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くらしと経済編集部

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脱炭素時代の新ビジネス 「蓄電所」事業

後間
こんにちは。後間秋穂です。今回は脱炭素時代の新ビジネスとして注目される「蓄電所」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。よろしくお願いします。

宮里
よろしくお願いします。

脱炭素時代の新ビジネスとして注目される「蓄電所」

後間
発電所は電力を作る施設ですが、蓄電所は電力をためておく施設、ということですか?

宮里
「蓄電所」という言葉はまだ一般的ではないと思いますが、2022年5月の「電気事業法」の改正に伴って、「蓄電所」が発電事業の一部として位置付けられました。蓄電所はいわば巨大な蓄電池として電力を貯めておく施設です。
こちらのように、蓄電所は電力を需要に合わせて機動的に調整する目的で設置されます。電力に余裕がある時に貯めて、電力が不足する時には放電します。
蓄電所が新たな事業に位置づけられた背景には、太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる発電割合の拡大があります。ただ、太陽光や風力などによる発電は、天候や自然環境の影響で発電量が変動しますので、変動に対応する調整機能が必要となります。現在、その調整を火力発電所が担っていますが、今後、火力の電源構成率が小さくなることが予想されるため、新たな調整役として蓄電所への期待が高まっているのです。

蓄電所の運用イメージ

後間
今後、再生可能エネルギーが電力の柱として大きく拡大するなかで、蓄電所は不可欠な存在なんですね。では、具体的にはどのように活用されていくのでしょうか?

宮里
今後開設予定のプロジェクトをこちらでいくつかご紹介しましょう。
大阪府大阪市の電力会社とリース事業などを展開する東京の会社は、2022年7月に蓄電所事業に参入することを発表しました。
和歌山県紀の川市(きのかわし)の変電所内のおよそ8000平方メートルという広大な敷地に大型の蓄電池を設置し、およそ1万3000世帯分の電力供給を調整できる能力を備えます。2024年の事業開始を目指しているとのことです。
また、同じ大阪の電力会社では、2023年1月、電気自動車リースなどを行う東京の会社と共同で、リース事業で生じた使用済み蓄電池を蓄電所事業で活用することも発表しています。2025年をめどに、全国での事業化を目指すということです。
さらに、四国の電力会社では、2023年6月、四国初の蓄電所を、愛媛県松山市に開設すると発表しました。同社発電所に隣接するおよそ2000平方メートルの遊休地に96基の大型蓄電池を配置し、一般家庭140世帯、およそ1か月分に相当する電力を蓄電する施設になる予定で、2025年度の運転開始を目指しています。

蓄電所事業のプロジェクト

宮里
国も積極的に支援する中、今後も全国で数々のプロジェクトが誕生すると思われます。

後間
再生可能エネルギーの拡大とともに生まれた新ビジネスの今後に期待したいですね。

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