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くらしと経済編集部

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少子高齢化によって注目される共助―進化する公共交通システム

小林
こんにちは。小林美沙希です。
近年バスや電車などの公共交通手段に、少子高齢化に対応したシステムができているようです。
野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。宜しくお願いします。

宮里
よろしくおねがいします。

少子高齢化によって注目される共助―進化する公共交通システム

小林
少子高齢化の影響もあり、公共交通の利用者が減ってきているという話を耳にしたことがあるのですが、現在の地域の公共交通をめぐる環境はどのようになっているのでしょうか。

少子高齢化によって注目される共助―進化する公共交通システム

宮里
おっしゃる通りです。バスや鉄道といった公共交通の利用者数は、特に地方部において減少傾向にあります。一般路線バスは、平成19年度から28年度までの10年間に、全国でおよそ1万4千キロの路線が完全に廃止されています。バスや鉄道などの交通事業者は、不採算路線から撤退していきますが、それにより地域の公共交通ネットワークは大きな影響を受けます。国土交通省では、駅やバス停から一定の距離を超えた地域を「公共交通空白地域」と定義しており、人口の2割がその地域に住んでいるとのことです。

小林
過疎化の進む地域では、かなり難しい状況と言えますね。

宮里
はい。しかし、国や地方自治体はそうした状況を踏まえ、平成19年に「地域の公共交通の活性化及び再生に関する法律」が施行され、全国の自治体に独自の地域公共交通計画を策定することが求められました。

小林
実際にはどのような取り組みが行われているのでしょうか?

少子高齢化によって注目される共助―進化する公共交通システム

宮里
地域にある既存の路線に加え、近年では「デマンド型」の公共交通システムが登場し、各自治体が導入に向けて取り組んでいます。「デマンド型交通」とは、利用者の事前予約に応じて、その都度ルートやスケジュールを決めて運行する地域公共交通のことを指します。沖縄県南城市では、支線バスで対応ができない地域にてデマンド型のバスやタクシーを運行することで、市民の公共交通を支えています。福島県の郡山市でも、市内を運行していた路線バスの一部が廃止したことを受け、自宅と交通ハブまでを結ぶ乗合タクシーを運行しています。

小林
自治体それぞれが、地域の公共交通の活性化に取り組んでいるんですね。沖縄県では、南城市以外でもこのような取り組みがあるのでしょうか。

少子高齢化によって注目される共助―進化する公共交通システム

宮里
はい、浦添市でもデマンド型交通の実証実験に取り組んでいます。これは、市内で乗り降り場所を自由に指定できる「フルデマンド型」のコミュニティバスで、昨年11月から12台が運行しています。浦添市によると、この規模で都市部のフルデマンド型コミュニティバスの実証実験を行うのは、全国初とのことです。このコミュニティバスは、スマートフォンから予約サイトにアクセスすることで簡単に予約ができます。出発地も目的地も利用者が地図上で指定できるため、利便性も高いと言えます。

小林
出発地も目的地も自由に選択できるとなると、お年寄りや家族連れにも嬉しいですね。

宮里
そうですね。このようなデマンド型交通は、公共交通の空白地域の解消や、車を持たない高齢者の方の利便性の向上に大きく貢献できると言えます。少子高齢化により撤退が続く既存の交通路線と、デマンド型交通のような新しい交通システムを組み合わせることで、地域の自立した持続可能な公共交通システムの構築が期待できます。

小林
持続可能な公共交通システムが今後広がることに期待したいですね。
宮里さん、ありがとうございました。

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