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くらしと経済編集部

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米から広がるバイオプラスチック

後間
こんにちは。後間秋穂です。今回は「米からつくるバイオプラスチック」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。
よろしくお願いします。

宮里
よろしくお願いします。

米からつくるバイオプラスチック

後間
米からつくるということですが、米もプラスチックの原料になるんですか?

宮里
一般的には石油などから科学的に合成した樹脂をプラスチックと呼びます。一方で、植物などの再生可能な原料を使ったバイオマスプラスチックや、微生物などによって最終的に二酸化炭素と水に分解される生分解性プラスチックもあり、その総称を「バイオプラスチック」といいます。植物原料としては、サトウキビなどが一般的ですが、米を原料にするバイオプラスチックもあるんです。

現状、身の回りのプラスチック製品はほとんどが化石燃料由来で、これらがリサイクルされずに焼却されると、二酸化炭素を排出して地球温暖化の原因となります。バイオプラスチックはそうした社会問題の解決に貢献する素材と言えます。

後間
なるほど。米を原料にしたプラスチックは私たちが普段食べる米から作られているのでしょうか?

宮里
食用の米ではなく、非常食用の米から作られています。いち早く、米を原料にしたプラスチックの開発を進めてきたのが2007年に創業された新潟県南魚沼市にある会社です。同社では、食用に適さない古米、菓子メーカーで発生する砕けた米など廃棄されてしまう米を原料に一般的なプラスチックに使われる石油系樹脂を混ぜて、バイオプラスチックを作っています。

後間
では米を原料にしたプラスチックはどのように利用されているのでしょうか?

宮里
こちらの通り、様々な分野に用途が広がっています。例えば、ある玩具メーカーでは、A社の米原料プラスチックを使った赤ちゃん向けの積み木や食育玩具シリーズ、米原料プラスチックを51%配合したブロックを販売しています。一般的なプラスチックより安心な素材をという保護者のニーズにマッチして、累計100万セットも売れているとのことです。

また、大手ハンバーガーチェーンでは、2022年から、A社の米原料プラスチックを25%配合したスプーンやフォークなどを全店で導入しています。

日本の米を有効活用でき、原料の輸入で生じるリスクを避けることができることなども導入の大きな理由です。

後間
では、国内での市場規模はどうなっているのでしょうか?

宮里
バイオプラスチック全体の国内市場規模を見ますと、こちらの通り2020年には前の年からおよそ53%増えた7万3105トン、2021年には前の年からおよそ21%増えた8万8530トンと急激に増加しています。その要因には、2020年7月からのレジ袋有料化による需要の急増や、大手飲料メーカーが飲料用ペットボトルに本格採用し始めたことなどがあげられます。

国内外で加速する脱プラスチックの流れに乗って、米原料のバイオプラスチックにかけられる期待もますます大きくなっていくと考えられます。

後間
地球に優しい新しいプラスチックの拡大が楽しみですね。宮里支店長、ありがとうございました。

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