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OKITIVE編集部

「先輩たちに負けじと困難を乗り越える」琉球芸能継承者、嘉数道彦さんインタビュー。

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琉球芸能継承者の嘉数道彦さん

芸術監督や舞踊家として、また台本制作・演出・振付まで務められている多才な嘉数道彦さん。現代の琉球芸能の担い手は、幼い頃から伝統芸能に触れて育ったといいます。そんな嘉数さんのこれまでとこれからについてお話を伺いました。

琉球舞踊に沖縄芝居、さらにお笑いまで

――4歳から琉球舞踊を始め、物心ついたころから沖縄芝居を見始めたと伺いました。当時のお話を教えてください。

「今でいう沖映通りに、当時、沖映本館という沖縄芝居の専用劇場がありまして。家が近いので、よくそこに連れて行ってもらっていました。映画館のような作りでですね、お菓子を買ってジュースを飲みながらおばあちゃんたちと一緒に見て、いちいち『いまはなにをいってんの?』『これはなんなの?』とずっと繰り返しながら見ていた思い出です。提灯がいっぱいあって、とっても華やかで楽しい空間でした。こども心に、お菓子やジュースを食べながら飲みながら見るっていう楽しさもありましたねぇ。

どれくらいのペースかはちょっと覚えていないんですけれども、あの時は結構な頻度で舞台がありました。今はなかなか公演自体が少ないですけれど、かなりの数はあったと思います。小学校になってからも月に1回くらいは見ていたんじゃないかな。その前はもっとあったんじゃないかと。」

――その後、お笑いにも挑戦されたと伺いました。期間としてはどのくらいだったんですか?

「そうですね、中学2年頃から高校3年まで。その後は時々、友達の披露宴だとか同窓会などで声がかかって、またちょっと一緒に二人であわせてやって。余興レベルなので楽しみながらやっています。」

嘉数道彦さんは、若い頃にお笑いの道も目指していた?!

何度も困難を乗り越えてきた琉球芸能

――現在、嘉数さんは国立劇場おきなわの芸術監督でもあります。コロナ禍でどの様な影響がありましたか?

「琉球芸能の中においても、わたしたち世代は環境に恵まれています。沖縄県立芸術大学もあり国立劇場おきなわもありと、学ぶところもあれば発表する場所もあるという、とても恵まれた環境の中で、コロナの影響を受けても舞台活動を継承しながらやってきました。想定外の想像しなかった非常事態を目の前にしたときに、私もかつてのお話としてしか聞いていませんが『琉球芸能はいろんな困難を乗り越えてやってきた』ということが頭にありました。

琉球王朝時代からいうと、廃藩置県で踊りを演じる宮廷がなくなったことも大きいですし、その中で客足がなかなか入らず支持されなかった時代の組踊もありつつ。沖縄戦でまた多くのものを失い、物もあまりない中で演じられてきました。それがお客さんにとっても活力になったというような話も聞いてきたんです。自分たちの時代はとても恵まれている時代で、『このまま進んでいくんだろう』としか思っていなかったのが、想定しない状況を迎えた時に改めて困難を乗り越えてきた先輩方・先人たちのすばらしさというのを考えさせられました。

また自分たちもそれに負けじと今を乗り越えなければいけないと。どうやって守っていくか、どうやって伝えていくかっていうのを、改めて今のわたしたちに与えられた直面している課題と向き合いながら、出来る限りのことをしながら、一歩一歩進んでいけたらなぁとコロナ禍と一緒に今も過ごしています。いまはだいぶ舞台活動も戻りつつありますし、沖縄県外での公演もだんだんスタートしてきています。この調子で落ち着いてもらえたらなぁと思います。」

芸術監督や舞踏家、台本制作など幅広く活躍されている嘉数道彦さん

次の世代に繋いでいく存在に

――これから琉球舞踊とどのように関わっていきたいですか?

「先ほども話しましたけれど、とてもありがたい環境の中でこれまで芸能を学んで携わってくることができました。わたしも40代になりました。子役から学生、若手とどんどん次から次へとこの道を目指していこうという後輩たちがいます。その後輩の皆さんとしっかりと手を取り合いながら、次の世代に繋いでいけるような存在になれたらなと思っています。」

――2022年は沖縄復帰50周年です。琉球芸能の観点でどの様なことを思われますか?

「わたしは復帰からかなりあとの生まれなので直接は知りませんけれども、琉球芸能自体がいろんな世代わりの中で育まれてきたものです。その時々の影響を受けながら、いろんな新しい作品であったり新しい展開をしてきたものでもあります。今後またどういう世の中になっていくのか見えないところもありますけれど、どんな時代になっても先人たちから受け継いできた精神的なものはしっかりと持ちつつ、対応していけるような柔軟な気持ちも持ちつつ。守るべきところは守り、攻めるところは攻めるような姿勢で、大切に次の世代に繋いでいくことが出来たらいいのかなと。

いつもいろんな舞台や挑戦する機会を与えていただいておりますので、いただいた舞台をひとつひとつ大切にしながら挑戦していきたいと思います。」

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