公開日
長嶺 真輝

長嶺 真輝

琉球アスティーダ、20試合中11試合を終えて暫定首位 好成績も“ダブルス”に課題あり

琉球アスティーダ
岡山リベッツ戦の第4マッチシングルスに登場した琉球アスティーダの吉村真晴=10月22日、那覇市民体育館(長嶺真輝撮影)

卓球Tリーグの琉球アスティーダ10月21、22の両日、今シーズン初となる沖縄でのホーム戦を那覇市民体育館で行った。絶対的エースである世界ランキング7位の張本智和が国際大会に参戦中で不在の中、初日は吉村真晴らの活躍で金沢ポートに3ー1で快勝、2日目は岡山リベッツに0ー4で完敗を喫した。11月5日にはアウェーで再び金沢と対戦し、ビクトリーマッチまでもつれ込む接戦を3ー2で制した。

現時点でアスティーダは2023-24シーズンの全20試合中11戦を消化し、成績は8勝3敗の勝ち点26。暫定で首位に立っている。10月22日のホーム戦後、張一博監督は現在の成績について「上出来」と言及。連覇という難しい挑戦を続ける中、大きく勝ち越しているチームを高く評価した。

一方で、チームには明確な課題が一つある。Tリーグの団体戦で初めに行うダブルスである。8勝3敗というチーム成績とは真逆に、これまでの11試合でのダブルスの成績は3勝8敗。ダブルスで先勝するとチームに勢いを与えることができるため、今後アスティーダが再び首位を奪還するために大きなポイントになりそうだ。

吉村「琉球の名前背負って戦う」

琉球アスティーダ
ベンチからチームメートを鼓舞するアスティーダの選手たち

那覇市民体育館でのホーム戦を振り返ると、21日の金沢戦は有延大夢・濵田一輝ペアで臨んだ第1マッチダブルスは1ー2で敗れ、黒星スタート。それでもジョ・シンコウ、シュウ・ユウの中国人選手が第2マッチシングルス、第3マッチシングルスを立て続けに勝利し、白星を先行させた。

第4マッチシングルスには、張本と並んでアスティーダを牽引する存在の吉村が出場した。相手は9月にあったアジア選手権で世界ランキング2位の王楚欽(中国)を撃破し、パリ五輪の日本代表選考レースで上位に付ける田中佑汰。第1ゲームは吉村のミスが目立って先取されたが、すぐに修正する。

第2ゲーム以降はサーブで崩し、厳しいコースを突きながら相手の得意なショットも封じて連取。そのまま3ー1で勝ち切り、沖縄でのホーム開幕戦白星を呼び込んだ。

金沢には8月にあったアウェー戦で敗れていたため、試合終了後にコート上でマイクの前に立った吉村は「久しぶりにTリーグの試合で沖縄に戻り、前回負けていた金沢にこの地でリベンジできたことをうれしく思います」と語り、白い歯を見せた。

試合中は駆け付けた多くのファンが応援で声を枯らした。「琉球の名前を背負って戦っていく中で島の皆さんの力はとても大きいです。負ける時もありますが、皆さんが支えてくれていることを忘れず、これからも全力で戦っていきます」。気合いのこもった表情で、そう続けた。

ダブルスに「危機感」今後のペアリングに注目

琉球アスティーダ
試合後の記者会見に臨む有延大夢キャプテン

ホーム戦の初日は地元沖縄のファンにとってうれしい勝利となったが、2日目は元アスティーダ所属の丹羽孝希や国際大会でも実績のあるヤン・アン(中国)らハイレベルな選手が揃う岡山に完敗を喫した。この試合でも第1マッチダブルスで有延・濵田ペアが1ー2で敗れ、難しい試合展開となった。ダブルスは第1ゲームを落とした後に第2ゲームを奪い返したものの、最終第3ゲームで粘り切れずに敗れた。

試合後、キャプテンを務める有延はこう振り返った。

「ゲームカウント1ー1まではしっかり試合を運べましたが、最後にどういう戦術でいくのかというところで詰めの甘さが出ました。打つコースが相手に読まれてしまい、そこを修正すべきだったとすごく反省しています」

この2試合については有延・濵田ペアだったが、アスティーダは試合ごとにその時にベターな組み合わせでダブルスを戦っている。ただ最もいいペアを確定させ、ほぼ固定して戦っているチームも出てきており、有延はそれを念頭に「ダブルスを取って勢いに乗りたいというのはどのチームも同じ考え。他のチームもいいペアリングがどんどん見つかってる中、僕たちもいいダブルスを作っていかないといけないという危機感はあります」と語った。

金沢に競り勝った11月5日のアウェー戦では、濵田・ジョのペアが第1マッチダブルスを2ー1で勝利したアスティーダ。その後の第2マッチシングルスは吉村、第3マッチシングルスはジョが2ー3のフルセットで敗れる予想外の展開となったが、今シーズン初めてシングルスに出場した有延が第4マッチシングルスとビクトリーマッチを勝ち切り、連敗を防いだ。この白星一つを見ても、いかに初戦のダブルスを取ることが重要かが分かる。

今後もチームとしてどのような組み合わせでダブルスを戦っていくのかは、注目すべきポイントの一つになるだろう。

アスティーダは今月11日と12月9日にアウェー戦を行い、次の沖縄でのホーム戦は12月23、24の両日に沖縄アリーナで行う2試合となる。それまでに少しでも課題をクリアし、より強いアスティーダを地元沖縄のファンにお披露目したいところだ。

あわせて読みたい記事

HY 366日が月9ドラマに…

あなたへおすすめ!