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東恩納蒼沖縄が生んだミスターゼロ 世界に挑み掴んだ頂点【羽ばたけ!琉☆球児】(沖縄発 野球応援企画)
野球王国沖縄の新たなスターの原石に迫る!シリーズ企画!【羽ばたけ!琉☆球児】
甲子園に出場する学校は母校でなくてもテレビを囲んで応援。
球春到来を告げるプロ野球春季キャンプも毎年県内各地で大盛況。
そんな野球愛溢れるウチナーンチュのみなさん必見!
OKITIVEでは、沖縄県出身のアマチュア野球界の有望選手を紹介する【羽ばたけ!琉☆球児】をシリーズでお届けします。
東恩納蒼(沖縄尚学高校)
2005年7月24日生/沖縄県那覇市出身
仲井真ライオンズ-那覇ボーイズ-沖縄尚学高校
投手/172㎝・70㎏/右投左打
しなやかでクセがなくバランス良いフォームから繰り出すMAX147km/hの直球とスライダーに安定した制球力、そしてピンチを迎えるとギアを上げられるピッチングが強み。
沖縄尚学の背番号1が聖地甲子園のマウンドで躍動した。
左手を三塁側に突き出し体の開きを抑えたフォームは、2008年春、同校をセンバツ優勝に導いた東浜巨投手(現福岡ソフトバンクホークス)を彷彿とさせる。沖尚のユニホームに袖を通し1番を背負った2人のマウンドでの後ろ姿を重ねた野球ファンも多いことだろう。
東恩納蒼にとって、飛躍の夏となった。
高校野球3年間の集大成として並々ならぬ思いで臨んだ、夏の甲子園出場を懸けた沖縄県予選。県下ではまさに敵なし。スコアボードにゼロを並べ続け、圧巻のピッチングで聖地への切符を掴んだ。その勢いはとどまることを知らず、夏の甲子園では全国の強豪校も力強いピッチングでねじ伏せ、沖縄県予選から数えて47回1/3を連続無失点という記録を残した。相手打線を手玉に取り淡々と0点に抑えるその姿から「ミスター・ゼロ」という異名がつくようにもなった。
甲子園準々決勝で、のちに優勝を飾る慶応高校相手に敗れたものの慶應打線を5回までほぼ完璧な投球で抑えるなど世代屈指の好右腕として全国から注目を浴びた特別な夏。
飛躍はこれだけにとどまらなかった。名将・馬淵史郎監督率いるU-18侍JAPANに選出された東恩納は、日の丸を背負い世界の舞台でも躍動した。
「WBSC U-18ベースボールワールドカップ2023 」スーパーラウンド第2戦プエルトリコ戦に先発した東恩納は5回5奪三振で一人のランナーも許さず、コールドゲームでの参考記録ながら完全試合を達成。(10-0で5回コールドにより日本勝利)「ミスター・ゼロ」から「ミスター・パーフェクト」と称される快挙を成し遂げた。
U-18侍JAPANの快進撃は続き、決勝の台湾戦に2-1で勝利し悲願の大会初優勝・世界一の称号を手にした。世界を相手に3試合で先発登板、いずれも0に抑え先発投手の大会ベストナインも獲得した東恩納の貢献度は言うまでもない。
帰国後、東恩納はプロ志望届を提出。大学への進学が濃厚と目される中、飛躍の夏の終わりに多くの野球ファンを驚かせた。
沖縄から世界へ羽ばたいた好右腕はプロの世界へ挑戦する決意を固め、さらなるレベルアップを誓った。世界一を成し遂げ帰国したわずか数日後に凱旋インタビューの機会をいただき、東恩納の“現在地”と“未来予想図”について話を聞かせてもらった―――。
――今日は宜しくお願いします。高校3年間の野球生活を振り返っていかがですか?
東恩納
「入学当初はここまで良い高校野球生活を送れると想像していなかったんですけど、結果的にこれ以上ない高校野球生活を送れたんじゃないかと自分では感じています。メンバーも人それぞれ個性があって時には散らばることもあったんですけど、最終的にここまで結果を残せたっていうのはチームワークが良かったのかなと思います。」
――甲子園のマウンドを経験して実感したことは?
東恩納
「高校生活の中で一番に目指していたのは甲子園という中で実際、春夏経験できましたし、侍JAPANに選んでいただけたのも甲子園での結果があってこその選出だと思うので、本当に良い経験させてもらったなと思っています。」
――U-18侍JAPANに選出されたときの心境は?
東恩納
「どこまで通用するのだろうと考える部分と、甲子園が終わり次は日本一ではなくて世界一を高いレベルで目指したいなと思いました。結果としては自分の役割は果たせたのかなと思います。」
――全国各地から精鋭が集まるU-18侍JAPANメンバーから受けた刺激は?
東恩納
「自分の結果を残すために自分のやるべきことを練習の中でやっている意識の高さはとても勉強になりました。そのあたりのレベルの違いは感じました。誰とは限らず、JAPANのメンバー全般的に仲良くさせてもらって色んな刺激を受けることが出来ました。比嘉先生(沖縄尚学監督)の存在も大きく、国際試合だからといって何かを変えるわけでもなく『沖縄尚学でやってきたことを』という気持ちでプレーできたのでとてもやり易い環境でした。」
――大会初優勝、世界一となった今のお気持ちは?
東恩納
「今回の侍JAPANメンバーが馬淵さん(明徳義塾高校・U-18侍JAPAN監督)の野球に一番合っている、馬淵さんの野球は世界に通用したと証明することが出来て良かったと思っています。」
――「ミスター・ゼロ」「ミスター・パーフェクト」という異名について?
東恩納
「名前に関してはあまり関心は持っていないんですけど、自分が目標としている勝てるピッチャーの条件として、『無失点』という要素は大きいのでそれを体現できたのは良かったです。甲子園球場のマウンドを一度春のセンバツで経験できたことで、夏の大会では初めて出てくる相手に、自分たちの方が経験で勝っているという思いから違いを見せつけたいという気持ちでやれたのが良かったのかなと思っています。記録に対しての重圧はあまり感じていなかったので、(途絶えた時は)ほっとしたというよりも単純に悔しいという気持ちが勝っていました。自分のテーマに掲げているのは『無失点』なんですけど結果的にチームが勝てば良いと思っていたので、満足しています。」
――憧れの選手や目標にしている選手はいますか?
東恩納
「誰という憧れはないです。そこまでプロ野球をよく見るわけでも無くて、そういう憧れの気持ちよりも身近な人と切磋琢磨して野球に打ち込む方が自分には合っている。誰のプレーを参考にというのも特にないです。」
⚾東恩納蒼の俺を育てた “地元メシ”
東恩納
「自分の行きつけのお店っていうのはあまりなく、親が作ったご飯を基本的に食べています。特に好きなメニューも無くてあまり考えずに出てきたものを食べています。ある程度親も食の栄養面に気を付けて出してくれているのでそこは感謝しながら食べています。」
⚾野球で夢を叶えて“恩返し”
東恩納
「比嘉(公也)先生はじめ、これまで携わってくれたサポートしてくれた方々に感謝を伝えたいです。」
――最後に今後の意気込みを聞かせて下さい!
東恩納
「高校野球での経験はめったに味わえないと思うので糧にして、次のステージでも日本代表に選ばれるように、また最初から土台作りから始めないといけないと思うのでコツコツやりながら、怪我しないようにしつつ、また大きな舞台でプレーできるように頑張っていきたいと思っています。」
*取材後記*
どんな場面にも動じず自分のペースを崩さない芯の強さと先発投手らしい良い意味での“ふてぶてしさ”が魅力的な東恩納投手。経験に基づく確かな自信と度胸を武器にさらに上のステージでも飛躍する事でしょう。プロ球団からの指名を待つ東恩納投手の今後に注目!
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