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OTV報道部

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ハブクラゲに刺され一時意識不明の女児 事前に被害報告されるもビーチ管理側から注意喚起なし

2023年8月11日、名護市のビーチでハブクラゲに刺された7歳の女の子が一時、意識を失う事故があった。
幸い一命はとりとめたが、痛々しい触手の跡が残り、心身ともに傷を負っている。

口から泡をふき、意識がなくなる

取材に応じてくれた女性は、ハブクラゲに刺された女の子の伯母にあたる。

2023年8月11日、親族10人で沖縄を訪れ、名護市のホテルにチェックインし、先に遊んでいる女の子たちと合流しようと併設されているビーチに向かった。

ハブクラゲに刺された女児の伯母
「ビーチの方から、叫びながら人が来ると思っていたら、うちの妹夫婦でした」

遊んでいたビーチは、ハブクラゲの侵入を防止するネットが整備されたビーチだった。

ハブクラゲに刺された女児の伯母
「(妹夫婦いわく)ビーチで遊ぶよと(女の子が)入っていき、パシャパシャとしていたみたいだから、すごく浅瀬だと思います。そこから、『痛い痛い』と言って、波打ち際にいた両親のところに駆け寄って来ました」

女の子は急いで海から引き上げられたが、口から泡をふき、意識がなくなっていった。
その間、偶然宿泊客として来ていた医者が必死で蘇生を始めて、事故からおよそ15分後に女の子は呼吸を取り戻した。

ハブクラゲは成長すると触手が増え毒性も強くなる

沖縄県衛生環境研究所によると、ハブクラゲは例年5月から10月にかけて発生し、個体が小さい場合は、触手が短く、4本しかない。
しかし、7月から9月にかけて成長すると、触手はおよそ24本に増え、体長も150センチ以上になり、毒性も強くなるという。

ハブクラゲに刺された女の子の手足には、触手の跡が広い範囲で残り、今も治療が続いている。

ハブクラゲに刺された女児の伯母
「あの子は(触手を)取り除いてもらえてもいませんし、冷やすことすらしてもらえていません。AEDは、あの子が寝かされていたすぐ横にあったのに、ないないって大騒ぎされて、(結局)遠くから持って来られた、という状況でした」

「被害が出た事の注意喚起はなかった」「海に入らない選択を奪われた」

事故を受けて調査した沖縄県によると、ビーチでは、毎日8時頃にネット内にハブクラゲが侵入していないか点検していて、近くに設置されている救護所にはハブクラゲの触手を取り除くための酢が備えられていた。

また、この日の午前中に、別の7歳の男の子がハブクラゲに刺されたため、いったんビーチを閉鎖し、再び点検が行われていた。

一方、女の子の伯母によると利用者に対し、ハブクラゲによる被害が出たことについての注意喚起はなく、刺された後もホテルのスタッフやライフセーバーに適切に対処してもらえなかったそうだ。

ハブクラゲに刺された女児の伯母
「クラゲが100パーセント入ってこないということはないと思います。ただ、数時間前に同じようにハブクラゲに刺されていて、注意も何一つしないでビーチを開放したということは、私たちは『入らない選択を奪われた』ということです」

事業者を対象に臨時の講習会

沖縄テレビはビーチの管理者に対し、安全管理マニュアルの有無や事故の対応について問い合わせたが、「弁護士を通しているため、個別のコメントは控える」と回答した。

この事故を受け、沖縄県はハブクラゲ注意報を2023年9月いっぱいまで延長することを発表した。

沖縄県内でビーチを管理する事業者を対象に、被害の防止策や刺された際の対処法を周知する臨時の講習会を開いた。

沖縄県衛生環境研究所 担当者
「特に未成年は体が小さくて、毒への影響を強く受けると考えられています」

1998年から2022年までに、沖縄県内で報告されたハブクラゲによる被害のうち、20歳未満がおよそ6割を占める。

呼吸が停止することもあるため、すぐに人工呼吸や心肺蘇生を行うことの重要性を説明した。

「今でも終わっていない」「教訓にしてほしい」

ハブクラゲに刺され、体と心に傷を負った女の子の伯母は、二度と同じ被害を出さないために、管理者側に対策を尽くすよう訴えている。

ハブクラゲに刺された女児の伯母
「(今後)どうされるかということのほうが大事です。事故に対して、どう対策をとったのかということは知りたいです。ホテル側はあの日、私たちが帰って終わりかもしれませんが、終わっていません。家族はずっと今でも終わっていないということを教訓にしてほしいです」

時に生死にも関わるハブクラゲの事故。

ビーチの管理者だけでなく、利用する私たちも、ハブクラゲに関する知識や対処法を改めて確認するなど、大切な命を守るため意識を改める必要がある。

刺されてしまったら 万が一のリスクへの備え

ハブクラゲの触手は、酢をかけて毒針の発射を抑えなければ、残った刺胞によって更に被害が拡大する。もし刺された場合は、穀物や果実を原料としたいわゆる食酢を使い、触手を取り除く必要がある。

沖縄県衛生環境研究所は、調味酢のような他の成分が混ざっている酢は、影響がまだわかっていないため、食酢の使用を推奨している。
(刺された箇所を)こすったり、ビールや炭酸水をかけることは、刺激となるため絶対にしてはいけない。

ハブクラゲによる死亡・呼吸停止事例は、14歳以下に限定されていて、体が小さく毒が回りやすいことに加えて、刺された痛みによるショックで呼吸が停止してしまうことが大きな要因とされている。

万が一、呼吸が停止した場合はすぐに人口呼吸や心肺蘇生を行わなければ死に至るリスクがある。心肺蘇生の方法を今一度確認しておくことも大切だ。

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