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長嶺 真輝

長嶺 真輝

琉球ゴールデンキングス。西地区優勝マジックは「7」 最終盤の鍵は試合中の“ディフェンスの適応力“ 

琉球ゴールデンキングス。西地区優勝マジックは「7」
名古屋D戦でキャリアハイの33得点を記録した今村佳太=10日、沖縄アリーナ©琉球ゴールデンキングス

プロバスケットボールBリーグは全60試合を戦うレギュラーシーズン(RS)の最終盤に突入し、琉球ゴールデンキングスは西地区首位をキープしている。

通算成績は37勝14敗。西地区7連覇に向け、地区優勝マジックは「7」と目前に迫るが、10日にホームであった2位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(名古屋D)との“頂上決戦”で競り負け、ゲーム差は「3」に縮まった。残り9試合のうち、2試合はアウェーで行われる名古屋Dとの直接対決となっているため、まだまだ順位の変動はあり得る状況だ。

一方、今の全体順位は3位だが、4ゲーム差で追う2位の三遠ネオフェニックス(中地区首位)をとらえる可能性も残している。現状では8チームがトーナメント形式で頂点を争う「チャンピオンシップ(CS)」で、初戦のクオーターファイナル(QF)までがホーム開催となるが、全体2位で進出すればセミファイナル(SF)までのホーム開催が確定するため、より有利な条件で戦えることになる。

これらの状況から、2連覇に向けてRSの残り試合は今シーズンの最終結果を占う上でも重要な位置付けとなることは間違いない。さらに白星を積み上げるためにポイントとなるのは、まだ伸びしろがある「ディフェンス」の完成度だ。

連勝ストップも復活した「勝負強さと粘り」

琉球ゴールデンキングス。西地区優勝マジックは「7」
ベンチから指示を送る桶谷大HCら©琉球ゴールデンキングス

6連勝を経て迎えた名古屋D戦。この試合では、前の試合でアンスポーツマンライクファウルを二回吹かれて退場となった大黒柱のジャック・クーリーが、リーグの規定により欠場となった。前半こそシーソーゲームだったが、後半は常にリードを許す展開に。第4クオーター(Q)中盤で、リードをこの試合最大となる9点に広げられた。

しかし、6点差を追っていた試合時間残り13秒から今村佳太が連続でスリーポイントシュート(3P)を沈め、83ー83の同点に追い付いた。延長戦でも終盤に6点差をつけられながら残り16秒で追い付いたが、95ー98で競り負けた。西地区の上位争いという重要な一戦をホームで落としたが、桶谷大HCは「悔しい結果になってしまった」と言ったが、好感触も語った。

「今シーズンは、こういうゲームだとちょっと離れそうになったら一気に離れるような試合もありましたが、粘り強く戦えるようになってきました。レギュラーシーズンは残りあと9試合。積極的にチャレンジしていきたいと思います」

前の試合までの6連勝中は、そのうちの5試合が一桁点差。3月にあった天皇杯全日本選手権の決勝で大敗を喫し、一時は粘り強さが低下していた時期もあったが、最終盤に逆転する試合展開も増え、最近は接戦を制するキングスらしい勝負強さが戻ってきた印象だ。

今村「試合中に試合を変えられるかが試される」

琉球ゴールデンキングス。西地区優勝マジックは「7」
シュートを放つ今村佳太©琉球ゴールデンキングス

そんな中、選手やコーチから出てくる課題の一つが、試合中におけるディフェンスの適応力である。

名古屋D戦では、3Pを42.4%(33本中14本)の高確率で決められたことが敗因の一つとなった。リーグで3番目に3P成功率が高い名古屋Dに対し、当然外のシュートは警戒していたが、ピクプレーでズレをつくられてからパスを回され、大事な場面で何度も沈められた。

ヴィック・ロー、アレン・ダーラム、帰化選手のアレックス・カークが同時にコートに立ち、高さのある「3BIG」で、スイッチディフェンスでなるべくズレをつくらせないように対応する時間帯もあったが、間合いを詰め切れない時も多かった。桶谷HCも反省を口にした。

「打たれたくないところで、簡単な3Pを打たれてしまったところがあったので、もう1回見つめ直したいと思います。あと2回、名古屋D戦があります。もしかしたら何かに反応し過ぎてる可能性もあるので、もう一回映像を見て修正したいです」
 
この日、キャリアハイの33得点でチームを引っ張った今村も、ディフェンス面の改善に言及した。

「名古屋戦に限ったことではないんですけど、もう少し試合の中でアジャストできる部分があると思っています。自分たちが試合に向けて準備しているものはありますが、試合でそれが100%はまるわけではない。試合をこなしながら、しっかりと自分たちがディフェンスでアジャストしていく時間をつくらないと、こういう展開になってしまうことは課題です。試合中に、自分たちがどれだけその試合を変えられるかは、今後試されていくと思います」

CSホーム開催へ 終盤でこそ発揮したい「団結の力」

琉球ゴールデンキングス。西地区優勝マジックは「7」
帰化選手のビッグマンとしてキングスのゴール下を支えるアレックス・カーク©琉球ゴールデンキングス

キングスは13、14の両日、アウェーで西地区3位の島根スサノオマジックと対戦する。島根は名古屋Dと4ゲーム差で、自動的にCS進出が決まる地区2位以上の可能性を残しているほか、4ゲーム差の中に8チームがひしめく大激戦となっているワイルドカード(上位2位以上がCS進出)でも2位につけている。

名古屋D戦に続き、大事な一戦を前に今村の覚悟も強い。

「西地区優勝に向けて負けられない戦いになるし、まだセミファイナルのホーム開催も可能性として残っているので、より一層負けられないです。島根もCSのワイルドカードで負けられないと思っているはずなので、本当に削り合いというか、我慢比べの試合になると思います。よりCSを意識して、タフに戦っていきたいです」

今村の言葉に出てきたように、CSのホーム開催は2連覇に向けて極めて大きなポイントとなる。いずれもファイナルに進出した過去2シーズン、キングスはQFとSFを全て沖縄アリーナで行っており、これらのカードは無敗。そのことからも、いかにホームの声援の後押しが強いかが分かる。

3月にクラブが行ったインタビューで、岸本はCSのホームコートアドバンテージについて以下のように語っていた。

「一番大きいことですかね。もしかすると、本当に優勝以上に自分たちにとっては必要なステップになると思います。優勝を狙う上でももちろんですけど、そのステップがあるかないかで、自分たちの存在意義を示すことにも繋がると感じます。それくらいCSのホームコートアドバンテージは重要だし、そこに全てをぶつけるために今戦っているという感覚です」

今村も沖縄アリーナの声援には力強さを感じている。
 
「自分たちにとっては、相手に脅威を与えるための武器だと思っています。もちろん自分たちはディフェンスとかでプレッシャーをかけますけど、沖縄アリーナに来てくださっている方は本当に大きな声援を出してくれるので、相手はプレッシャーを感じようとしてなくても自然と体が反応してしまうと思う。そのくらいの力を持っているアリーナだと感じます」

一戦必勝となるレギュラーシーズン最終盤、そして、その先にあるチャンピオンシップへ。ファンと共につくる「団結の力」で、目の前の試合を一つ一つ勝ち抜いていきたい。

KINGS_PLAYERS_STORY

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