(一口飲んで)ストレートで飲むには私はちょっと修行が足りないですね(笑)でも、香りを楽しむというのは何となく分かる気がします」
儀部さん「プレミアムはロックか水割りもおすすめですよ。水割りにしてみましょう」
東さん「(水割りにしたプレミアムを一口)とってもまろやかになって、飲みやすいですね。華やかさと深みとのバランスが良いという感じもします」
青にとどまらずさらに出てきたのは、沖縄限定販売の「残波 金(ZANPA 3years)30%」と「残波銀(ZANPA 3years)25%」の2本。早速水割りで飲んでみることに。
東さん「今日飲んだ中で1番クセがなくて、めちゃくちゃ飲みやすいですね。ダイビングの後でもごくごくいけそうです(笑)夏に飲みたいようなサラッとした飲み心地。泡盛を飲んだことない人、苦手な人でも飲めるかもしれません。泡盛入門編ですね!」
儀武さん「可能な限りクセを抑えて、県外の人たちにも広く飲んでもらおうということかもしれないですね。金も銀もザンシロ、ザンクロと同じく“今飲んでほしい泡盛”だと思います。こちらも水割りで楽しむのが良いと思います!」
泡盛残波ザンシロ・ザンクロ取材後記
ザンシロ・ザンクロをきっかけに泡盛の楽しみ方に触れた東さんは「飲み比べができたことで、泡盛の味の幅がとても広いことが分かりました」と満面の笑み。「残波だけでもこんなにたくさん楽しめるのは本当に発見でした。先ずは残波シリーズの全制覇から始めようかな」と、泡盛好きへの大きな一歩を踏み出した。
小さな島にも関わらず、飲みきれないほどに多種多様な味わいが展開されている沖縄泡盛。その広大な世界への扉を開ける最初の1杯に、先ずはザンシロ・ザンクロを手に取ってみてはどうだろう。
泡盛残波はどこで買える?
今回ご紹介した、ザンシロ、ザンクロ、プレミアム(青)は泡盛残波を置いてある、沖縄県内の酒店、お土産店、スーパーマーケット、コンビニなど幅広く展開されているので、沖縄県内であれば、ほぼ何処でも購入可能となる。
沖縄限定販売の「残波 金(ZANPA 3years)30%」と「残波銀(ZANPA 3years)25%」は、沖縄県内の泡盛専門のお土産店をはじめ、那覇市国際通り商店街、那覇空港にて購入できる。
協力:Bar Tasting Club 儀部 頼人
reporter:東 真七水
text:真栄城 潤一
photo:真栄城 潤一
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