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長嶺 真輝

長嶺 真輝

“完全優勝”へ望みを繋いだ琉球アスティーダ 課題のダブルスで元中国代表ペア2連勝「コミュニケーションが取りやすい」

琉球アスティーダ
ダブルスで強さを発揮するシュウ・ユウ(左)とジョ・シンコウの中国人コンビ=10日、那覇市民体育館(長嶺真輝撮影)

卓球Tリーグ男子2位の琉球アスティーダが、悲願の“完全優勝”へ望みを繋いだ。

アスティーダは2月10、11日の両日、那覇市民体育館でホーム2連戦を行い、
初日は3位の静岡ジェードに3ー1で勝利。2日目は首位の木下マイスター東京との“頂上決戦”に挑み、3ー2で競り勝った。

この結果、アスティーダはレギュラーシーズンあと1試合を残して15勝4敗の勝ち点47。同じく1試合を残している1位の東京は14勝5敗で勝ち点49となっており、それぞれの最終戦の結果次第では順位が入れ替わる状況となっている。勝利数の少ない東京が勝ち点でアスティーダを上回っている理由は、4ー0で勝利した場合に勝ち点4を獲得できる「4P勝」と、2ー3で敗れて勝ち点1が与えられる「延長負」の試合数がアスティーダよりも多いためである。

2連覇のほか、レギュラーシーズンを首位で通過してのプレーオフ優勝という初の完全優勝も狙うアスティーダにとって、シーズン最終盤にホームで連勝を飾れたことは大きな意味を持つ。

また、この2試合に関してはプレーオフの結果を占う上でもポジティブな要素が見られた。チームにとって最大の課題となってきた団体戦1試合目のダブルスで、今シーズン加入したジョ・シンコウ、シュウ・ユウの元中国代表ペアがいずれも勝利したことである。

目次

「コース取り」のユウ、「強烈ショット」のシンコウ

琉球アスティーダ
サーブを放つジョ・シンコウ

10日にあった静岡戦の第1マッチダブルスは1ゲーム目こそ9ー11で先行されたが、2ゲーム目はラリーで我慢して流れを引き寄せ、11ー5で取り返す。最終3ゲーム目もその流れを維持し、左利きのユウの際どいコース取りと、右利きのシンコウの強烈なショットで11ー7で制し、勝ち切った。

この日、第3マッチシングルスでもストレート勝ちし、勝利の立役者となったシンコウは試合後のヒーローインタビューで「チームが勝てて本当に嬉しい。温かい応援ありがとうございました」と述べ、ホームの声援に感謝した。

大一番の試合となった翌日の東京戦のダブルスでは、常に先行する展開。相手に体の正面付近を狙われてポイントを重ねられる場面もあったが、終始優位に試合を進め、11ー6、11ー8でストレート勝ちを収めた。

キャプテン有延「ダブルスの結果は連覇に向けて大きい」

琉球アスティーダ
試合中、頻繁にコミュニケーションを取るシュウ・ユウ(左)とジョ・シンコウ

2試合のダブルスを通して際立ったのは、長いラリーになった時の粘り強さである。東京戦で第5マッチのビクトリーマッチでも白星を上げ、勝利を手繰り寄せたユウがその理由を解説した。

「ダブルスで日本人選手と組んだ時は、競った展開の時にパートナーが自分にやってほしいプレー、自分がパートナーにやってほしいプレーを伝えるのが難しく、コミュニケーションが取りづらかった。少しのズレがあるだけで連係ミスは大きくなる。でもシンコウと組む時はコミュニケーションに問題がなく、ナショナルチームでも練習してきたから次にどういう動きをするかが大体読めるんです」

ダブルスは2人がボールを交互に打つため、互いの邪魔にならないようなポジショニングを
一瞬で判断しないとならず、さらに攻めるポイントの共通理解も求められる。試合中に同じ言語で会話ができるのと、できないのとでは、コミュニケーションに天と地ほど違いが出るのは間違いない。

実際、ユウの今シーズンのダブルスの成績は4勝5敗だが、シンコウとペアを組んだ時の成績は3勝1敗と勝ち越している。

今季、アスティーダはこの2試合の前までダブルスの成績が5勝11敗と大きく負け越し、ペアリングに苦労してきた。キャプテンの有延大夢が「ダブルスがすごく良かったことは、連覇に向けて大きい部分です」と語ったように、プレーオフを目前に控えたこの時期に中国人ペアの連係が成熟してきたことはチームにとって嬉しい事象だ。

「ライバル」東京とは3勝1敗 ファイナルで”完全体”での再開なるか

琉球アスティーダ
味方の好プレーに立ち上がって喜ぶ琉球アスティーダのベンチメンバー

2018年に開幕したTリーグの全5シーズンで優勝を経験したチームは木下マイスター東京と琉球アスティーダのみで、東京が3回、琉球が2回を数える。

11日の結果を受け、最大のライバルである東京との今季レギュラーシーズンの対戦成績は3勝1敗。勝ち越しはしたものの、全て第5マッチのビクトリーマッチまでもつれ込む接戦となった。11日の試合に関しては、アスティーダはこれまでシングルスで14勝2敗のエース張本智和が不在で、対する東京も14勝2敗(シングルス)のリン・ユンジュ、7勝3敗(同)の戸上隼輔がいなかったため、現状のチーム力を比較する上では難しい一戦となった感は否めない。

今季のTリーグ男子は静岡ジェードと金沢ポートが新規参入して過去最多の6チームとなり、プレーオフではレギュラーシーズン2位と3位によるセミファイナルが新設された。アスティーダは1位か2位でのプレーオフ進出が決定しているが、いずれにしろ、2連覇に向けては東京が最大の壁になることは間違いない。

有延は11日の試合後、チームの現状について「みんなで切磋琢磨して刺激を与え合いながらシーズンを戦ってきました。チームとしてのレベルは上がっていると思います」と自信を見せた。その上でプレーオフに向け「簡単に連覇をできるわけではありませんが、個々の選手が自分のパフォーマンスを最大限発揮できれば十分にできると思っています。課題を修正しながら、前を向いて頑張りたいです」と気合いを入れた。

アスティーダは3月2日、アウェーで4位の岡山リベッツと対戦した後、3月22日に東京の国立代々木競技場第二体育館で開幕するプレーオフに挑む。

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