沖縄経済
軽くて、曲げることもできる次世代型太陽電池
後間
こんにちは。後間秋穂です。
今回は「次世代型太陽電池」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。
よろしくお願いします。
宮里
よろしくお願いします。
後間
次世代型の電池とは、一体どのような電池なのでしょうか?
宮里
はい。
国が掲げる「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」に向けて再生可能エネルギーの本格的な普及が急がれる中、主力である太陽光発電も、一層導入を促進する必要があります。
ただ、太陽光発電に適した新たな土地が見つけにくくなっており、導入量は年々減少しています。
そうした課題の解決も含めて、今期待を集めているのが次世代型の太陽電池です。
太陽電池の中でも今注目されているのは「ペロブスカイト太陽電池」という種類です。
ペロブスカイトは鉱物の名前で、日本の学者がその結晶を太陽電池に
応用しました。
つまり、日本生まれの新たなテクノロジーということです。
後間
ペロブスカイト太陽電池はどのような点で注目されているのでしょうか?
宮里
はい。
こちらの通り、既存の太陽電池とは異なる3つの特徴があります。
まず一つ目は、軽くて、薄く、柔らかい太陽電池が作れることです。
現在、主流となっている太陽電池の場合、薄くすると光エネルギーの吸収効率が下がるため、
ある程度の厚みと重量が必要です。
一方、ペロブスカイトは光の吸収効率が高いため、フィルム上にペロブスカイトを薄く塗ることで太陽光を電気に変換できます。
そのため、厚さは現在主流のタイプの100分の1程度で重量も10分の1程度に抑えられます。
また、薄いので曲げることができるのも大きな特徴です。
こうした特徴から、建物の壁面や曲面、自動車の車体など、従来太陽光発電の設置が難しかった場所にも設置することができます。
2つ目は、安価かつ環境にやさしい製造過程です。
現在主流の太陽電池に比べて、低コスト、かつ環境に負荷をかけずに
製造することができます。
ペロブスカイト太陽電池は、表面に回路を印刷するなどの単純な方法で製造ができるため、材料が20分の1ほどの量で済み、製造コストは5分の1から3分の1程度に抑えられるため、製造時の温室効果ガスの
排出量を抑えることができます。
3つ目は、原材料の「ヨウ素」が日本国内で調達・生産できることです。
日本のヨウ素生産量は世界第2位で、原材料を安定価格で、供給リスクを抑えて確保することができます。
後間
多くの面で有望な技術ですが、開発はどれくらい進んでいるのでしょうか?
宮里
はい。
ある大手化学品メーカーとエネルギー関連企業では、2023年3月から、ペロブスカイト太陽電池を神奈川県横須賀市の火力発電所に設置する実証実験を始めました。
国内初の実証実験となり、小規模な導入と検証を経て、2025年以降、同所への大規模設置を目指しています。
後間
太陽光発電の拡大に貢献する重要な技術の今後に注目ですね。
今回は「次世代型太陽電池」について宮里さんに伺いました。
ありがとうございました。
あわせて読みたい記事