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美しい味の完全予約制チョコレート「ATELIER CHOCOLAT」(アトリエショコラ)(金武町)
金武町にあるATELIER CHOCOLAT(アトリエショコラ)。沖縄では知る人ぞ知る完全予約制のショコラティエだ。ショコラティエールの水本ちえさんによって生み出されるのは、旬の沖縄食材を使ったチョコレート。きらきらと輝く鮮やかなドーム型のボンボンショコラはまるで宝石のようで、ずっと眺めていたくなる。
2ヶ月ごとに5種類だけ作られるチョコレート
金武町の「KINサンライズビーチ」を見下ろす高台に建つ「ASBO STAY HOTEL」(アスボステイホテル)「ATELIER CHOCOLAT(アトリエショコラ)があるのはこの1階ロビーだ。
アトリエショコラで販売しているのは、旬の食材を小さな半円の中に封じ込めた美しすぎるショコラたち。ショコラティエールの水本さんの創造性がいかんなく発揮されたチョコレートたちには、主な素材を冠した名前がついている。
一例として、現在発売中のチョコレートについて見てみよう。
(※今回紹介するショコラは10月末までの期間限定だが、11月にはまた新しい味が発売される)
まるで瑪瑙(メノウ)のような縞模様が印象的なのは、伊江島のラム酒「IeRum Santa Maria」(イエラムサンタマリア)を使ったチョコレートだ。
伊江島は、沖縄本島北部・美ら海水族館の近くにある本部港から30分ほどの船旅で着く、小さな離島。サンタマリアの名前は、この島の名物でもある純白の百合の群生によるものだ。
手刈りで収穫されたサトウキビを使い、初めて蒸留されたのは2011年である。オーク樽で丁寧に熟成した、ゴールドラムのふくよかな香りを、チョコレートの中のなめらかなガナッシュ(生クリームとチョコレートを溶かし合わせたもの)に。アルコール分は入っておらず、あくまで風味だけなので「お酒が苦手」という方も美味しく食べられる。
赤紫の光沢が美しいこちらは、古宇利島(こうりじま)産の紅芋をガナッシュに仕立て、金ゴマとアーモンドのペーストを含むジャンドゥーヤと2層にして、ビターチョコレートで包み込んだチョコレートだ。
古宇利島は、沖縄本島の今帰仁村にあり、橋を渡れば車で行ける離島。ハートロックなど、自然が作り出す離島ならではの絶景と長閑さが味わえる島として観光人気が高い。
こちらは、名護市・勝山産の甘く熟した完熟シークヮーサーをジュレにして詰め込んだ一品。名護勝山では、古くから自生するシークヮーサーを畑人(ハルサー)たちが大事に育ててきた。完熟したシークヮーサーは、黄色~オレンジ色にまばゆく輝き「クガニ(黄金)」とも呼ばれる貴重なものだ。
シークヮーサーのチョコレートは、毎回のシリーズ内でも人気が高い。ヒラミレモンとも呼ばれるシークヮーサーは、緑のままの青切の酸味の強さがなじみ深いが、熟したシークヮーサーは甘みが勝り、ミカンのようにそのまま食べられる。沖縄の海でも出会える色鮮やかなウミウシのようなカラーリングは、シークヮーサーの果汁が溢れる感じをイメージしたものだそう。
金武町で作られている「琉球紅茶」は、2022年にベルギーでの国際味覚賞2つ星を受賞するなど、世界も認めた高品質の茶葉。実は、沖縄は世界的な紅茶産地であるインド・アッサム地方とほぼ同緯度で、ミネラルが豊富な赤土や、海からの風、さらに紫外線の強い太陽の光は紅茶に不可欠なタンニンを生成するのに最適な環境なのである。
このチョコレートは、琉球紅茶に沖縄産秋ウコンなどの香辛料をブレンドしたチャイに、生クリームを加えてガナッシュを仕上げた一品。紅茶とチョコレートが溶け合ってまろやかな風味になっている。どことなく木星を思わせる模様も魅力だ。
沖縄本島北部にある東村(ひがしそん)は、パイナップルの栽培が盛んな地域だ。そこで20年以上の歳月をかけ新品種としてうまれたのが「ゴールドバレル」。パイナップルの刺激的な酸味が少なく、まろやかな口当たりで甘みが強い。とても稀少で市場に出回ることは少なく、最高級のものは1玉で1万円ほどもする。
このチョコレートはゴールドバレルパインをジュレにして、ホワイトチョコレートと合わせた一品。先ほどのシークヮーサーもそうだが、品質の高い果実のジュレとホワイトチョコレートのブレンド具合が絶妙で、新しい味覚を開かれる思いがするチョコレートだ。
ちなみに、美味しく食べるためには適温がある。フルーツと紅芋は冷蔵庫から出してすぐ。ラムと紅茶は15分ほど待つと、ガナッシュがなめらかになってより美味しく食べられると。私はこれらのチョコの美しさのあまり写真を撮りまくっていたら「早く食べた方が良い」とたしなめられてしまった……これを読んでいる皆さんは気を付けてほしい。
芸術点満点のチョコレートはどうやって生まれたか
ショコラティエールの水本さんに、表面の美しい色彩をどうやって創り出しているのかを聞いた。実は、たこ焼き器のような半円の型に、色付けしたカカオバターで絵付けし、ジュレやガナッシュを封じ込めてチョコレートで蓋をしているのだという。
口に入れるとパリッとした表面のカカオバターが口のなかでとろけ、ガナッシュとジュレと混ざり合う。チョコレートのまろやかさと、甘酸っぱいジュレにガナッシュ。ドラえもんの百年後のおかしはこんな味に違いない。
ホテルの2階にあるAlo Edesse(アローエデッセ)では、コースの最後のデセールにてATELIER CHOCOLATのチョコでレートが供される。料理との調和もぜひ味わってみてほしい。
販売は5個セット、店頭での支払い・受け渡しで
現時点では、このチョコレートは5個セットのみの販売であり、バラ売りはしていない。
2ヶ月ごとに変わる味わいを手に入れるためには、予約の後に現地での支払いが必要だ。手に入れるためには一度は店舗に行かなければならない。
手に入れるまでのハードルの高さもまた、このチョコレートの特別感を与えてくれる。
「お給料には、このチョコレートを必ず買います!」と自分へのご褒美にしている人もいるくらいだ。
高級紙のボックスに入った、ひとつひとつ丁寧に手作りされたチョコレート。そのままギフトとしても喜ばれる。11月からの新しいシリーズでは、どんな新しい味わいに出会えるだろうか。
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