公開日
長嶺 真輝

長嶺 真輝

20歳の“現役大学生”濵田一輝が琉球アスティーダを救う存在に「ガッツで勢いを持ってくるのが役割」

“現役大学生”濵田一輝が琉球アスティーダを救う存在
得意のフォアハンドで強烈なボールを放つ濵田一輝=24日、沖縄アリーナ(長嶺真輝撮影)

卓球Tリーグの琉球アスティーダがレギュラーシーズンの最終盤に入った現段階で、11勝4敗(勝ち点4ポイント勝ち1試合、延長負け1試合)で暫定首位を走っている。

ただ、24日に沖縄アリーナで行った金沢ポートとの「クリスマスゲーム」を落とし、試合数が1試合少ない木下マイスター東京と勝ち点35で並んでいるため、首位争いにおいては実質的に分が悪い。2024年1月にあるアウェー戦は主力である張本智和と吉村真晴が別大会と日程が重なり不在となる見込みのため、正念場を迎えている。

そんな中、チームで存在感を高めてきているのが早稲田大学2年の濵田一輝だ。23、24の両日にあったホーム戦ではダブルス1勝、シングルス1勝1敗と好成績を残した。気鋭の20歳は「ガッツを出して、チームに勢いを持ってくるのが自分の役割だと思っています」と気合十分。今後、2連覇に向けて厳しい戦いが予想されるアスティーダにとって、救世主のような存在になるかもしれない。

2日間で2勝1敗 シングルスでは“元中国代表”に善戦

“現役大学生”濵田一輝が琉球アスティーダを救う存在
24日の「クリスマスゲーム」で仮装をして入場した琉球アスティーダのメンバー

23日のT.T彩たま戦では、2ー1で勝利にリーチがかかった第4マッチシングルスに登場した濵田。相手は元アスティーダで、全日本選手権男子シングルスで優勝経験のある宇田幸矢だったが、長短のサーブを織り交ぜて流れを掴み、第1、第2ゲームとも11ー4で圧倒した。第3ゲームこそ奪われたが、第4ゲームも11ー10で接戦を制し、自身のキャリアで初めて宇田から白星を奪った。

24日の金沢ポート戦では吉村真晴と組み、第1マッチダブルスで早速登場した。吉村とのペアは初めてだったが、「僕が台に近いところでプレーし、真晴さんに後ろから鋭いボールを何度も打ってもらって、すごくいいコンビネーションが出せました」と終始流れを渡さず、ゲームカウント2ー0で快勝した。

ダブルスはアスティーダにとって最大の課題となっており、15試合目にして5勝目となった。

“現役大学生”濵田一輝が琉球アスティーダを救う存在
ダブルスで勝利し、吉村真晴(右)と称え合う濵田一輝

第2マッチシングルスでは張本が2ー3で競り負け、今シーズン初めてビクトリーマッチ以外で黒星を喫した。同級生の悔しい敗北を目にして「彼はいつもチームが苦しい時に勝利に貢献してくれるから、僕がカバーしたかった」と闘志に火を着けた濵田。続く第3マッチシングルスで、元中国代表で格上のチェン・ジンチーとぶつかった。

「相手のサーブが強烈で回転が分かりづらく、対処するのに時間がかかった」と第1ゲームこそ落としたが、得意のフォアハンドやブロックで流れを掴み、第2ゲームを11ー10、第3ゲームを11ー8で奪い、逆転した。ただ、その後のゲームでは勝利目前のマッチポイントまではいったものの、詰めが甘くゲームカウント2ー3で敗れた。

濵田は「最後の1点を取る時に少し焦ってしまった」と悔しそうに振り返ったが、「自分の得意なショットはフォアハンドなので、レシーブした後にフォアハンドに繋げられる展開がもう少しあれば、競った場面でも思い切ってプレーできるんじゃないかと感じました。勝負所でミドルにきたボールをバックで処理してしまい、ミスしてしまうこともあった。あのあたりをフォアハンドで攻められるようになれば、厳しい試合をもっとものにできると感じました」と収穫も多かったようだ。 

張監督と五輪銀メダリスト・吉村が“ベタ褒め”

“現役大学生”濵田一輝が琉球アスティーダを救う存在

24日の試合後、張一博監督とリオデジャネイロ五輪男子団体銀メダリストの吉村は、濵田を高く評価した。

張監督「フォアはもちろんいいけど、サーブ、レシーブも含めてミスをしないタイプ。パワーはあまりないけど、足が速くて根性もある。最後まで諦めず、『ミスするだろうな』と思うようなボールも返ってきたりするから、見えない流れを作れれる。中国人選手に対してあそこまでやったのはあっぱれだし、いい経験ができたと思う。使いたい選手です」

吉村「濵田選手は戦術的に自分がこうしてほしいとか、こうした方がいいよ、ということに対して全部答えてくれる。彼は常にコートでベストを尽くすので、チームにとって『陽』な存在です。僕や張本選手、シンコウ選手も含め、彼が頑張ってくれる中で『自分も諦めちゃいけない』と思えます。濵田選手はまだ世界選手権やオリンピックを経験していませんが、自分も彼から学ぶことがある。自分の持っているものも伝えていきたいです」

これらのコメントからも、濵田がいかにチームにいい影響を与えているかが分かる。

濵田「こういう環境にいられることが幸せ」

“現役大学生”濵田一輝が琉球アスティーダを救う存在
ポイントを奪い、豪快にガッツポーズを決める濵田一輝

2連覇に向け、レギュラーシーズンは残り5試合となったアスティーダ。次戦は1月13日にアウェーで4位の静岡ジェードと対戦する。今シーズンの直接対決の成績は2勝0敗だが、次は張本と吉村が出場できないと見られ、難しい戦いが予想される。それでも木下マイスター東京との首位争いが熾烈さを増す中、負けられない一戦だ。

 張監督は「揃えられる選手は全員揃えたい。その時点で誰を使うか、ダブルスで誰と誰を組ませるかを考えます」と見通す。「かなり大変な試合になると思いますが、濵田や有延(大夢)、岡野(俊介)はとてもいい感じなので、機会があったら使いたいですね」と語り、シーズン最終盤に総力戦で挑む決意だ。

 チームにとって踏ん張りどころとなっている今こそ、さらなる活躍が期待される濵田は国内、世界のトップレベルで活躍する選手に囲まれ、「その人たちからアドバイスを受けることは僕にとって本当に刺激的なこと。こういう環境にいれるのは幸せです」と成長を実感している。「チームに勢いを生み、勝利することも一緒にできたら、本当にチームの中で存在感を出していけると思ってます」と意欲を語った。

あわせて読みたい記事

HY 366日が月9ドラマに…

あなたへおすすめ!