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くらしと経済編集部

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脱炭素化の切り札。二酸化炭素 直接回収の技術

小林
こんにちは。小林美沙希です。
地球温暖化を防ぐ為、世界中で二酸化炭素などの温室効果ガスを削減する取り組みが進められています。
きょうは、脱炭素化の切り札として注目を集める最新技術について野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに詳しく伺います。宜しくお願いします。

宮里
よろしくおねがいします。

小林
これまでも番組でご紹介してきましたが
温室効果ガスの削減、脱炭素化への
取り組みは、「待ったなし」の課題ですね。

宮里
そうですね。
今年8月に公表された国連の「気候変動に関する政府間パネル」の報告書では、『地球温暖化が危険な段階に近づいていて、人類に責任があることは「疑う余地がない」』と表明されました。
まさに「待ったなし」の状況ですが、一方で、報告書では、2030年までに温室効果ガス排出量を半減できれば、気温上昇を食い止め、あるいは反転できるかもしれない、という期待も示されています。

小林
こうした温室効果ガスの削減に向けては、どのような研究が進められているのでしょうか?

宮里
はい。
こちらはその一例で(カーボン・ダイオキサイド・キャプチャー・アンド・ストレージ)」の略で、「CCS(シー・シー・エス)」と呼ばれる・二酸化炭素を、Capture and Storage、つまり回収して・貯留する技術です。
発電所や化学工場などから排出された二酸化炭素を、分離・回収し地中深くの岩石の隙間や泥岩層などに封じ込め、温室効果を抑制していこうというもので、北海道で実証実験が続けられています。

小林
地中深くに封じ込めるという以外にどんな技術の研究がありますか?

宮里
はい。
地球温暖化の主な原因が二酸化炭素なのであれば、大気中から直接取り除いてしまおうという「直接空気回収技術」があります。
空気を直接回収するという意味で、(ダイレクト・エア・キャプチャー)」の頭文字から「DAC(ダック)」と呼ばれることもあります。

小林
どうやって空気の中から、二酸化炭素だけを回収していくのでしょうか?

宮里
一般的には、ファンをいくつも並べた設備で大気を取り込んだあと、化学的なプロセスによって、二酸化炭素だけを大気から分離して回収していきます。
その方法は、主に三種類で、二酸化炭素と結びつきやすい化学物質の吸着剤を用いて分離した後、二酸化炭素を回収する「化学吸収・吸着法」などがあります。
図のように分離・回収された二酸化炭素は地中に埋められる、もしくは製造プロセスなどで活用される、といった流れになります。

小林
なるほど。
こうした技術はすでに実用化されているのでしょうか?

宮里
海外では、すでに商用化に成功している例もありますが、日本では、これからの進展が期待される技術といえます。
ご覧いただいているように大学や企業で二酸化炭素の分離・回収の三つの方法、それぞれに関する研究開発が日夜進められている状況です。

小林
無尽蔵の資源ともいえる大気中の二酸化炭素を有効に活用する「直接空気回収技術」の、今後の動向に注目したいですね。

宮里さん、ありがとうございました。

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