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長嶺 真輝

長嶺 真輝

岸本、並里、山内…沖縄アリーナで“キングス同窓会” 12〜14日にBリーグオールスター、「涙」乗り越え出場する選手も

「B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2024 IN OKINAWA」
共にBリーグオールスターに出場する沖縄出身の(左から)並里成、岸本隆一、山内盛久=那覇空港の柱に貼られた選手写真

プロバスケットボールBリーグは12〜14日、沖縄アリーナと沖縄市陸上競技場を舞台に「B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2024 IN OKINAWA」を開催する。今回はBリーグ史上最長の3日間開催となり、音楽イベントを含めて様々な催しが予定されている。

14日午後3時15分から行われるメインのALL-STAR GAMEでは、琉球ゴールデンキングスの桶谷大ヘッドコーチが率いる「B.BLACK」にキングスから岸本隆一、今村佳太、ジャック・クーリーが選出された。

対する「B.WHITE」にも元キングスの並里成(群馬クレインサンダーズ)、山内盛久(三遠ネオフェニックス)、ジョシュ・スコット(横浜ビー・コルセアーズ)、ドウェイン・エバンス(広島ドラゴンフライズ)が選ばれているため、キングスファンにとっては”同窓会”のような雰囲気が楽しめそうだ。その他の催しにもキングスや沖縄関係の選手は多数出場、出演する。

筆者は茨城県水戸市で開かれた昨シーズンのオールスターも取材に訪れたが、リーグ戦ではライバルとしてしのぎを削る国内トップの選手たちが一堂に会し、同じユニフォームを着てプレーする姿は一見の価値がある。普段はあまり見られないような柔らかい表情も多く、選手、スタッフの人柄が垣間見られるのもオールスターの魅力だ。

昨夏に男子日本代表が48年ぶりに自力でオリンピック出場を決め、国内バスケは過去に類を見ない盛り上がりとなっているため、今回のオールスターもより注目を集めるだろう。

沖縄で初めて開かれる一年に一度の祭典を前に、見どころを紹介する。

キングス・沖縄関係選手が出場・出演するイベントは?

「B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2024 IN OKINAWA」
オールスターの各ゲームの試合会場となる沖縄アリーナ

期間中、沖縄アリーナでは主にバスケ関連、沖縄市陸上競技場では音楽イベントやパブリックビューイングが行われる。

3日間ステージがある競技場にはORANGE RANGEやD-51、PUFFYなど豪華アーティストが出演するほか、初日となる12日の午後7時10分からは岸本、今村、山内、辻直人(群馬クレインサンダーズ)、須藤春輝(キングスU18)、宜保隼弥(同)の6選手が参加するトークショーもある。

沖縄アリーナでの催しは2日目の13日からスタート。

13日午後1時15分にティップオフする、アジア特別枠選手と若手有望選手が対戦する「ASIA RISING STAR GAME」にはキングスのカール・タマヨと渡邉飛勇が名を連ねる。午後4時半に始まる各種コンテストには、ダンクコンテストに母が沖縄出身で前回優勝者のコー・フリッピン(群馬クレインサンダーズ)、スリーポイントコンテストに岸本と宜保が参加する。

最終日となる14日の本戦出場者は先述の通りだが、その前の午前11時45分からはU18ユースチームのオールスターが集う「U18 ALL STAR GAME」が行われる。キングスU18の与那嶺翼ヘッドコーチが指揮を執る「U18 JADE」は須藤がキャプテンを務め、宜保も入った。対する「U18 HELIOS」では同じくキングスU18の佐取龍之介が選ばれた。

”沖縄出身トリオ“の共演に注目 岸本「素晴らしい時間に」

「B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2024 IN OKINAWA」
地元沖縄でのオールスターを盛り上げる決意の岸本©Basketball News 2for1

メインの本戦における最大の注目ポイントは、何と言っても沖縄県勢選手の共演だ。同じ沖縄市出身の並里成と山内盛久は同級生で、岸本隆一は一学年下の代。同時にキングスに所属していた2013-14シーズンには共にbjリーグ優勝を達成している。

当時は3人ともまだ20代前半で少しヤンチャなイメージもあったが、30代半ばに差し掛かろうとしている現在はそれぞれベテランとしての貫禄をまとい、各チームで存在感を発揮している。熟練度を増した同世代のうちなんちゅガードたちは、どんなプレーで会場を沸かせてくれるのだろうか。

岸本はファン投票で選出されてスターティング5に名を連ね、山内はリーグ推薦。並里はバスケットLIVEを見た人が投票できる「On Fire投票」で選ばれた。

2大会ぶり4回目の出場となる岸本は選出を受けて「プレーをする選手、見にきてくれるファン、オールスター開催に関わる全ての人にとって素晴らしい時間になってくれたらと思います。オールスターを通じて、沖縄を更に盛り上げていきましょう!」とコメントしている。

一方、キングスから出場する今村も選出時にコメントを発表。自身は2大会連続2回目の出場となるため、「今年もオールスターに参加させていただく事ができ本当にうれしく思ってます」とし、その上で「皆さんに楽しんでいただける様にすこーーしだけ背伸びしてプレーできればと思っています!笑 ぜひ会場に足を運んでいただいてこの祭典を楽しんでいただけるとうれしいです!」とした。

“すこーーしだけ背伸び”をして、普段はほとんど見られないダンクシュートを見せてくれるかも…。「BLACK」の背番号30から目が離せない。

歴史刻んだ「アカツキジャパン」が沖縄アリーナに再集結

「B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2024 IN OKINAWA」
日本代表「アカツキジャパン」の顔役である二大ガードの富樫勇樹(左)と河村勇輝(中央)。右はキングスのジャック・クーリーと、今シーズン限りで引退するニック・ファジーカス=那覇空港

当然のことながら、注目選手は沖縄、キングス関係の選手だけではない。昨夏の男子ワールドカップで日本バスケに新たな歴史を刻み、列島を興奮の渦に巻き込んだ日本代表「アカツキジャパン」のメンバーも再び沖縄アリーナに集結する。

代表の顔役だったB.WHITEの富樫勇樹キャプテン(千葉ジェッツ)と河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)の“ダブルユウキ”を筆頭に、同じチームには馬場雄大(長崎ヴェルカ)、W杯本番直前まで代表候補に入っていた金近廉(千葉ジェッツ)も名を連ねる。

B.BLACKにも比江島慎キャプテン(宇都宮ブレックス)、帰化選手のジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)、西田優大(シーホース三河)、吉井裕鷹(アルバルク東京)が入った。ユニフォームの色は違えど、彼らが“聖地”沖縄アリーナのコートで共にプレーするのを観戦するだけでも、W杯の興奮を思い返すことができるかもしれない。

出場に当たり、両チームキャプテンの富樫は「こうして毎年投票で選んでいただきとてもうれしいですし、沖縄でのオールスター楽しみです!今回も全力で楽しみたいと思いますので、ぜひ見に来てください」、比江島は「今シーズンもオールスターにスターティング5として出場出来ることをうれしく思います。皆さんに楽しんでいただけるように、自分自身も楽しみながらプレーさせていただきます」と意気込みを語っている。

その他にも、”お祭り男”の篠山竜青(同)や辻直人(群馬クレインサンダーズ)らがどのような入場演出で会場を盛り上げてくれるかなど、楽しみなポイントは多い。

“悔しさ”バネに成長した宜保 3Pコンテストで優勝狙う

「B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2024 IN OKINAWA」
スリーポイントコンテストとU18オールスターゲームに出場するキングスU18の宜保隼弥

最後に、並々ならぬ思いで今回のオールスターに臨む1人の若手プレーヤーを紹介したい。先にも名前が出てきたキングスU18の宜保隼弥である。糸満高校の3年生。今春からは国内大学バスケで最もレベルが高い関東リーグの2部に籍を置く国士舘大学に進学することが決まっている将来有望な選手だ。

U15の頃から優れた得点能力が最大の持ち味だが、以前は勝負所での決定力のムラやリーダーシップに課題があり、昨年のオールスターは出場できなかった。選出された同級生の須藤や一つ年下の佐取が大きな舞台で躍動する中、「悔しくて泣いた」という。

強い上昇志向を表す「涙」は自らを成長させた。最上級生の3年生になってからは責任感が増し、勝負の分かれ目で自らシュートを打ち切る精神力を養い、コート上での声も増えた。“点取り屋”の能力に磨きを掛け、昨年末にあった全国のBリーグU18ユースチームがトーナメント形式で全国王者を決める「チャンピオンシップ」では大会ベスト5に選ばれた。

今回のオールスターではU18オールスターゲームに加え、西田優大や辻直人、齋藤拓実、岸本ら国内トップクラスのシューターが名を連ねるスリーポイントコンテストにも、U18カテゴリがただ1人参戦する。

最初に出場を聞かされた時は「びっくりしたというのが一番でした」と振り返る。一流選手に囲まれる貴重な機会となるため、「こういう経験はなかなかできないので、チャレンジャー精神を持ってやろうと思ってます」と意気込む。記者から「優勝を狙いますか?」と問われると、頼もしく「はい」と即答していた。

U18オールスターゲームでも「強みのスリーポイントを見せて、観客を盛り上げられるようなプレーがしたいです」と気合を入れる。プロの”卵”である若きうちなんちゅガードに、ぜひ熱い声援を送ってほしい。

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