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植草 凜

植草 凜

Bリーグ・キングス実況で感じた大切なこと【植草凜の なんでもかんでも日記】

植草凛アナウンサー(OTV 沖縄テレビ)のなんでもかんでも日記

2024年1月20日、21日の宇都宮ブレックスとの試合で、我らが琉球ゴールデンキングスは長いシーズンも折り返し。連覇に向けた重要な後半戦がスタートしています!

沖縄テレビではキングス対宇都宮ブレックスのゲーム1を実況生中継でお伝えしました。
両チームの堅守が光り、差がつかない緊迫した展開の末キングスが2点差で勝利!これはチャンピオンシップなのか!という大激戦を放送でお届けできました。

そして!個人的にはこの試合で、私はキングス地上波実況デビュー!
ミスターキングス金城茂之さんの、的確で分かりやすく、なおかつ試合を楽しむためのポイントに導いてくれるような解説のおかげで私も楽しんで実況ができました。

Bリーグ・キングス実況で感じた大切な事【植草凜の なんでもかんでも日記】
解説のミスターキングス 金城茂之さん

話すこと 読むこと ○○こと

1月のキングス初実況からさかのぼること約5・6年前…。
学生時代通っていたアナウンススクールの恩師がよく、「アナウンサーの仕事は、①話すこと ②読むこと そして最も大事な事が“聞くこと”」と話していました。当時はその言葉の意味をぼんやりとしか理解していませんでしたが、その言葉の意味を感じる出来事がありました。

去年は地上波実況に加えて、サッカーJリーグのDAZN(配信サービス)での実況を担当させて頂きました。そして今シーズンはバスケットボールBリーグのバスケットLIVE(配信サービス)での実況も不定期で担当させて頂けることになりました。沖縄県内だけではなく全国に配信されるため、普段から取材をしている琉球ゴールデンキングスの情報はもちろん、キングスと対戦するアウェーチームの情報も取材やリサーチをして集めます。

初めて実況を担当したのは去年12月の琉球ゴールデンキングス対信州ブレイブウォリアーズ(長野県)の一戦。長野県まで取材に飛んでいきたいところですが、広報の方がとても親切に取材の調整をして下さり、沖縄入りする前日にオンラインでインタビューする機会を作って下さいました。本来は選手全員にお伺いしたいところですがもちろんそんな時間はないので…勝久マイケルヘッドコーチと石川海斗選手、山本楓己選手(元琉球練習生)にインタビューしました。
信州は去年12月当時、連敗中でケガ人も続出というチームとしてとても厳しい状況でした。その中でどういった気持ちで沖縄に乗り込むか、どんな想いで上位のキングスと対戦するのかという話をみなさんに聞きました。

石川選手は「沖縄アリーナに負けに行くという気持ちは毛頭ない」 勝久マイケルヘッドコーチは「素晴らしい人間性を持った選手が連敗中でも心を強く持って懸命に練習してくれている。全ての試合でアンダードッグだと思われているが本気で勝ちにいく」と話してくれました。その言葉を聞いて、これは現状の順位だけでは予想できない試合になると感じました。もちろんインタビューまでに信州の試合映像は何度も見てきましたが、直接言葉を“聞くこと”でしか感じられない、言葉に込められたパワーが確かにありました。

すると試合は第1戦、第2戦ともにリードチェンジを繰り返す大接戦に!
結果としては2試合ともキングスが勝利しましたが、信州はケガで選手を欠く中で勝利への執念を感じさせるプレーの数々。各試合で選手がステップアップし、ディフェンディングチャンピオンを苦しめました。

その中で個人的に印象に残っているシーンがあります。
まずは山本楓己選手が初めて“選手として”沖縄アリ―ナに立ったシーン。

Bリーグ・キングス実況で感じた大切な事【植草凜の なんでもかんでも日記】
白のユニフォーム5番が山本楓己選手

山本選手は昨季まで練習生としてキングスに所属していた選手で、今季からプロ契約を勝ち取り信州で活躍しています。昨季までは練習生として、キングスの植松選手とともに誰よりも沖縄アリーナのサブアリーナに来てシュート練習をしてきたそうです。ほとんど会話をすることなく、プロとして活躍する未来を信じて黙々とシュートを打ち続けたと話していました。
沖縄アリーナはお馴染みの場所、しかし“選手”としてはまだ立ったことがなかったアリーナのコート。となりのサブアリーナで自分を信じて練習を続けてきたからこそ沖縄アリーナのコートに選手として戻ってこられたというストーリーがありました。
この話を本人から聞いていなければ山本選手がコートインした時に「昨季までは琉球の練習生だった山本がコートに入ります」としか紹介できませんが、話を聞いていたことで山本選手のエピソードと想いを紹介することができ、私自身も会場の温かい拍手と山本選手の表情の意味を感じることができたと思います。

そして次に石川海斗選手。石川選手は攻撃をつかさどる司令塔のポジションなので、どんな攻撃を組み立てたいか…などという話を聞いていたのですが、何かのきっかけでキングスの岸本隆一選手の話になり、「同級生で以前日本代表として一緒にプレーしたことがあって、岸本の活躍はとても刺激になっている」と話していました。なので第1戦の終了後の会見で岸本選手に石川選手について聞いてみると「石川選手は僕たちの世代でずっとトップのPGとして活躍している選手。長い年月が経っても同じステージで戦えていることが本当にうれしい」との回答。
この話を聞くともちろんGAME2の個人的注目マッチアップは岸本選手と石川選手に。
するとGAME2で、岸本選手が3ポイントを決めるとすぐに石川選手が3ポイントでお返し、そしてそのお返しと言わんばかりに岸本選手がまたまた3ポイントを決めるという最高のシーンが生まれました。

Bリーグ・キングス実況で感じた大切な事【植草凜の なんでもかんでも日記】
14番が岸本選手 11番が石川選手

偶然にも2人の関係性を聞いていたので、「互いをリスペクトする同級生同士の3ポイントの応酬!」と伝えられましたが聞けていなかったらただの3ポイントの打ち合いになってしまう…。
話を“聞く”ことで、1プレーを特別なプレーとして伝えられる。もちろん聞いていなければ特別なプレーもただの1プレーになってしまう…。“聞く”ことの大切さを痛感した瞬間でした。

京都ハンナリーズとのホーム戦も大接戦に

2度目のプロバスケ実況は1月27日・28日は京都ハンナリーズ戦。
解説は元キングスキャプテンの与那嶺翼さん。実は今でも鮮明に覚えているドッキドキの人生初実況の時も与那嶺さんが解説を務めてくれました。笑

Bリーグ・キングス実況で感じた大切な事【植草凜の なんでもかんでも日記】
解説の与那嶺翼さんと

京都はスケジュールの都合上どうしてもインタビュー取材が叶わなかったのですが、時間の許す限り京都の試合とさまざまな資料を見て情報を頭に詰め込みました。
第1戦は京都がキングス戦としては約2年9か月ぶりに勝利。第2戦はおととしのチャンピオンシップファイナルから同一カード連敗がないキングスがオーバータイムの大接戦を制すなどさまざまなドラマがありました!
そしてなんと京都ブースターの方が沖縄テレビのホームページに実況の感想を送ってくださいました。見てくれている人の生の声を“聞く”事ができてとても励みになりました!

これからもたくさん“聞いて”選手たちが作りだす素敵な試合をお伝えしたいと心新たなにした1月でした。

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