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最高の「おもてなし」を追求する。国際通りの沖縄料理店『くにんだ』五感以上の体感を探求する新しい道(那覇市 )
沖縄本島の看板口とも言える国際通りに2023年12月12日にグランドオープンをする沖縄料理店『くにんだ』。
現在はランチのみの営業となっており、「うとぅいむち御膳(3,500円税込み)」という沖縄料理をベースとした御膳のみを提供している。
『くにんだ』の名前の由来については、オーナーの照屋さん曰く、「周りの仲間たちと共に、沖縄県民が誇りに思える場所を提供していきたい」という深い気持ちがあるという。
『くにんだ』は一言で沖縄料理店といっても一般的な沖縄料理とは少し風合いが違い、こだわり抜いて仕立てた一品一品の料理をひとつの膳にまとめ、すこし高級な沖縄料理店というと伝わりやすいかもしれないが、琉球宮廷料理のような沖縄古来から食される料理ともひと味違い、オーナー曰く、フランス料理、イタリア料理、日本料理などに肩を並べれるニューロードをコンセプトに掲げる琉球料理(現代版の沖縄料理)の確立という独自の路線を目指す沖縄料理店となる。
そんな『くにんだ』は料理だけではなく店舗の外観や内観もこだわり抜き、想いとテーマをもったお店づくりを目指している。
目次
上品さが漂う概観の『くにんだ』は国際通り入り口からすぐ
国際通りを歩いていて沖縄料理店と認識する方はすくないであろう概観をしている。
正面はガラス張りになっており、アッシュなカラーリングのシックな店内が外からも覗ける。
お祭りや祭事で使われそうな演技の良さそうな飾りが入り口に飾られている。
2つのモダンな店内は特別な空間に感じる
『くにんだ』のカウンター席
黒いマットな壁、ブロックが積まれた無垢なコンクリ壁と無機質な店内にはアッシュカラーの大きなコの字型テーブルカウンター席となっていて、1席づつにセットされているオシャレなスポットライトが店内のモダンな雰囲気を引き上げる。
『くにんだ』の個室
カウンター席とは雰囲気は一転し温かみのある個室は無垢の天然木の6人掛け席が2部屋ある。このベージュの壁は漆喰に月桃を練り込んで仕上げたもので、個室はほんのりと月桃の香りがしてとても落ち着く。
オーナー曰くこの個室で色々な新しい発想などが生まれることも期待して作った空間という。たしかにこの和モダンな雰囲気は柔軟な発想を生み出してくれそうな空間になっている。
『くにんだ』の料理は「うとぅいむち御膳」一品のみ
「うとぅいむち」とは沖縄の方言で「おもてなし」という意味となり、古来は外国の方をもてなす宮廷料理を意味する。
『くにんだ』は、この「うとぅいむち御膳」一品に古きから伝承される琉球王朝時代の宮廷料理から現代の沖縄家庭料理までを踏まえ、作り手の技と真心によって生まれた文化を継承しつつ、次世代の感性を掛け合わせてお迎えする。現代版の「うどぅいむち」を体現させてくれる。
どの料理も器にこだわりがありが所せましと並べられ御膳は見るだけでも「おもてなし」を感じてしまう。
料理責任者の「小長さん」と琉球料理伝承人の「下地さん」は、料理へのこだわりはというと、素材のほとんどは沖縄県産の食材を使用する。
そして、丁寧に手間暇かけて仕込みをし、素材の味を引き出せるように自然の旨味を活かす。余計な油も使わず豚の部位からでる脂や天然の出汁で調理しています。と話す。
『くにんだ』では料理の配膳にもこだわりがあり、琉球舞踊の「かぎやで風(カジャディフウ)※」を意識し「うとぅいむち御膳」を提供する。
※かぎやで風(カジャディフウ)」は、琉球舞踊の基本的な形や技法(扇舞)が集約されている沖縄本島で祝宴の座開きとして踊られる祝儀舞踊となり、人生の喜びや祝福を寿ぎながら演じられます。
「うとぅいむち御膳」お品書き(メニュー)
このようなお品書きメニューで一席づつに「うとぅいむち御膳」のお品書きがセッティングされている。こちらも「おもてなし」のひとつであろう。一品一品丁寧に料理の説明と、アレルゲンの注意書きなどが記載されてい
やさしく、丁寧で、うま味を感じる『くにんだ』の料理
琉球もろみ酢
まずは、ウェルカムドリンクとして提供される「琉球もろみ酢」は、泡盛の製造過程で採れるもろみ粕を搾って作られる。
よく冷えていて程よい酸味でクセがなく微発泡の「琉球もろみ酢」は食欲促進によいとのこで、食前にちょうどよく喉を潤してくれる。
ジーマーミ豆腐
伊江島産の落花生をお店ですりつぶしていちから作っている「ジーマーミ豆腐」だ、トロっと濃厚で抜群の食感に仕上がっている。
食べたあとに落花生の風味が鼻から抜けていくのを感じられる。
もずく酢
沖縄県産の太もずくにクコの実が彩られている。
味付けは酸味が弱く、旨味が強いので食べやすく。新鮮で粘りの強い歯ごたえのよい「もずく酢」に仕上がっている。
ビラガラマチ
ビラガラマチとは沖縄では旧正月や清明祭、トゥシビー(生年祝い)に食べる伝統的な琉球料理でかまぼこにネギを巻いて酢味噌で食べる料理となる。沖縄の方言で、ビラは「ネギ」ガラマチは「から巻く」という意味となり、カステラかまぼこ(※)にネギと酢味噌という組み合わせがシャキっとした食感とかまぼこ弾力、酢味噌が風味がバランスよく調和し食がすすむ一品だ。
※カステラかまぼこは、沖縄の郷土料理で、魚のすり身に溶き卵を加えて箱状の容器に入れて蒸したもの。
田芋の唐揚げ
子孫繁栄をもたらす縁起物として、沖縄のお正月や盆などの行事料理には欠かせない食材となる田芋(ターンム)をカリカリの唐揚げに仕上げてある。
味は甘辛な濃い口となっていて「田芋の唐揚げ」の中は田芋(ターンム)独特の食感で少し粘り気があり、しっとりした仕上がりで味も食感も楽しめる一品となる。
ラフテー
琉球料理の代表的な一品「ラフテー」はご存知の方も多いであろう。『くにんだ』の「ラフテー」味噌をベースに醤油と泡盛で煮込んだものとなっている、しっかりと味が肉に染み込み深みとコクがある。
箸で切れるほど豚の三枚肉はふっくらと柔らかく仕上がっていて、豚肉の脂も臭みがまったくなく頬張ると甘みと旨味が口の中に広がる。
クーブイリチー
よぶんな脂を感じず、昆布と豚をはじめ素材の旨味をしっかりと感じる。
本来はハレの日(年中行事やお祭りなどの特別な日)に食されていた昆布の炒め煮となるクーブイリチー。『くにんだ』のクーブイリチーは丁寧に細切りにされた昆布とこんにゃく、椎茸を豚肉を豚の長時間かけてとった背骨からの出汁と厳選した鰹出汁で調理するという、手間ひまがかかった一品だ。
細切りの赤カマボコが彩られ、見た目も食感も演出している。全体の旨味がやさしくもあり味の奥ゆきも頬張るごとに広がっていく。
島野菜の浅漬け
今回の「島野菜の浅漬け」ゴーヤーと大根の酢漬けとなり、パリパリとした食感に苦味が立つゴーヤーと細切りの大根が甘酢で浅漬けになり酸味と甘味のバランスが箸休めにはちょうどいい。
マクブの刺し身
沖縄県では「沖縄三大高級魚」ともいわれる「マクブ(シロクラベラ)」の刺し身は歯ごたえがあり旨味が凝縮されている。
「マクブ」の身を粟国島の塩で締めて余分な水分を抜いた刺し身を、沖縄県の伝統的な農作物「ハンダマ(水前寺菜)」を細く刻んだものと一緒に粟国島の粗塩と一緒に食すと、素材の味、風味、食感が見事に調和する。調理を担当する2人は粟国島の塩を料理に使っているのは塩味と旨味のバランスが一番良いという。
ジューシー
沖縄ではメジャーかつ人気のある郷土料理「ジューシー」こちらも行事には欠かせない料理だ。『くにんだ』のジューシーはにんじん、しいたけ、かまぼこ、豚肉、ひじきなどの具材が細かく均等に刻まれ豚肉のゆで汁と昆布出汁で炊き込み、炊きあがった後に豚の背脂と絡めてい艶をだしているという、そうすることで米の粒が立ち、豚の甘味を感じる仕上がりとなっている。
地元で「ジューシー」を食べ慣れている方は少しあっさりめに感じるかもしれないが、御膳の料理とマッチする一品だ。
イナムドゥチ
「イナムドゥチ」お椀は沖縄の伝統工芸品である「琉球漆器」に盛られている。松と梅の絵柄が御膳を華やかに演出している。
イナムルチとも呼ばれる沖縄の汁物で『くにんだ』では「イナムドゥチ」と表記されている。「イナ」は猪、「ムドゥチ」はもどきの意味となり、郷土料理の「イナムドゥチ」は「イノシシもどき」という意味で昔は猪肉を使った汁物だった。
『くにんだ』の「イナムドゥチ」はコクのある白味噌をベースとし、椎茸、こんにゃく、豚肉、カステラかまぼこ、そして、豚肉は沖縄県産の肩ロース、三枚肉が丁寧に均等にきられて調理されている具沢山の「イナムドゥチ」だ。素材の旨味、甘味が白味噌と合わさり深い味わいと、風味がやさしく体に染みわたる食べ応えのある汁物だ。
甘味
「うとぅいむち御膳」の最後には甘味と温かいお茶が提供される。
甘味は真っ赤な漆器に装われた「ぜんざい」で、小豆を沖縄の黒糖と塩で煮て素材の甘味が引き立った温かい「ぜんざい」となる。
御膳の締めとして食事の余韻をまったく邪魔しないやさしい仕上がりになっている。
そして、ジャスミンの花の香りが豊潤に香る温かいお茶はスッキリとした苦味で食事の最後を整えてくれる。
沖縄の焼き物「やちむん」で「魚紋」と呼ばれる沖縄の伝統的な絵柄があしらわれたマグカップに注がれ、目でも沖縄を感じさせてくれる。
絵柄の「魚紋」は富と幸福を表し、子孫繁栄をもたらすとも言われており「うどぅいむち御膳」の余韻を感じながら器も楽しめるひとときとなった。
『くにんだ』オーナーの想いは「新しい道」
『くにんだ』オーナーの照屋さんに話を聞くことができた。
国際通りでお店を開いたのは、観光立県として沖縄の看板口であるからです。
もともとは沖縄県出身で現在は東京に住んでいるのですが、国際通りは若いお客さんが多いストリートのイメージが強く、40代になり僕は国際通りで食事をするというイメージがなかな湧かなくて、自分も含め僕の周りのメンバーでも本当に美味しい沖縄料理を胸を張って提供したくて『くにんだ』を始めました。
30代の下積み時代を経て、40代になりこれからの沖縄を作っていく。という方々に足を運んで頂きたいという想いが強くあります。そのためには、胸を張って提供できる沖縄料理を作っていきたい。古きと現代を掛け合わせた沖縄料理、琉球宮廷料理でもなく一般的な沖縄料理でもない料理を追い求め常に進化していきたいと思ってます。
現代と伝統を掛け合わせて今の我々が思う最高の「おもてなし」はどこかと探って形にする。ということを1つテーマにしてます。
現在はプレオープン中で昼のみの営業ですが、スタッフがしっかりと育ってきたら、お酒やアラカルトも考えていきますが、まずは「うとぅいむち御膳」の一品一品を丁寧に提供しお客様に満足して頂くことで「最高のおもてなし」を感じてもらえるようにお店もスタッフも料理も成長できればと思ってます。
大変おこがましいのですが「ニューロードオブ沖縄プロジェクト」と題して、コンセプトブックなども作っています。沖縄の食事の道を作る。
琉球宮廷料理もそうですが、当時と食材も変わったり文化も考え方もや思考。とくに健康志向が取り入れられたり。お客様の好みも変わってきたりする中で進化していってもいい部分もいっぱいあると思います。
今後のそういう食の道。食事と繋がれる部分。というのを考えられるこの場所に『くにんだ』なりたいなと思ってます。
そして、料理だけではなく空間もそのひとつだと捉えていて、『くにんだ』では色々な複雑な要素を広げずに料理、接客など我々が提供できる「おもてなし」の価値を引き出すためにあえて、従来の沖縄料理店の雰囲気はださずニューロードという意味も込めてシンプルでモダンな空間にしています。
『くにんだ』という名前は「久米三十六姓(くめさんじゅうろくせい)」の琉球王国時代の久米村(クニンダ)から取らせて頂いてます。久米村は中国皇帝から福建の三十六姓の集団が琉球に遣わされ、中山王府の保護下で定住したことに始まりで、中国から「久米三十六姓」をした場所です。久米村は当時の琉球を作るための祭り事をしてたっていう場所でもあります。
諸先輩方から文句を言われる可能性っていうのも覚悟しながらですが、僕は「ニューロードオブ沖縄プロジェクト」として久米村のような場所になりたいなっていう願いを込めて『くにんだ』というお店の名前をつけました。
Information
- 『くにんだ 那覇』沖縄料理
- 住所
- 那覇市松尾1−2−7 真喜屋ビル1F
- 電話番号
- 070-1266-5821
- 営業時間
- 11:00〜15:00 Lo 14:30
- 定休日
- 水曜日・日曜日
- クレジットカード
- 可
- 電子マネー
- 可
- URL・SNS
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